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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

No.31〜45

31) 心臓の左側の部屋が大きくなり、お腹がふくれています。
32)ダックスフンドの椎間板ヘルニアという病気について。
33)14歳になるヨーキーが右前脚を使わないで歩くようになりました。
34) オスのラブラドール(1歳6カ月)が初夏から毛が抜け始めました。
35)散歩中にニオイを嗅いで、そこにマーキングをします。
36)愛犬がずっと軟らかい便をしています。
37)予防接種でひどいアレルギーが起こります。
38)仔犬の頃から片目が充血して、目ヤニや涙がいつも出ています。
39)関節リウマチと確定診断され、歩行に障害が出てきています。
40)「引きつけ」のような発作を起こすようになりました。
41)子宮蓄膿症と診断され、急きょ手術をすることになりました。
42)近頃は食べるのも遅く、多く食べると、直後に戻してしまいます。
43)白いかさぶたのようなものができています。
44)仔犬の1頭が先天性の口蓋裂でした。
45)避妊手術をすると肥満や皮膚病の原因になるのでしょうか。

目次 No.1〜15 No.16〜30 No.31〜45
No.46〜60 No.61〜75
31)Q:心臓の左側の部屋が大きくなり、お腹がふくれています。
愛犬の心臓の弁が悪くなり、汚い血液が逆流するということで、シュッシュッという音がしています。心臓の左側の部屋が大きくなり、お腹がふくれています。毎朝、喉に何か引っかかっているような咳をし、ひどいときはコテッと倒れてしまいます。酸欠になるそうです。病院には通っており、1年前から薬も毎日飲んでいます。治すことはできず、病気の進行を遅くするだけ、と聞かされていますが、咳が止まらないときや、倒れてしまったときも、抱いたり、撫でてあげることしかできず、やりきれません。咳をしながら、「苦しいよ!」というように寄ってきて、顔を私の体にくっつけます。咳が出るのは午前2時から4時ごろで、私は眠れません。もう少し楽にしてあげられる方法、した方がよいことなどがありましたら、教えてください。(マルチーズ/10歳/♀ 神奈川県/M.N)
31)A
愛犬の病気はおそらく僧帽弁閉鎖不全症でしょう。これは高齢の小型犬が非常にかかりやすい病気で、この病気の犬を飼っている方は同じように悩んでいます。特にあなたの愛犬の場合、程度がひどいようです。通常このような場合は、5〜6種類、あるいは8種類くらいの薬を投与して症状を抑えますが、それでも十分にコントロールできないこともあります。

アメリカでは最終的に安楽死を選ぶケースが多いようですが、わが国ではその最後の手段を獣医師はあまり勧めない傾向にあります。あなたの愛犬も、すでにいろいろな薬の投与を受けていると思います。その上で飼い主の方に何ができるかということですが、まずできるならば愛犬に心臓病用の食事を与えることです。もしその食事を犬が受け付けない場合、症状のコントロールはより難しいでしょう。

次に、できるだけ安静を保つということです。そして、適度の温度の環境におくことです。特に体重が減り、お腹が膨れてきた場合はほとんど末期症状ですので、そうなると世界中のどんな専門的な医師でも助けることができず、最終的には、犬が苦しくないように、精神安定剤のような薬を使用することになるでしょう。もう1度主治医の先生とよく相談し、最も苦しくない方法を選んであげるのがよいでしょう。
32)Q:ダックスフンドの椎間板ヘルニアという病気について。
椎間板ヘルニアのため、3カ月前ごろから、満足に歩けなくなってしまいました。獣医さんに治療していただき、今は何とか歩けるようになりましたが、後肢がだいぶん小さくなったみたいです。現在のところ、排泄の方は心配ありませんが、このままマヒが進行すると、それも危なくなると聞き、不安に思っています。獣医さんの指示に従うのはもちろんですが、日頃の生活の中で気を付けてあげられることがありましたら、教えてください。あるテレビ番組の中で、犬の鍼の先生が、指で背中の周りを刺激すると効果があると言っていました。今2日に1度、アリナミンAを1錠飲ませています。食事はドッグフード(ドライ)を中心に、鳥ささみなどを混ぜて与えています。カルシウム剤も与えたいのですが、混ぜると嫌って食べなくなります。牛乳をよく飲み、下痢はしません。散歩は、気晴らし程度に30分ほど土手をブラブラ歩かせます。立ち止まったら、無理に歩かせていません。体重は4k途に、増えないように気を付けています。(ミニチュア・ダックスフント/2歳/♀ 埼玉県/K.K)
32)A
ダックスフンドは、椎間板ヘルニアという病気の宿命を背負っているともいえます。もちろんすべてのダックスに起こるわけではありませんが、起こってしまったら、飼い主の方が非常に苦労する病気です。

すでに起こってしまった後肢の萎縮については、有効な治療法はあまりないでしょう。萎縮を少しでも防ぐには、リハビリがよいでしょう。無理をせずにゆっくり30分くらい歩き、立ち止まったら休ませるという方法です。運動することにより痛くなれ ば休むという方法で、「トライ・アンド・エラー」と呼ばれます。ほかに、お風呂のようなところで泳がせるリハビリ方法があります。体が浮いて脚だけ動かすという理想的な方法ですが、泳ぎがあまり得意でない場合、無理に行わないでください。

また、常に排尿排便に注意することが大切です。麻痺が進行すると、排尿が困難になり、尿の時間が長くなったりします。最終的には便のほうも出にくくなりますが、通常、尿の麻痺が起こってから起こります。尿の色も重要です。オシッコがしにくくなると、尿の色が濃くなります。もちろん、水を飲む量も気をつけて見ているとよいでしょう。指で背中の周りを刺激するという方法は、いやがらなければ行ってもよいでしょうが、どれほど効果があるかは医学的には判明していません。

ビタミン剤は、与えないより与えたほうがよいこともあります。カルシウム剤は、与えると骨に悪影響を及ぼす場合があります。獣医師に処方された場合以外は、与えないでください。麻痺が進行するかしないかは、その病状によって違いますが、定期的な検診と規則正しい生活を心がけることが重要です。最も重要なのは、体重が増えないようにすることです。毎日あるいは少なくとも3日ごとに、体重測定をしてください。
33)Q14歳になるヨーキーが右前脚を使わないで歩くようになりました。
14歳になるヨーキーです。8月下旬から右前脚を気にして、その脚をつかわずにケンケンしていたの、散歩にも行かず様子を見ていたのですが、全然よくなりませんでした。その1週間後、イスから飛んだとき、その脚をかばったせいか、立てなくなりました。病院へ連れて行ったら、左後脚の靱帯が切れているか、伸びているかのどちらかだと診断されまた。手術をするといいということですが、レントゲン検査も手術も全身麻酔が必要なため、年齢を考えて、痛み止めを与えるだけで様子を見よういといわれました。右前脚は足首の少し上の骨が腫れています。これもそのままにしておくといわれました。本当に、すべてこのままの状態でいいものでしょうか。詳しいことをもっと知りたいと思います。特に病気もなく元気な犬でしたが、散歩にも行けず、つま先でプルプルしながら立っています。食欲もありません。アドバイスをお願いします。(ヨークシャー・テリア/14歳♂ 神奈川県/H.H)
33)A
右前脚の足首の少し上の骨が腫れているとのことですが、もしそれが少しずつ大きくなっているようでしたら、かなり重大です。大きくなっていなくても、正常ではありませんので、最低限、神経のテストやX線検査をする必要があります。また、どのような場合でも必ず全身麻酔が必要というわけではありません。年齢を考えて痛み止めだけという治療法は、あなたが望んだのでない限り、かなりの医療の不足といえます。すぐに、より専門的な病院で診察を受けることが重要です。そして、どういう検査が必要か、検査の目的は何かどのような治療法が可能か、費用はどのくらいかなどを聞いて、納得してから検査や治療を始めるとよいでしょう
34)Q:オスのラブラドール(1歳6カ月)が初夏から毛が抜け始めました。
オスのラブラドール.R(1歳6カ月)が初夏から毛が抜けはじめ、真夏は気になりませんでしたが、9月に入った途端、背中の毛がごぼっと抜けるようになり、肌の上にフケのようなものが出ていて、ブラッシングすると柔らかい下毛が次々と抜けます。シャンプーはふだん、20日に1度くらいの割合でしています。8月30日、9月3、5日と続けて海や川で泳いだので、続けてシャンプーしました。そのときは、いつも使っているアロエの刺激性の少ないシャンプー(ペットショップで購入)ではなく、 スーパーで購入したダニ・ノミ取りシャンプーを使いましたが、その後,症状が出ました。動物病院では、シャンプーが合わなかったか、あるいはシャンプーのしすぎといわれ、薬用シャンプーを処方されました。このシャンプーで洗った後はきれいになり,フケも見られなくなりましたが、2週間くらいでまたフケ状のものが見られるようになりました。臭いもあり、フケがある部分は少しごわごわした感じで、手が少し油っぽくなります。湿疹はありません。1カ月くらいでよくなるのでしょうか。慢性化の心配はないでしょうか。(新潟県/H.T)
34)A
皮膚病にはいろいろな原因が複雑に絡んでおり、しばしば慢性化して、経過がよくなったと思うと、また悪化することがあります。フケが出て、毛が抜けやすく、臭くて、油っぽいとのことですが、あなたの犬は俗に「犬の脂性」といわれる「脂漏症」かもしれません。これはラブラドールに起こりやすい病気です。

もしこの病気であれば、かなり皮膚病に詳しい病院でないと、治療はなかなか難しいかもしれません。悪化すると、皮膚が真っ黒になるでしょう。いずれにしても、診断には生検(皮膚の一部を取って調べる検査)が必要となるでしょう。

とりあえず、良質のドッグフードに変え、低アレルギーのシャンプーを週に2回ほど使用するとよいでしょう。問題はいかにフケを抑えるかですが、できれば「脂肪酸」の入った薬やフードを与えるとよいといわれています。この病気は、だいたい2歳までに発生します。いずれ、耳にも症状が現れるでしょう。特別な病気ですから、それなりの専門的な知識をもった獣医師でないと、治療は難しいと思います。あなたの話をよく聞いてくれる獣医師を探す努力をしてください。
35)Q:散歩中にニオイを嗅いで、そこにマーキングをします。
ゴールデン.Rのメスが散歩中にニオイを嗅いで、そこにマーキングをします。片脚をあげて、1日に2〜3各くらいします。特にミックスのオス犬のいる家の前で、よくやります。家にいるもう1頭のメスのゴールデン.Rは、そういうことはしません。3歳になってから、マーキングのような行動をするようになりました。どうして、そのような行動をするのでしょうか。(ゴールデン.R 3歳3カ月♀ 高知県/C.N)
35)A
メスがマーキングのような行為をすることはまれです。行動上の異常を除くと、ホルモンに関係する病気の可能性もあります。行動上の異常とは、他の犬のしない異常な行動を起こしたり、他の犬のまねをすることなどです。まれに脳の病気が原因で、行動に異常が現れることがありますが、ほとんどは「しつけ」上の問題です。しつけの先生に相談してみたらいいでしょう。

ホルモンに関係する異常とは、メスなのにオスの生殖器の機能が残存していたり、両方の機能をもっている場合のことです。これを調べるのは大変です。もし出産させる予定がないのなら、不妊手術をすることをお勧めします。その際に判明するかもしれません。
36)Q愛犬がずっと軟らかい便をしています。
知り合いのペットショップからもらった犬のユウが、ずっと軟らかい便をしています。父の話では、ペットショップでよく世話をしてもらえず、エサもちゃんと食べさせてもらっていなかったようです。ユウは1日に3回は便をします。エサは夕方1回与え、その後、15〜45分散歩に連れていきます。大きいので、病院に連れていけません。(G.シェパード 2歳♂ 埼玉県/M.H)
36)A
ずっと軟らかい便をしているということですが、どのくらいの期間続いているのかわからないので、はっきり答えることは難しいです。いずれにしても、病院へ連れていって、原因を調べてもらってください。体が大きくても何でも、犬を動物病院に連れていけるようにならなくてはいけません。予防ワクチンを打つ必要もあるし、今回のように具合が悪くなることもあります。散歩することを考えれば、歩いて連れていくこともできるでしょう。 また、車を使うこともできます。

今の段階で、どうしても連れていくことができないのなら、往診を依頼することもできるでしょう。いずれにしても、獣医さんに診てもらう努力は必要です。

通常、食欲があって便が軟らかい場合は、寄生虫、食べ過ぎ、食事の内容、感染症などの原因が考えられます。今後の問題として、飼い主が犬を動物病院へ連れていけるようにしてください。難しい場合は、しつけの先生に相談するのも方法です。
37)Q:予防接種でひどいアレルギーが起こります。
2歳のミックスのメスです。2カ月と3カ月の予防接種では問題はなかったのですが、1歳のときの接種でひどいアレルギーが起こり、接種の2時間後から嘔吐を繰り返し、顔が変わるほど全身にむくみが出ました。その後、1週間くらい調子をくずしました。2歳のとき、どうしようか迷ったのですが、薬を変えてもらって接種しました。3日くらいで元気になりましたが、やはりアレルギー症状が出ました。原因今後の対処法を教えてください。(大阪府/H.Y)
37)A
ワクチン接種が原因でアレルギーが起こることは、まれにあります。アレルギー症状がいつ起こるかはわかりません。初回に起こりやすいわけでもなく、何度か接種を受けているが大丈夫だったから、今後も起こらないという保証もありません。

通常、早いときは接種後5分くらいで、遅いときは2〜6時間後に起こるようです。過去に起きたことのある犬は、次回にまた起こる可能性が高いので、次の接種時には十分に打ち合わせをしてください。たとえば、早めの時間に予約して、接種の数分あるいは数時間前に、アレルギーを抑える薬(抗ヒスタミン剤など)をもらって飲ませておくとよいでしょう。

そして、ワクチン接種後は、できれば数時間、病院に預かってもらい、様子を見てもらうとよいでしょう。通常は、何度かこのようなことを繰り返すと、自然に起こらなくなることが多いようです。
38)Q仔犬の頃から片目が充血して、目ヤニや涙がいつも出ています。
1歳のキャバリアのメスです。仔犬の頃から、片方の目が充血していて、目ヤニや涙がいつも出ています。何度もティッシュで拭きますが、臭いニオイがします。獣医さんには、眼球が出ている犬にはよくあることだといわれました。別の獣医さんには、眼球に傷があるといわれました。どちらを信用してよいのか、困っています。今は目ヤニを拭くことだけしかしていません。また、イビキをかくのですが、ごくたまにブーッブーッと苦しそうに呼吸します。何もしなくても大丈夫でしょうか。(千葉県/A.I)
38)A
キャバリアは眼が飛び出ていない犬種に比べ、確かに眼の病気が多い犬種です。目ヤニの原因として、通常よく見られるのは細菌の感染です。他に、眼の下に毛が生えていたり、眼の下の部分が内側にめくれているなど、いろいろな原因があります。

通常、獣医師は原因となる基本的な病気を調べ、抗生物質を処方します。2〜3種類の薬を試し、反応がよくなければ、目ヤニを少し取って染色し、細胞を観察したり、ある場合には培養によって、どんな抗生物質が効くかを調べるテストを行います。眼球に傷がある場合もあります。

検査方法としては、眼に染色紙を当ててお水を垂らすと、病変部が変色するのですぐにわかります。動物病院にも得意分野と不得意分野がありますから、眼の病気に詳しい病院を探し、検査をしてもらいましょう。

キャバリアはイビキをかきますが、あなたの犬のイビキの程度はかなり激しいようです。いずれ、喉のヒダを取る手術を受けなければならないでしょう。手術のできる病院を探し、時期について相談してみてはどうでしょうか。
39)Q:関節リウマチと確定診断され、歩行に障害が出てきています。
4歳8カ月のM.ダックス(♀)が2年以上前に関節リウマチと確定診断され、現在、微量のステロイド剤と軟骨を強化する薬を、毎日飲ませています。しかし、前肢の骨組織の破壊が進行しているらしく、歩行に障害が出てきています。家のなかを歩くときも、ポキポキと音がし、パッドの部分で着地できないので、皮膚の一部の毛がはげ、硬くなっています。免疫抑制剤は、血液検査の結果がよくなかったので、1年以上前から使用していません。素人判断ですが、前肢の手根関節部を保護するサポーターのようなものはないでし ょうか。あるいは、家のなかでできるリハビリなど、少しでも犬の苦痛をやわらげ、運動機能の低下を遅らせるような方策を、ぜひ教えてください。(埼玉県/K.K)
39)A
関節リウマチは、程度の差こそあれ、大変な病気で、看護が重要となります。まず、重要な点は、比較的暖かい環境で過ごさせることです。寒い冬は暖房の必要があり、24℃程度の温度を保ちましょう。歩かせるときは、床にカーペットを敷くなど、滑らないように注意します。体重にもよりますが、リハビリはかなり困難です。厚い布団の上で過ごさせるのもよいでしょう。できれば、浅めの風呂に入れて泳がせるのがベストです。

肢への包帯は、少し専門的ですが「ロバートジョーン包帯」の変法がよいでしょう。一度獣医師におたずねください。いずれにしても、十分な休息と睡眠(夜は暗くする)をとらせ、温度管理をし、換気をよくして、できれば温泉療法などを組み合わせてください。
40)Q:「引きつけ」のような発作を起こすようになりました。
2歳7カ月のM.ダックス(♀)が、満1歳の頃より、「引きつけ」のような発作を起こすようになりました。発作時には、小刻みに震え出す→胸からお腹の筋肉が硬直する→口から泡のようなものを出すことがある。まれに失禁する→1〜3、4分で硬直が治る、という経過をたどります。発作がおさまるとすぐに元気になるので、落ち着いてから病院で処方された薬(錠剤)を与えています。発作の起こる間隔は、昨年の夏頃までは1カ月に1回くらい(2日続けて起こることもありました)で、10月以降は起こらず、今年になって2月11 日、12日と連続で起こしました。すぐに病院で血液検査などを受けましたが、問題はないといわれました。原因がわからず、非常に突発的に起こるので心配です。どういう原因が考えられるでしょうか。(北海道/M.A)
40)A
「引きつけ」のような症状を起こす病気はいろいろ考えられます。通常は、まず心臓の病気か心臓以外の病気かを考えます。次に、心臓以外では、脳の病気(てんかんが代表的)か脳以外の病気かを考え、脳以外の場合は、肝臓の病気を考えます。

あなたの愛犬の場合、まず、身体検査、心電図、X線検査などにより、心臓の病気(不整脈が主な原因)がないかどうか調べる必要があるでしょう。特に前兆がなく 、突然引きつけが起こり、すぐに元気になる場合は、心臓の病気から疑います。特に食後に何となく元気がなく、フラフラした状態になり、ひどくなると発作が起こる場合、肝臓の病気が疑われます。脳にアンモニアが入るため、発作が起こるのです。

検査では、胆汁酸の値が重要になります。脳の病気が疑われる場合、CTやMRI(磁気共鳴画像)などの特殊な検査が必要になることもあります。できれば、より専門的な病院で調べてもらうことをお勧めします。
41)Q子宮蓄膿症と診断され、急きょ手術をすることになりました。
1歳6カ月のゴールデン.Rのメスです。子宮蓄膿症と診断され、急きょ手術することになりました。どの本を読んでも、この病気は卵巣機能が衰え始めた中年以降に起こることが多く、若い犬にはまれとのことです。病気が診断される前、発情があって間もなく交配しました。その後も、若干散歩のペースが落ちたかなと思う程度で、食欲もあり、便にも問題はなく、すこぶる元気でした。ボランティア活動に出かけて帰って来た日の夜、食事をせず、ときどき水を飲むだけで、じっと動かなくなりました。病院で診察してもらったところ、子宮に2センチくらいの大きさの膿がたまっていることがわかり、生まれてくる子どもよりも母親が大事と、手術をすることになりました。菌が血液を通して体中を回っているので、抗生物質の投与が必要だが、菌の絶滅は難しいので、一生のつき合いになるかもしれないといわれました。これから病気とどうつき合っていけばいいのか、アドバイスをお願いします。(神奈川県/M.Y)
41)A
確かに子宮蓄膿症は、中年以降に起こることが多い病気です。対応法は病気の程度によって異なりますが、愛犬の場合、初期か中期の初めと思われます。もし子どもを生ませないのなら、不妊手術をすれば問題は解決します。子どもを生ませたい場合は、一般的には抗生物質療法をかなり長期間続けることになります。

子宮蓄膿症は細菌感染が原因で膿がたまる病気ですが、子宮内の感染は不妊の原因になります。したがって、感染症の予防のために、抗生物質の投与が必要になるのです。子宮に感染症があれば、熱が出たり、水をたくさん飲みます。膣から膿が出ることもあります。そのような症状をよく観察することが大切です。

病気のコントロールが難しい場合、手術が必要になるでしょう。主治医とよく話し合って、定期的な検診を受けることをお勧めします。
42)Q近頃は食べるのも遅く、多く食べると、直後に戻してしまいます。
1歳のM.ダックスフンドのメスです。4〜5カ月くらいまではよく食べていたのですが、近頃は食べるのも遅く、多く食べると、直後に戻してしまいます。吐いたものは全然消化されていないドッグフードそのものなので、ほうっておくと食べてしまいます。たらの干物は大好きで、よく食べ、吐きません。リンゴもときどき食べます。体重は約2.7kg。お尻の骨が少し当たります。(兵庫県/A.O)
42)A
愛犬の状態は、食道の病気の典型的な症状を示しています。口から食べたものを吐くことは、医学的には「嘔吐」と「吐き出し(逆流)」のふたつに分けられます。前者はいったん胃の中に入った食べ物が戻されて出てくるので、吐いたものはある程度消化されており、犬はそれを食べることはありません。

これに対して、後者は食道から戻されるので、食べ物が消化されていません。これが愛犬のケースです。食道の状態ですが、ひとつには単に食道が大きくなっていることが考えられます。これは先天的なケースの可能性がありますので、その方面に詳しい獣医さんに診てもらう必要があるでしょう。また、心臓の先天的な病気のため、食道の一部が狭窄していることも考えられます。狭窄部分の手前が大きくなってしまい、そこに食べ物がたまって吐き出されるのです。その他、食道炎(食べ物が逆流して炎症を起こす)なども考えられます。

対策としては、一度に食べさせず、少しずつ食べさせるのがいいでしょう。また、食事を少し高い場所に置き、犬がうつむいて食べないように配慮したり、食後、犬の食道が垂直になるような形で抱いていると、吐くことが少なくなるようです。いずれにしても、消化器の病気に詳しい病院に相談したほうがよいでしょう。特にあなたの犬はやせているようですので、早急に対応が必要と思います。
43)Q:白いかさぶたのようなものができています。
5歳4カ月のシー・ズーのメスが皮膚が弱く、耳の中、首(喉のあたり)を頻繁に掻き、白いかさぶたのようなものができています。獣医さんにはガビの1種といわれました。あまり強い薬を飲ませたくないのですが、食事やお風呂でよくなるでしょうか。ベビーパウダーやベビーオイルを使ってもいいでしょうか。(山梨県/K.I)
43)A
おそらく脂漏症といわれるタイプの皮膚病で、かさぶたはフケのようなものでしょう。かさぶたからカビが検出されれば、カビもあることになります。

一般的な療法は、食事療法とシャンプー療法です。食事は良質のタンパクに富んだ食事を与えますが、かさぶたの原因となる栄養物がどんどん体内から出てしまいますので、それらを補給します。たとえば、食用の紅花オイルなどを少し食事の混ぜて与えるといいでしょう。しかし、オイルは下剤として働きますので、量が多いと軟便または下痢となってしまいます。通常、シー・ズーでは2〜3CCくらいを与えます。そして、便の様子を見てください。箸などでさわると、形がくずれるギリギリくらいの固さがよいでしょう。

シャンプー療法では、脂漏症に適したシャンプー(人間のフケ防止シャンプーに当たる)を使用してください。ベビーオイルは、皮膚が非常に乾燥している場合は少量塗るとよいでしょう。多く塗りすぎると、皮膚がベタベタしますので、回数に注意してください。通常、少量を 1週間に1度くらい塗ります。

通常、食事とシャンプー療法では、症状全体の50%くらいしか軽減できません。わかりやすくいえば、かゆみも半分くらいしか止まらないということです。さらに効果をあげるには、できるだけ皮膚病に関心のある動物病院で治療なさる必要があるでしょう。
44)Q:仔犬の1頭が先天性の口蓋裂でした。
ラブラドール.Rが4回目の出産をしました。仔犬の1頭が先天性の口蓋裂でした。もうすぐ1カ月たちますが、目も開きましたし、歩きます。食事は初めは犬用ミルクを哺乳ビンで与えていましたが、すぐにむせるので大変でした。ほかの仔犬が離乳食を食べるようになると、その犬も食べようとするので、獣医さんに相談したところ、そのほうが気管に入らずよいかもしれないとのことで、今は獣医さんに処方してもらった高カロリーの缶詰をお湯で溶いて与えています。体重は現在500グラムちょっとですが、うまく育つでしょうか。3〜6カ月くらいで手術ができるそうですが、どのような手術でしょうか。それまで、どういったことに気をつければよいでしょうか。(愛知県/I.O)
44)A
現在、比較的順調に育っているということなので、ある程度の大きさになった時点で手術をするのがよいでしょう。ダックスフンドほどではありませんが、ラブラドールも先天的に口蓋裂傷の多い犬種として知られています。問題は手術ができる大きさになるまで、いかに育てるかということです。

一番気をつけなくてはならないのは、食べたものが口蓋の裂傷から気管や鼻に漏れることです。そのようなことが長く続くと、誤飲性の肺炎を起こすことがあります。ですから、飼い主さんが食事をするところをよく見ていて、誤飲しないように注意することが重要です。食事中に咳やくしゃみが出たり、呼吸困難があった場合には、抗生物質等ですぐに治療しなければならないので、予防のために動物病院から薬をもらってお きましょう。

最もよい方法は、比較的太い管で胃に直接食事を送りこむことで、少し慣れればできるようになります。この方法なら、誤飲する可能性が少なくなります。また、大量に与えると胃が一杯になり、食べ物が胃から逆流して、誤飲することがありますので、量は少しずつ与えましょう。

手術は裂傷の程度によりますが、1回で完了するとは限りません。何回かの手術が必要になる場合もあることを知っておいてください。手術がうまくいって治った場合も、先天的な病気といわれていますので、子どもをつくらないように不妊手術をお勧めします。
45)Q:避妊手術をすると肥満や皮膚病の原因になるのでしょうか。
1歳3カ月のメスのシェルティーを飼っています。避妊手術には、メス犬特有の病気の予防・発情期中のストレスの除去・不幸な妊娠がなくなることなどのメリットがあると聞きますが、反面ホルモンバランスが崩れ、肥満や皮膚病の原因になるとも言われているので、手術をするかどうか迷っています。うちの犬は皮膚にアレルギー症状が出やすく(軽度ですが)、また病院の先生からも「シェルティーは薬や注射などに対する感受性の強い子が多い」と言われています。それに、麻酔や手術そのものの危険性についても気になります。

現在は、「ニュートラリゼーション」(中性化)という方法もあると雑誌で読んだのですが、どのような方法でしょうか。避妊をする方向で考えていますが、動物病院に相談する際、確認すること、気を付けることなどがあれば教えてください。(佐賀県/Y・Y)
45)A
避妊手術が肥満の原因になるという問題ですが、肥満の原因はあくまでも食べ過ぎ(カロリーオーバー)にあります。規定量(肥満していなければ、手術前の食事量)を与えれば、肥満はしません。皮膚病の原因になることもありません。逆に避妊手術をしていないと、皮膚病(子宮に関係するホルモンによる皮膚病)が治りにくくなることがあります。以前は、避妊手術をすると起こり得る病気として「尿失禁」(尿が垂れ流しになる状態)が考えられていましたが、現在ではほとんど否定されています。

手術による危険性は、1000頭に1頭の割合で発生する可能性がありますが、術前の検査等によってもっと少なくすることはできるでしょう。中性化は、手術に比べて確実性が低下し、副作用が起こる心配も多少あります。あなたが心配していることを先生に話し、疑問点を解決すればよいでしょう。また、セカンドオピニオンに聞くことも重要です。