鍼灸療法について
-鍼灸治療-
動物の体にも人間と同様にツボ(気が溜る場所:経穴)、経絡(けいらく:気の通り道)があると考えられています。人では身体のツボは全部で360個以上あると言われています。個体ごと、症状ごとに合わせて全身あるいは局所の治療を行うことを目的とします。
鍼灸治療には次のような効果が期待できます。
① 滞っている血流の流れを良くする
ツボを刺激する事で循環が良くなります。また、鍼(ハリ)は体内では異物と認識されるため、刺入により局所の免疫機能が生じます。免疫機能が働くと血流が良くなり、痛みの原因となる物質を取り除くことができます。
② 硬くなった筋肉の緊張を軟らかくする
筋肉が緊張すると硬くなり、コリや痛みが現れます。硬くなった筋肉が柔らかくなると関節の可動域が広がり、痛みも改善されます。また痛みが改善されることで制限されていた関節の動きが改善されます。
③ 脳に鍼刺激を与えて痛みをとる
鍼(ハリ)には麻酔効果があると言われています。鍼(ハリ)刺激が脳に伝わるとβエンドルフィン、エンケファリン、セロトニン、ドーパミン等が分泌され鎮痛作用、鎮静作用により運動機能の回復が期待できます。
④ 神経反射により内臓の働きを良くする
鍼(はり)を直接内臓に刺激することはできないですが、ツボは身体の様々な場所に存在し、各内臓につながる経絡は四肢などの末端にもあります。四肢等に鍼(はり)を刺すことで神経反射が起こり、間接的に内臓を刺激します。例えば肝経のツボを刺激すると肝臓が賦活され解毒作用が亢進されます。
以上のような効果により局部だけではなく、身体全体に働きかけ免疫力をアップさせ自然治癒力を高めます。
さらに鍼灸治療は漢方と併用することで体の外側(鍼灸)と内側(漢方)からアプローチができ、即効性があり、非常に有効な効果が期待できます。
-鍼(はり)-
鍼(はり)で体のツボを刺激するとことで血行を良くし、痛みや症状の緩和が期待できます。また自己治癒力、免疫力を高めます。 鍼(はり)は注射針と違ってとても細いので刺しても血が出ることはなく、痛みもありません。なぜならば ・注射針に比べて鍼(はり)は人の髪の毛くらいの太さのため ・注射針は皮下、筋肉、血管などに刺しますが、 鍼(はり)は血管ではなく全身に存在するツボ(筋肉や皮下脂肪)に刺します。
上:採血に用いる25G針
下:鍼(はり) |
※鍼(ハリ)は全て滅菌されたディスポ鍼(ハリ)を使用しているため、感染症の心配はありません。
【方法】
経穴(ツボ)に一定の刺激を加える方法と10~15分間置く方法があります。症状や状態によって鍼にクリップをつけ、低周波パルス通電をする場合もあります。
-灸(きゅう)-
灸(きゅう)は体のツボを刺激し、血行を良くし、温熱で本来の持っている自己治癒力を高めたり、症状の緩和が期待できます。
【方法】
艾(もぐさ)を用いてツボに直接または間接的に熱刺激を加える方法もありますが、動物は人と異なり、毛が全身にあるため、棒灸を専用のホルダーに入れ、身体に直接触れないように布を挟んで身体を温めます。
鍼灸治療の適応症例
米国 国立衛生研究所(NIH)では下記の通り鍼灸療法の各種の病気に対する効果とその科学的根拠、西洋医学の代替治療として効果について有効性を表明を発表しています。
「鍼は治療法の一つとして合衆国で広く普及している。」「成人の術後や薬物療法時の吐き気、嘔吐、および歯科の術後痛に鍼が有効であるという有望な結果が得られている。また、薬物中毒、脳卒中のリハビリ、頭痛、月経痛、テニス肘、線維性筋痛、筋膜性疼痛、変形性 関節炎、腰痛、手根管症候群 、喘息などに対しては、補助的ないしは代替的治療法として有用であろう。」と全日本鍼灸学会雑誌48巻2号より抜粋)
*鍼灸療法で有効性がある病気 社団法人日本鍼灸師会 http://www.harikyu.or.jp/general/effect.html
神経系
◎神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー
運動器系疾患
関節炎・◎リウマチ・◎頚肩腕症候群・◎頚椎捻挫後遺症・◎五十肩・腱鞘炎・◎腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
循環器系疾患
心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
呼吸器系疾患
気管支炎・喘息・風邪および予防
消化器系疾患
胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
代謝内分泌系疾患
バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血
耳鼻咽喉科系疾患
中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎
眼科系疾患
眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい
生殖・泌尿器系疾患
膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
婦人科系疾患
更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊
鍼灸治療の疼痛効果
鍼灸治療は麻酔効果があり、特に痛みを緩和する効果は高いく、鍼灸治療のみ単独で行うことも可能です。しかし、西洋医療の治療の補助や漢方と併用することで、相乗効果が期待できます。漢方や西洋医療を併用することで体の外側(鍼灸、西洋医療の外用薬)と内側(漢方、西洋医療の内服薬)からアプローチすることで即効性があり、非常に有効な効果が期待できます。
動物で適応になる症例
・椎間板ヘルニア(比較的症状が軽度~慢性的な場合)
※脊髄軟化症:外科手術が適用になる可能性が高いです。
・関節炎(手術適応など例外もあります。)
・事故などで下半身不随になった場合、手術後のリハビリ
・高齢により足腰が弱ったり、歩行困難、失禁、体力低下時
・慢性腎不全
・アレルギー
・皮膚疾患
・肥満などにも効果が期待できます。
・健康維持の養生としても活用できる
元気がない時、なんとなく体がだるい時にも鍼灸により 「やる気」「元気」の『気』を養うことができます。
こんな時は鍼灸治療を受けることができません。
① 予防接種ワクチンを受けたとき
ワクチンにより体内で免疫システムが働いており、そこに鍼刺激を加えると体への負担が大きくなります。
② 鍼灸治療適用外
感染症がある場合/急性腹症の場合/重篤な心疾患/悪性腫瘍(ガン)/高血圧/低血圧/出血している場合/免疫不全疾患がある場合/発熱時/手術適用の骨折時/等 獣医師の診断後、鍼灸適用か判断します。
-レーザー治療-
医療用のレーザーには、以下のレーザーがあります。
●高出力レーザー・・・外科手術用で、組織を切開・切除して血液を凝固する。
●低出力レーザー・・・主に内科治療用で疼痛の緩解、血行促進、消炎効果。
・低出力レーザー:スーパーパルスレーザー
・低出力レーザー:直線偏光近赤外線レーザー
・低出力レーザー&高出力レーザー:半導体レーザー
ここでは治療用のレーザー、すなわち低出力レーザーについてお話します。 当院では現在低出力レーザー治療のパルスレーザー、半導体レーザー、近赤外線レーザーの3つのレーザー治療器を、各々の症例において、単独又は組み合わせて使用しています。
主に使用するのは、スーパーパルスレーザーです。これはハンディタイプで、気軽に持ち運びができます。また保護メガネも必要ありません。ゆえに手軽に使用できます。原則的には病院に来ていただきますが、使用法をマスターされた時には、時に貸し出しや、購買も可能な場合があります。
また直線偏光近赤外線レーザーは、装置が大きいので病院に必ず来院していだだき行うこととなります。このスーパーライザーの波長は幅広く深達度が高いので、深い病変の場合にはより適しています。しかし保護メガネが必要となります。
最初は直線偏光近赤外線レーザーにて数回行い、その後スーパーパルスレーザーを組み合わせる場合もあります。またこれらの低出力レーザーと鍼灸との組み合わせの場合もあります。これは針にレーザーを当てる方法です。鍼灸とレーザーの相乗効果を狙った方法です。
半導体レーザーのオサダライトサージ15Vは、主に外科手術の高出力レーザーとして用います。 軟部組織、例えば口腔内の手術(軟口蓋過剰症等)にも用いられます。俗にいう「レーザーメス」です。比較的まれですが、手術室にて外科手術後の疼痛緩和として、 低出力レーザーとして用いられることもあります。
低出力レーザー治療(Low Power Laser Therapy- LLLT)は、主に疼痛の緩解、血行促進、創傷治癒の促進、消炎効果を目的としています。これらのレーザーは、非接触で行えます。
それゆえ、レーザー治療中も、動物は痛みを感じないで済みます。レーザー治療は、適切に使用すれば無痛、無侵襲で行うことができ、合併症や副作用は認められていません。状態によっては、病変にビタミン剤や局所麻酔をして、レーザー治療をするとより効果的な場合もあります。
使用するレーザーの種類、照射箇所、照射回数、照射時間等はその動物の容態に合わせて決定されます。これは鍼灸に対して応用できない「ツボ (経穴)」に対してもレーザー治療は対応できます。
適応は、主に広範囲な慢性疾患、特に疼痛を伴う症例に使用されています。慢性の疾患にて体力の消耗性の疾患 変性性の関節疾患 慢性の炎症性疾患 骨、関節炎等の慢性の疾患 疼痛の管理 創傷の治癒の促進 血行の促進 急性及び慢性の外耳炎 口内炎 歯肉炎 関節炎 舐性肉芽腫 椎間板ヘルニア神経障害及び筋障害(ミオパシー) 損傷 骨折 脱臼後 火傷後 打撲 アトピー性皮膚炎 手術後の疼痛緩和等です。
低出力レーザー治療(LLLT)はかなり弱い(1~100 mW)赤色から近赤外領域の波長(630~830 nm)のレーザー光を皮膚の表面から照射して、急性、慢性の疼痛や炎症を緩和し、同時にその刺激により、生体の自己再生力を刺激し、病気そのものの本体も治 癒させる可能性があります。これは比較的新しい治療で、コールドレーザー治療とも呼ばれています。これは各々の組織に相互作用をして、特長のある波長を放射して治療する方法です。
しかし、あくまで、これらの低出力レーザーによる治療は、西洋医学のように、病気の原因から治そうとするのでなく、東洋医学の特徴である、本来持っている 体のバランスを整える、すなわちホメオスターシス(恒常性)のバランスを整えるというものです。 動物の体質や体系にある素因、慢性の疾患、東洋医学的な「虚」に対して、光線刺激療法が「補瀉」として「痛み」や「炎症」に働くように行うものです。
※武蔵野動物・レーザー治療センターを参照してください。
犬猫の運動療法は、基本的には犬は散歩に行くことであるが、猫は難しいので室内で行うのが望ましい。しかしすべてにおいて犬猫は運動療法を行うのは難しい状況にある。特に猫はそうである。
犬猫のマッサージ療法の基本 動作の基本は時計回りの刺激、軽く叩いて刺激、足先から根本へ刺激、前後左右への刺激の4大基本動作 始は特にゆっくり、やわらかく、いやがらない程度で行うのが基本、常に触ってどこか痛がらないかを気を配ること。特に高齢の動物は関節等に痛みがある場合がある。 四肢は先から奥へ刺激、お腹は臍を中心に、その前後の直線の周囲を、時計回りに、小さい輪から大きい輪を描いて、背中は背骨の左右をやはり時計回りに小さい輪を描きなから首から尾尻まで行う、 猫の運動療法・・・・原則すべて室内において行う。そのためには、通常いくつかの道具が必要となる。ポインター、猫じゃらし(cat feather toy)、犬猫用のおもちゃ、にて遊ぶこととなるが、人の動物の関係にもとても良いものである。また階段をして行うことも可能な場合がある。 犬の運動療法・・・・ 循環作用(Circulation) 運動やマッサージ整骨療法などで血液の循環を高める 同化作用(Assimilation) 食物を消化吸収する能力、水を飲む 弛緩作用(Relaxation) 十分な睡眠、リラクゼーションの時間をとることで得られる 排泄作用(Elimination) 身体の毒素を排出し、体内を浄化することで、身体を健康に保ってくれます。排泄を促すために、運動、洗腸、蒸気浴、呼吸法、水を飲む 犬猫のマッサージ療法は決して無理はしないで行うことが重要である。特に高齢の犬猫には関節炎等の骨や関節の病気を持つ場合があるので、それらに精通した獣医師の診察(関節の触診、X線検査、各関節の可動域等を調べる)を受けてから、どこまで行うかを決定する。無理のない範囲で行うことが重要となる。 運動して酸素不足の状態を作り出す(ミトコンドリアを増やす)ことを目的と行うが、できうれば、屈伸運動、酸素療法、マッサージ、リハビリティション等を行った後に、レーザー療法や、酸素の補給を行うとさらに効果的と思われる。体全体の血行の促進も期待できる。
-犬猫のマッサージ療法-
基本
動作の基本は時計回りの刺激、軽く叩いて刺激、足先から根本へ刺激、前後左右への刺激の4大基本動作
始は特にゆっくり、やわらかく、いやがらない程度で行うのが基本、常に触ってどこか痛がらないかを気を配ること。特に高齢の動物は関節等に痛みがある場合がある。
四肢は先から奥へ刺激、お腹は臍を中心に、その前後の直線の周囲を、時計回りに、小さい輪から大きい輪を描いて、背中は背骨の左右をやはり時計回りに小さい輪を描きなから首から尾尻まで行う
猫の運動療法・・・・原則すべて室内において行う。そのためには、通常いくつかの道具が必要となる。ポインター、猫じゃらし(cat feather toy)、犬猫用のおもちゃ、にて遊ぶこととなるが、人と動物の関係にもとても良いものである。また階段をして行うことも可能な場合がある。
犬の運動療法・・・・
循環作用(Circulation) 運動やマッサージ整骨療法などで血液の循環を高める
同化作用(Assimilation) 食物を消化吸収する能力、水を飲む
弛緩作用(Relaxation) 十分な睡眠、リラクゼーションの時間をとることで得られる
排泄作用(Elimination) 身体の毒素を排出し、体内を浄化することで、身体を健康に保ってくれます。排泄を促すために、運動、洗腸、蒸気浴、呼吸法、水を飲む
犬猫のマッサージ療法は決して無理はしないで行うことが重要である。特に高齢の犬猫には関節炎等の骨や関節の病気を持つ場合があるので、それらに精通した獣医師の診察(関節の触診、X線検査、各関節の可動域等を調べる)を受けてから、どこまで行うかを決定する。無理のない範囲で行うことが重要となる。
運動して酸素不足の状態を作り出す(ミトコンドリアを増やす)ことを目的と行うが、できうれば、屈伸運動、酸素療法、マッサージ、リハビリティション等を行った後に、レーザー療法や、酸素の補給を行うとさらに効果的と思われる。体全体の血行の促進も期待できる。
武蔵野動物・統合獣医療センターの内容-INDEXに戻る↑ |