■はじめに |
どなたもが、自分の動物が外科手術を受けるなんて思いもよらないことだったでしょう。しかし、ある種の病気は、手術をしないと救えないのです。あなたの動物が、実際に外科手術を受ける状況になり、何かとまどいや不安を感じていらっしゃるかもしれません。とはいっても通常は、格別に心配することはありません。すべての手術において言えるわけではありませんが、飼い主の方が思っている程ご心配なさる必要はありません。ある状態において、例えば危篤状態での緊急手術においては、危険率は高くなりますが、そのような場合には、あらかじめお話いたします。
あなたの動物が、手術を安全に受けられるようにするためには、飼い主の方の協力がぜひとも必要です。そのためには、私達の注意に対して、あなたが建設的な御意見を下さることを希望いたします。そうすることによって、私達はあなたの動物に対してサービスを常により改善させてあげることができるからであります。
また手術を行なう場合には最大の芸術的臨床技術を駆使し、その動物の抱えている問題についてそれぞれ独自の解決法を、個人的に話し合って良い方向に向けたいと考えております。
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■手術を受けるための予約等について |
手術には麻酔を必要としますので、緊急の手術を除いて、ある程度の時間6-12時間以上は絶食が必要となります。また、幼若な動物や特に体が小さいなど、特別な場合を除いて手術前、6~8時間ぐらいから水も与えないで下さい。ご予約の上、午前中までの間に動物をお連れ下さい。当日は手術のための最後のチェックを行ないます。検査が行なわれていない時や、追加が必要な時は、そのときに行ないます。
緊急状態で連れてこられた場合には、まず、手術が必要かどうかを確かめ、必要ならそれに適切な方法を実施致します。時にはあなたの動物の症状がそんなに急がない時は、緊急例を直ちに診てやらなければなりませんのでそれを先に診て、あなたのほうが後になることがあります。そんなに多くはありませんが、緊急例の手術をしなければならないために、あなたの動物の手術予定を立て直さなければならない場合もあります。
私達はできるだけ初診時や、あなたが動物を見舞いに来られたり、また手術後連れに来られたときに、あなたとお会いする機会を作るように心掛けております。こうすることによってあなたのお顔とお名前が一致できることになりますから。外科医は手術前または手術後にあなたの動物の状態についてお話することがよくあります。また診察がすみましたら手術費用についての説明をいたします。
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■手術前の検査の必要性について
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手術をするためには麻酔をするわけですから、手術に危険性がないか、いろいろと検査を行ないます。手術前の検査については年齢などを考慮して状態を調べます。このことは、今まで分からなかった病気についても分かることがあります。主な検査としては、身体検査、X線検査(胸部、腹部)、血液検査、血清化学検査、尿検査、心電図検査、血圧検査、超音波検査(胸部、腹部)、CT検査等です。身体検査はもっとも重要で、病歴、視診、触診、聴診、打診などが綿密に行なわれます。特に麻酔直前の聴診が重要視されます。
血液検査、例えば貧血があれば、輸液や輸血についての情報が得られますし、心臓、腎臓、肝臓などの各臓器との関係や働き具合も推定できます。尿検査については、例えば尿糖、潜血、蛋白、pHなどの存在や腎臓の機能が調べられますし、なによりも重要なのがその比重です。糞便検査は寄生虫を調べることができます。X線検査は病気の広がり、各臓器の大きさや、異物、腫瘍などを調べることができますが、CT検査をすることにより確実性が増します。
私たちの外科部門では、すべての麻酔をかける動物に対して身体検査以外に最低でも血液検査(9項目以上)と心電図検査、またできるだけX線検査と中高齢には超音波検査をお勧めしています。また骨の骨折手術等にはできるだけCT検査にて術前に3Dで立体的に骨の構成を調べるようにして、安全を期しています。
これらの検査を行なうと、費用はそれだけ多くかかりますが、最終的にはよい結果を生むことになると思います。また特に歯の病気(歯石等)があるかどうかもチェックされます。歯石がある場合には、特に手術後に歯石の除去をお薦めします。このことは、非常に重要です。歯石があるということは・口の中に多くの細菌がいるということで、白血球数が増加したりします。このことは他の病気で白血球数が増加している場合などに覆い隠すことになり、病気をより分からなくしたりします。歯石はあらゆる病気の原因ともなり、これが歯は健康の窓といわれる所以です。その他麻酔時に状態によって、去勢手術、避妊手術、マイクロチップの装着、大型犬の胃捻転防止の胃固定、手術後の食欲不振が予想される場合のチューブ(食道、胃、空腸)の装着等いろいろな提案ができる場合がありますので、その際にはお話いたします。
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■ 麻酔の安全性について
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最近では麻酔の進歩に伴い、危険率は大変低くなっています。事実現在では、動物に行なう麻酔は人間の行なう方法と、全く変わらず高度な技術と、確実な監視のもとに行なわれています。外科即、麻酔といわれる程麻酔は重要です。そのためには、あらゆる検査の結果を評価してあなたの動物にはどの麻酔法がよいか?どんな点に注意したらよいか?などが、外科部門で検討されます。現在の最新の獣医学では、吸入麻酔が最も安全といわれているので、主にその方法を用いています。通常の手順は以下の通りです。マスクにて5分間酸素が与えられ、注射(通常はアルファキサロン又はプロポフォール)か、マスクにて気管チューブが挿管できるまでの超短時間の麻酔がなされます。そして気管チューブから吸入麻酔と酸素が与えられます。手術は手術室にて行なわれます。動物の心臓の状態は手術前、手術中、または手術後、麻酔から覚醒するまで、モニター画面に描き出される心電図、呼吸曲線、血圧、酸素飽和濃度、呼吸中の炭酸ガス濃度、心音、体温等の監視装置によって、異なる方式の4-5以上の方式によってモニターされます。そして麻酔中は、静脈の血管から自動点輸液装置によって、点滴が行なわれ必要であれば水分の補給や必要な薬品の投与が行なわれます。以上のように行なわれるので、麻酔が安全に行なわれます。
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■ 外科手術について
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手術を行なうには、それなりの設備が必要ですが、私たちの外科部門は装置・器具について、非常に自慢できるものであると信じております。例えば手術室には、吸入麻酔装置と人工呼吸装置、外科用手術台、無線の心電図モニター、水流式温水毛布装置、心音モニター、温熱式呼吸数モニター、パルスオキシメーター(酸素飽和度測定装置)、カプノグラフ(呼吸中炭酸ガス濃度測定グラフ)、体温モニター、吸引器、高周波電気メス、液体窒素を用いたクライオリージェリーセット・ハイスピード・ドリル、無影燈、ハロゲン・ランプ、自動輪液装置、非常用ランプ、酸素及び窒素のパイピング、緊急用薬品セット一式、シャーカッテン、余剰ガス排気装置、手術用骨格標本、超音波装置、内視鏡装置、腹腔鏡装置などが設置してあります。
また手術する場合外科医は、消毒された手術用帽子、マスク、手袋、手術衣を身に着けて手術を行ないます。動物に対しても、手術する場所は電気バリカンにて広範囲にわたって毛を刈り、外科用消毒剤のクロルヘキシジン等にて何回も洗浄や消毒が繰り返されます。このように厳格な手順を踏むことによって、汚染や感染の機会を少なくします。
また手術器具に対しても、小さな動物から大きな動物までの、種類別のセットされた滅菌消毒済みのパックが10パック以上用意されています。また特殊な手術のためには、眼科用、整形外科用、内臓外科用等用途別にいつでも、使用できる状態にあります。麻酔中は通常、麻酔記録帳を用いて麻酔の経過等を助手がこれを記録します。これらを行なうことで外科医は、手術に集中できるわけで、考えられるすべてのマン・パワー(人間の力)を総動員して、よい結果が生じるよう常に努力し向上するよう目指しています。
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■おわりに
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私達が特別な手術を行なう主な理由は、動物の苦痛を救うことと、出来るだけその病気を治すことにあります。私たちはあなたの動物のあらゆる面での看護に対して最大の努力を払います。もし何か御意見とか御質問の点がありましたら、ご遠慮なく申し出て下さい。私たちは動物が酷い外傷で病院につれてこられることを経験しております。そんなとき私たちは本当に自分の動物が同じような外傷を受けたと同じ気持ちになり、まずは痛みを止めることから始めます。私達がこの手術をお受けしたときは、私たちも感情的かつ肉体的に同じような気持ちと状態になっているのです。手術後の管理、特に痛みを感じていないか、苦しくないかを監視します。重症例は私達の武蔵野動物・救急救命センターにて24時間完全看護の体制で引き継がれて、絶え間ない治療が行われます。
手術によるお問い合わせは 0422-54-5183
※ご質問は毎日午後2時~午後7時30分までの間にお尋ねください
武蔵野動物・外科センター
〒180-0005 東京都武蔵野市中町2-6-4 |
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