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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

No.61〜68

61) 尿の色が濃い黄色です。ビタミン剤のようなにおいがします。
62) 股関節形成不全と診断されたのですが、手術以外で良くなる方法はないですか?
63) 心臓がよくないと長生きできないのでしょうか?治ることはないのでしょうか?
64) 4歳のヨーキーのオスです。最近涙やけができてしまいました。
65) 灰白色がかったうんちをしはじめ、よく見ると、所々に血が混ざっています。
66) お腹のあたりに、ブツブツした湿疹のようなものができています。
67) 便を食べたり、トイレットシーツを食べたりしています。
68) ワクチン接種後、トマトジュースのような血便と嘔吐を繰り返しました。

目次 No.1〜15 No.16〜30 No.31〜44
No.45〜60 No.61〜68
61)Q:尿の色が濃い黄色です。ビタミン剤のようなにおいがします。
尿の色が濃い黄色です。ビタミン剤のようなにおいがします。食事はラム&ライスの成犬用を与えています。あと、野菜と果物、市販のペット用魚類などです。

母犬も全く同じ物を与えていますが、こちらの尿は別段、色もにおいも気になりません。血液中のコレステロール値が360、母犬の方が430とかなり高いです。他に病歴はありません。食欲もあり、元気ですが心配です。
61)A
尿の色が濃いというのは、一般的に脱水を示していることが多いのです。脱水とはすなわち水分が足らなくなっているのです。ということは、主には泌尿器系の病気ということになります。

また、
ビタミン剤を与えたり、強肝剤を注射したりすると尿の色は黄色くなります。あなたの犬はそれらのものは与えていないと思われますので、脱水によるものか別の代謝病かあるいは先天的な泌尿器系の病気の可能性もあるかもしれません。あなたの犬は、太リ過ぎてはいませんか? もし太っていればそれらを改善する必要があるでしょう。

しかし尿の色は、食事によってもかなり違ってきます。ラム&ライスもよいのですが、
一度食事を変えてみて、それでも尿の色が黄色くなるかどうか確かめてみる必要があります。

水の飲み方はどうでしょうか。もし水の飲み方が少なければ、より脱水が疑われます。そしてもっとも重要なのが、尿の検査です。尿の検査で比重が高ければ脱水があリ、何かの異常と言えます。

コレステロールが高いということですが、食事をした後であれば当然高くなります。しかし、甲状腺の問題とか、肝臓、腎臓、膵臓等の病気でコレステロールが高くなる場合があります。またその時にタンバク質の値が低くなることもあるようです。現在は元気ということですが、一度病院でしっかり診てもらったほうがよいでしょう。
62)Q:股関節形成不全と診断されましたが、手術以外で良くなる方法はないでしょうか
ダックスのメス(8カ月)です。わが家に来たのが5カ月の時で、ダックスのオスと追いかけっこをして遊んでいました。6カ月頃から、遊んだ後右後脚を跛行するようになりました。病院で痛み止めとカルシウムをもらいましたが良くならず、別の病院でレントゲン検査をした結果、股関節形成不全と診断され、骨頭を切除したほうが良いといわれました。

手術以外で良くなる方法はないでしょうか?食事で気を付けることも教えてください。(福島県/K・S)

62)A
レントゲン検査の結果、股関節形成不全と診断されたとありますが、何か別の病名をいわれた可能性はありませんか?いわゆる股関節形成不全は、大型犬に多発する病気で小型犬では非常に珍しいといわざるを得ません。股関節の病気では、無菌的な壊死を起こすレッグパーセスペルベス病という病気が、小型犬にときどき起こることが知られています。

手術による骨頭の切除は、股関節の病気の治療でよく使われる手段ですから、愛犬は股関節の病気である可能性が高く、その治療法によって治るのかもしれません。いずれにしても、診察をした獣医師でないとはっきりしたことはわかりません。

跛行が起こっている場合は診断が重要ですので、できれば骨の病気に得意な動物病院を探して、セカンドオピニオンを求め再検査を受けたほうが良いと思います。

手術以外で改善する方法は病気の種類と程度によって違います。食事で気を付けることは、適正量のフードを与え太りすぎを防ぐことです。一般的には、鎮痛剤や鎮静剤を投与したり、脚の周りの血行を良くする消炎剤などを処方する方法があります。また、最近では東洋医学の針灸やレーザー治療などを受けることも可能です。しかし原因を治さずして二次的な治療をしても効果は不安定でしょう。やはり原因を突きとめることが重要ですので、診断の根拠をもう1度聞き出し、いろいろな本で調べると良いでしょう。もし診断が違っていると思われたら他の獣医師に相談することをお勧めします。

63)Q:心臓がよくないと長生きできないのでしょうか?治ることはないのでしょうか?
8カ月のミニチュアダックスのメスです。先日病院の先生に「この子は心臓があまりよくないね。不整脈がある」と言われました。食欲はあるし、とても活発で散歩も大好きなので、心臓が悪いと言われショックでした。

心臓がよくないと長生きできないのでしょうか?治ることはないのでしょうか?食事の量を変えたり、散歩の距離を短くしたり、興奮させないなどの注意が必要でしょうか?なお、生後4カ月の頃おもちゃの磁石を誤飲して、胃の手術をしたことがあります。(茨城県/H・U)

63)A
心臓が悪くても長生きさせることは不可能ではありません。問題はどの程度悪いかということで、その程度により養生の仕方も変わります。心臓病の主要な症状として、咳・失神・やせてくるなどがあります。

一般的にはまず食事の質に気を付けることが大切です。塩分の少ない食事を与えなければなりません。次に十分に休養させることが必要です。重症の場合は絶対安静にしなければなりませんが、軽症では軽い運動制限をすれば良いでしょう。しかし無理に散歩させてはいけません。散歩の途中で犬が座り込むようなら、散歩をストップさせてください。これは非常に重要なことです。

薬の投与が必要な場合は、獣医師の指示に従いうまく飲ませてください。心臓病は一般に治すことができず、薬の投与も進行を遅らせることが目的です。その他、興奮させるような環境をつくらないことが大切です。

64)Q4歳のヨーキーのオスです。最近涙やけができてしまいました。
4歳のヨーキーのオスです。最近涙やけができてしまいました。白い犬ではないので、涙やけの色は赤ではなく、焦げ茶色です。目やにを取るのを嫌がりますが、毎日できる限り取っていました。涙やけはまだそれほどひどくありませんが、治す方法があればすぐに試したいと思います。予防法も教えてください。(大阪府/Y・S)

64)A
伝染病と関係のない慢性的な涙やけは、小型犬でときどき見られます。涙やけについては、動物病院で治療してもらっても(涙管を通す手術を含む)一時的に良くなるだけで、すぐに再発すると感じている飼い主は多いようです。実際、ただ涙管を通すだけではほとんどが再発します。涙管の先が閉じていたり、涙管自体がなかったり、先天的な涙管の病気をもっている場合が多いからです。最近は涙やけの手術方法も改良されつつあり、治療効果もかなり上がっているので、眼科に精通した獣医師を見つけ、そのアドバイスに従うのが良いでしょう。

治療方法は原因によって違います。一般的に飼い主にできることは、こまめに目やにを取り除いて目を清潔にしたり、少しひどくなったら抗生物質入りの眼薬を使用するなどがあります。また予防法ではありませんが、目立たなくするために、涙やけした部分の毛をカットしたり、オキシフルで脱色する方法もあります。

65)Q:灰白色がかったうんちをしはじめ、よく見ると、所々に血が混ざっています。
1歳7カ月になるアメリカン・コッカー・スパニエル(♂)ですが、2〜3日前から、灰白色がかったうんちをしはじめ、よく見ると、所々に血が混ざっています。おしっこの回数も多めで、黄色っぽい気がします。換毛期でもないのに大量の毛が抜け落ち、毛玉になって落ちていて、毎朝、白い粉(ふけのようなもの)がサークルのまわりにびっしりと落ちています。また、部分的に毛がなくなり、赤い湿疹ができています。A・コッカー・Sは、皮膚病になりやすいといわれていますが、うちのコはほかのコより、体臭もきつく、とても心配です。 (北海道A・T)

65)A
 灰白色がかったうんちをしたとありますが、犬の場合、すい臓に異常があると便の色が白くなることがあります。すい臓の異常はいろいろ複雑な病気がありますので、この件に関してはより専門的な病院で調べてもらうとよいでしょう。しかし、病気が進行した場合は消化器系の下痢とか嘔吐の症状が出てきますので、その際はなおさらです。たまにそうなるというのであれば、いずれ調べる必要があります。
 オシッコの色が黄色っぽいというのは、オシッコが濃縮していて、脱水をしていることを示しています。

  また、ふけのようなものが落ちるということですが、コッカースパニエルでは脂漏性皮膚炎が考えられます。特にコッカースパニエルは(スプリンガースパニエルも)脂漏性の皮膚病が起こりやすいことが知られています。生後18カ月までに症状が現れます。脂漏性皮膚炎は皮膚がベタベタした場合と乾いた場合があります。また臭気を伴うこともあり、感染もあり、かゆみを伴うことがあります。それらの場合は、感染を予防する必要があります。しかし、根本的には、コッカーの脂漏性の原因は不明であるため、二次的な治療を行うしかありません。定期的に薬浴をしたり、定期的に病院に行って他の病気の併発がないか調べてもらうとよいでしょう。

66)Q:お腹のあたりに、ブツブツした湿疹のようなものができています。
1歳のシェルティ(♂)ですが、ココノの皮膚トラブルで悩んでいます。最近、近くの動物病院に連れて行き、「かさぶたをとって、薬を塗ってください」といわれましたが、いっこうに治る気配がありません。エサが悪いのかと思い、最近、「サイエンスダイエット センシティブスキン」に変更しました。お腹のあたりには、ブツブツした湿疹のようなものができています。また、あちこちかゆがって、かわいそうです。どうしたら良いでしょうか? (青森県/N・M)

66)A
 おのおのの皮膚病はその原因によって治療法は変わります。問題はお腹のあたりのぶつぶつした湿疹のようなものを、一部を削り取って顕微鏡で調べ、そこに何があるかを調べるのです。カビがあればカビの薬が必要ですし、細菌があれば抗生物質が必要ですし、アレルギー物質があれば、抗アレルギー剤が必要です。ですから、いかにその皮膚病の原因を病院で調べたかによって治るか治らないかが決まります。

 皮膚病は難しい病気のひとつですので、病院によっては皮膚病を得意としないこともあります。そのような場合、病院を変わる必要があるでしょう。皮膚病に対してアレルギーの少ない食事に変えるということはよいことですが、あくまでも皮膚病の原因を治してから食事の効果が出るわけです。

67)Q:便を食べたり、トイレットシーツを食べたりしています。
7カ月になるチワワ(♀)ですが、私がいてもいなくても、気づくとたまに便を食べたり、トイレットシーツを食べたりしています。体に悪いので、止めさせたいのですが、良い方法はありますか? (香川県/Y・M)

67)A
 犬で便を食べるということはよく聞きますが、なかなか難しい問題です。簡単に言えば、病気の問題と病気でない問題、しつけの問題の二つの方向から考えなければなりません。最初に動物病院で病気であるかどうかを調べてもらうとよいでしょう。すなわち、他の寄生虫の検査や便の検査が重要です。
 寄生虫がいると便をはじめ、他の異物を食べようとします。あなたのチワワは便のみを食べるのか、土とか草とかいろいろ食べるのかによって違ってきます。簡単に言えば、食事の量が足りなければ何でも食べたがります。特に成長期の犬に見られます。

 まず、あなたの上げているフードがチワワに適しているかどうか調べることから始めましょう。 そして、病院では寄生虫の検査、熱はないか、扁桃腺が腫れていないか、その他の異常がないかを調べます。 トイレのシーツを食べるのであれば、使用せず、新聞紙を使用します。シーツの中には、尿を固める作用のある成分に毒性があることがありますので、食べさせるのはよくありません。 また、しつけをよくすることです。よいマナーを教えることが重要です。

68)Q:ワクチン接種後、トマトジュースのような血便と嘔吐を繰り返しました。
我が家の愛犬、コーギーは、今月で5歳4カ月になります。毎年7月に8種混合ワクチンを接種しますが、今年も例年どおり接種しました。当日は、少しおなかがゆるく、抵抗力がおちていたせいかもしれませんが、ワクチンの菌に逆に感染してしまい、翌日からトマトジュースのような血便と嘔吐を繰り返しました。毎日、病院に通い、最近は下血も嘔吐も止まりましたが、今後もこのようなことがあるのではないかと、ワクチン接種をすべきか、見合わすべきなのか悩んでいます。 (山形県/S・K)

68)A
 ワクチンの接種は、できるだけ健康な時に行うのが原則です。あなたの場合はその血便と嘔吐の原因がワクチンかどうかは、この文章からはわかりません。またワクチンを接種する前に身体検査を含めて、どんな検査をしたのかにもよります。
 ワクチンの菌に逆に感染してしまい・・とありますが、まずありえない話です。ワクチン・アレルギー(長毛のダックスフンドに不活化ワクチンを接種すると、起こりやすいことが知られています)以外は、そんなに早くワクチンは効き始めないからです。またワクチンの種類によっても、副作用が違ってきます。例えば、8種より、5種の方が副作用は少なくなりますが、防げる病気の数は当然少なくなります。しかし近年の獣医学の研究によって、ワクチンは飼育の状況によって、毎年の接種は必要でなく、2〜3年に1回の接種で予防は可能であると言う研究が出されており、このことも飼い主の方は知っておくとよいでしょう。このへんは良く動物病院と御相談ください。