■フェレットの性質について |
フェレットは性格がよく、遊び好きで、攻撃性がなく、縄張り行動を示さない。また、注目されることの要求度が高い。またフェレットは、人間や他の動物と一緒にいることを好む大変活動的で、好奇心が強い動物である。
フェレットは生涯を通して遊び好きである。そしてフェレットは、昼行性あるいは夜行性に限定されない。つまり彼らは普通、早朝や夕方に最も活発であるが、彼ら本来の生活リズムは、飼い主に合わせて変えることが可能である。フェレットは自由に家の中を走り回ることがとても好きで、家の中でネコのようにトイレを使用することを教えることができる。
全ての部屋、あるいはフェレットが多く時間を過ごす場所にトイレをおくことが望ましい。トイレは隅に置く。またフェレットは非常に好奇心が強く、機敏で何にでも興味を持つ。従って彼らは、家庭内の植物に悪戯したり、靴下を盗んだり、棚からものを落としたりする。
フェレットから目を離すときには、ケージに入れておくべきである。この原則がフェレットを飼育する上で最も重要である。寝ている子供や赤ちゃんを噛んだりする事故は避けることが重要である。ケージに入れておくことによって、数え切れない家の損傷を防ぎ、フェレットの外傷、中毒および逃亡を防ぐことになる。そしてフェレットはものを盗み、それを宝物のように扱い、部屋の隅や角に引きずり込む。多くのフェレットは家のあちこちのいくつかの場所に、それをしまっておく。くれぐれも自然界にはないものは置かない、例えばゴム、スポンジ、布はし、は口に入れて飲み込むことがあるので要注意である。なぜかハミガキチューブ、小さい玩具等も好きなようで、事故が起らないようにすることが重要である。
フェレットはまた狭いところへ入るのが好きである。もし、頭が入れるところならば、体も通れる。フェレットは、袋、穴、枕ケース、引き出し、衣類、管、箱、食器棚、およびガラス戸棚が好きである。フェレットは不妊手術をすれば、雌雄ともストレスが少なくなる。
フェレットはよく動き回る動物で、あちこちへと行くのが好きである。小さいトイレを備え付けた標準のイヌあるいはネコ用のキャリアーが、フェレットには適当である。
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■フェレットの食餌について |
フェレットは真の肉食動物である。従って4%以上の繊維質を処理することができない。フェレット用に特別に処方された市販の食餌が推奨される。ネコ用のドライフードをフェレット用へ切り替えるためには、フェレットフードの大きさに近くなるようにキャットフードを砕く。そして、徐々にフェレットフードの中へ混ぜる。つまり、最初は10%のキャットフードと90%のフェレットフードから初め、2〜3週間かけてキャットフードが100%になるように割合を変えていく。
食餌に食塩を加えることはさける。フェレットの摂取量(ドライタイプ)は、成獣のフェレットで1日におよそ20〜40gである。消化管内通過時間は、最大3時間である。新鮮な水が常に利用できるようにしなければならない。多くのフェレットは、甘いもの、乳製品、レーズン、フルーツおよび野菜を好むが、摂取させるのは、制限すべきである。ほとんどのものが下痢を引き起こすだろう。フェレットはフルーツや野菜の中に含まれている繊維を消化することができない。
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■フェレットの住まいについて |
ケージの寸法
(縦×横×高さ) |
繁殖用=75×45×15cm
成長期=55×50×40cm |
環境温度 |
15〜25℃が望ましい |
湿度 |
45〜55 % |
照明 |
1日に12〜16時間が適当 |
巣の材料 |
削りくず(固い木材、松材で、杉は避ける)。
あるいは、色々な再生ペレット |
好んで睡眠するところ |
タオルと毛布あるいはセーターと一緒に。
また、ハンモックや箱の中。
柔らかい布や衣服の中に潜り込むのが好きである。 |
フェレットは何でも探索したがるので、安全な環境を提供する。飲み込む可能性のあるゴム製やプラスチック製のおもちゃを除去する。このことは若いフェレットに特に重要である。トイレを清潔に乾燥した状態に保つ。 |
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■フェレットの学習能力を高めましょう、それには不動化を訓練しましよう |
フェレットは学習するのが早く、ベルやキーキーいう音、あるいはカチッと音を出すような特別な合図でこっちへ来るようにしつけることができる。
フェレットはおもちゃをかんだり、それにしがみついたりする傾向がある。従って早い時期に訓練としつけをすることで、成長したときにそれを噛んだり壊したりする癖をなくすこともできますが、原則飲み込むくらいの小さいおもちゃはとうざけることが必要です。(舐めることは好ましくありません。つまり"フェレット・キス"は勧められない)フェレットはまたハーネスやリードに簡単に順応する。
人間と共存するためには、フェレットにもある程度の躾は必要であろう。 まず飼い主はフェレットの不動化を躾けることを心掛けましょう。それにはフェレットの首の後ろを持って脚を少し浮かせます。軽く後肢を支えて持っても良いでしょう。なぜこの姿勢をさせて動かなくさせるかは、フェレットの検査や治療の際に、この姿勢の訓練をしておくと、あまり暴れないで診断や治療ができるようになりますので、そのための訓練として行います。病気になった場合に命にも関係する場合もあります。 |
■フェレットの予防接種について |
予防的看護としてのワクチン接種プロトコールは、イヌジステンパーのワクチンをできれば、 |
6週齢 |
皮下注射 |
10週齢 |
14週齢 |
毎年の予防接種をする
ブースター(追加の抗原刺激) |
フェレットの予防接種(ワクチン接種)は犬用のワクチンを接種しますが、まれではあっても、アナフィラキシー様反応が報告されているので、用心のため、予防接種の後、特に最低、20〜30分はフェレットを病院内に置いておくことが望ましいことです。その反応は、呼吸困難、流涎、震戦あるいは発作、排尿/排便、発熱といった徴候として現れます。たとえそのフェレットにこのような反応が起こったとしても、今まで通り年1回のブースター接種を行うことが望ましいとされています。
現在我国にはフェレット用のワクチンはありません。米国にはフェレット用がありますが、その持込(輸入)は法律(薬事法)で禁止されて(動物用生物学的製剤は輸入禁止です)います。それゆえに犬用のワクチンを接種することになりますが、それには条件があります。そのワクチンは、犬の細胞(腎臓等)で培養したワクチンでなく、鶏由来のワクチンを使用します。フェレットはジステンパーに罹るとほぼ100%死亡すると言われていますので、ワクチン接種が必要なのです。
もしあなたが犬を飼育している場合は、必ずその犬もワクチンを接種する必要があります。ジステンパーの予防接種をしていない犬(特に子犬)にフェレットを近づけない方が安全です。現在の所、犬のジステンパーの予防接種のように3年ごとの予防接種でも予防できるというような報告はフェレットではありません。特にフェレットには犬用を使用するので、おそらくは無理であると考えられています。
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■フェレットの生理学的データの早見表 |
生理学的 |
寿命 |
5〜8年 |
成獣の雄の体重 |
0.8〜3.0kg
(まれに3kg) |
成獣の雌の体重 |
0.7〜1.0kg
(まれに2kg) |
心拍数 |
225bpm |
血液量 |
60〜80ml/kg |
生殖学的 |
性成熟(雄) |
8〜12ヶ月 |
性成熟(雌) |
8〜12ヶ月 |
発情周期 |
多発情型 |
発情持続時間 |
交配するまで延長する |
排卵型 |
交配による誘発性 |
排卵時間 |
30時間 |
繁殖期 |
年中 |
着床時間 |
13日目 |
妊娠期間 |
42日 |
胎児数 |
10(7〜14) |
出生時の体重 |
8.5g |
離乳年齢 |
6週齢 |
離乳時の体重 |
0.2〜0.4kg |
再繁殖 |
すぐにでも |
固形食を食べ始める |
14〜21日 |
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■フェレットの一般的な緊急疾患状態と臨床的疾患状態 |
胃腸管
(沈鬱、急性腹症、衰弱、脱水、下痢、嘔吐を呈するかもしれない) |
異物
不適切な食事
増殖性腸疾患
コクシジウム(特に若いフェレット)
キャンピロバクター/ヘリコバクター
胃腸炎
胃潰瘍
内部寄生虫
好酸球性胃炎
インスリノーマ
巨大食道、食道閉塞
異物が詰まることにより2次的に起こる胃拡張
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新生物 |
副腎腫瘍
リンパ腫
肥満細胞腫
生殖器腫瘍等 |
発作/神経症状 |
インスリノーマ
外傷
中毒
イヌジステンパーウイルス 毒素
増殖性腸炎
新生物
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発熱ストレス |
あらゆる原因の発熱、開口呼吸があるか? |
粘膜のチアノーゼ |
呼吸障害(肺炎あるいは胸腔内リンパ腫)
心筋症
横隔膜ヘルニア
外傷、電気ショック
中毒/アレルギー反応 |
外傷 |
落下した、落とされた、挟まれた、押しつぶされたという病歴
骨折、脱臼
押しつぶし/圧迫を含む傷 |
呼吸の窮迫?
呼吸困難 |
インフルエンザvsイヌジステンパーウイルス
肺炎(細菌性が多い)
心筋症
犬糸状虫症(フィラリア)
機械的(腹圧、腫瘍塊、横隔膜ヘルニア、など)
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脱毛 |
副腎腫瘍
皮膚真菌症
エストロゲン中毒
外部寄生虫
肥満細胞腫
季節性脱毛(主に尾)
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痒み |
外部寄生虫
副腎腫瘍
肥満細胞腫
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腹部の腫大
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脾臓の拡大
新生物(腫瘍)
胃内異物
多発性腎嚢胞
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■フェレットの人獣共通伝染病の可能性 |
・ジアルジア
・インフルエンザウイルスA
・リステリア
・ノミ=イヌノミ属
・イヌ小胞子菌−皮膚真菌症
・ヒゼンダニ属のダニ:ヒゼンダニ
・サルモネラ
・耳ダニ:ミミダニ
・キャンピロバクター
・狂犬病
・結核?(トリ型結核菌、ウシ型結核菌)
・イヌ糸状虫(心臓糸状虫―フィラリア)
・ヒト型結核菌・クリプトスポリジウム |
■フェレットの飼い主の方への警告!! |
動物病院を訪れる飼い主に警告!
(毎年の定期健診の最重要事項) |
フェレットを飼育したらすぐに動物病院へ行って検診を受けましょう。特に初回の検診の内容が重要です。
体重の測定(オス0.8〜2.0kg、メス0.7〜1.0kg)
体温の測定(可能ならデジタル式体温計にて)
耳の検査とその掃除(耳ダニがいないか?)
リンパ節の触診(固さ、左右の対称性は?)
雌の場合は、この時点で外陰部の大きさを飼い主に記憶してもらう
雄の場合は精巣の大きさを調べる
皮膚の検査(ノミ、痒み、新生物、脱毛―特に尾の先)と手入れ
歯の検査(今後に行うハミガキの方法の指導)
聴診(心臓の音180-250回/分、を調べる雑音は?)
触診(頭部や胸部を上方に保つと腹部の触診が容易となる)
糞便検査(コクシジウム、ジアルジア等)
食事の与え方とその内容の検討と指導
飼育法の検討と指導について
必要なら予防接種
必要ならグルーミング:入浴の回数と方法
日常管理:ブラッシング、毛球予防、爪切り、毛並みの手入れ
フィラリアの予防(状況によって)
フェレットを診察する動物病院は限られています。 その限られた動物病院の中でも、すべての動物病院が同じようにフェレットを診察できるとは限りません。 例えば初回にフェレットを動物病院に連れていった際には、動物病院が上記のどれだけの検査を行うか観察することをお勧めします。 二回目移行の診察はすべては必要ないかもしれませんが、是非に初回は行うと良い健康診断のチェック・リストです。新しくフェレットを飼育したら3日以内に動物病院に行くことをお勧めします。 以下のフェレットの健康診断チェック・リストを使用して、飼い主の方は記録することをお勧めします
フェレットの定期健康診断、チェック・リスト
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平成 年 月 日 飼い主名 __ |
飼い主名 フェレット名 年齢 性別 _ |
体重の測定(オス0.8〜2.0kg、メス0.7〜1.0kg) |
(前回 Kg、 今回 Kg ) |
体温の測定(37.8〜39.5℃、平均38.8℃) |
(興奮ぎみ、 ℃ ) |
耳の検査とその掃除(耳ダニがいないか?) |
( R L ) |
リンパ節の触診 |
( R L ) |
雌→外陰部の大きさ, 雄→精巣の大きさ |
正常 異常( ) |
皮膚の検査(ノミ、痒み、新生物、脱毛―特に尾の先)と手入れ
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( ) |
歯の検査(今後に行うハミガキの方法の指導) |
( ) |
聴診(正常180-250回/分、雑音?) |
( 回分、雑音TUVW 収縮期 拡張期 ) |
触診(頭部・頸部・胸部・腹部) |
( ) |
―頭部や胸部を上方に保つと腹部の触診が容易となるー |
( ) |
糞便検査(コクシジウム、ジアルジア等) |
( ) |
食事の与え方とその内容の検討と指導 |
( ) |
飼育法の検討と指導について |
( ) |
必要なら予防接種 |
( ) |
必要ならグルーミング:入浴の回数と方法 |
( ) |
日常管理:ブラッシング、毛球予防、爪切り、毛並みの手入れ
|
( ) |
フィラリアの予防(状況によって) |
( ) |
その他の必要な検査 |
(CBC、生化学検査、X線検査、超音波、 |
実施した獣医師名 _ |
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若いフェレットの飼い主に警告!
(若いフェレット飼育の最重要事項)
若いフェレットはスポンジ製剤、柔らかいゴム、布を食べ物と間違って食べることがあります。
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もしあなたのフェレットが若い、特に1歳以下のフェレットであれば、異物(スポンジやゴム製品の玩具、プラスチック製品、ガーゼ、糸クズ、布切れ等)を飲みこむ可能性があります。フェレットのまわりには、それらの紛らわしい製品は、絶対に置いてはなりません!!
特に若いフェレットに多いのですが、それらのまぎわらしい異物は生涯を通じてフェレットのまわりには、置かないよう心がけましょう。自然界には、それらの異物は存在しませんから、フェレットが間違って、飲み込むことがあるからです。スポンジを飲みこんで、元気がなくなり、食欲不振となり、下痢をして、嘔吐をして、X線検査にて腸管の詰まりが証明され、腹部の開腹手術をして、取り出すという若いフェレットが、しばしば当病院に来院します。フェレットは特に音の出るおもちゃに興味があるようで、遊んでいて思わず飲み込んでしまうことがあります。
問題は、異物を飲んだという飼い主の訴えがない場合です。ほとんどが注意深い触診とX線撮影検査で発見されますが、訴えがないぶん発見が遅れると危険な状態となります。
しかし重要なことは、若いフェレットのお腹を触って何か固まり?がある状況で、開腹手術をするのは、医学的に少し無理があります。しなくてもいい手術をする可能性があるからです。また腸の詰まりは疑えても胃の異物は触診ではわからない場合があるからです。また腸の詰まりでも布やガーゼは触診では見つけ難いのです。あるのにわからない、ないものをあると間違い手術をする危険性があります。通常でも胃や腸には毛などが混入して詰まっているように思える場合があるし、いくらかは存在しているからです。最低限、X線検査が必要です。それも2方向の2枚以上が必要となります。超音波検査や、状況によってはバリウム造影検査が必要となる場合もあります。診断のプロセスは科学的に裏付けられた証拠の元に診断と治療を行います。これは人間の診断のプロセスと殆ど同じです。
フェレットの診察を依頼する動物病院は、病歴の聴取と身体検査、血液検査、血清生化学検査、尿検査、糞便検査、ホルモンの測定、X線検査(異なる2方向からの撮影)、超音波検査(7.5メガ以上の深触子が必要)等の検査の項目ができる動物病院に依頼するとより良いでしょう。
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バリウム造影検査にて上部胃腸管の閉塞が認められる。 |
布の塊が詰まっていました。 |
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フェレットのインフルエンザに注意してください!人間からフェレットへ伝播します。
※症状を覚えましょう!眼ヤニ、鼻汁、咳、クシャミ、食欲不振、発熱反応、時に下痢をします。 |
フェレットが風邪をひいたな?と飼い主の方が思ったらすぐに動物病院へ行きましょう。この病気は、早く手当てするほど、軽くすみます。もし2週間以内に治らないと、気管支炎、気管支肺炎、まれに肺炎となる頻度が高まります。部屋は暖かくして、十分休養させてください。また温度と湿度にも注意して、必要なら加湿器を使用すると良いでしょう。
食事も重要です。消化の良い栄養価の高いものを与えましょう。できるだけ食べさせるように、好きなもの与えます。また鳥や牛の肉汁を与えます。水分も切らさないように、スポイトや注射器で頻回投与します。また動物病院から入手できる特別な栄養価の高い流動食(AD,ニュートリカル等)も良いものです。
フェレットのインフルエンザは呼吸器系の病気では最も多いもので、人間からフェレットへ、フェレットから人間へも伝播します。もちろんフェレットからフェレットへも感染します。症状は眼ヤニ、鼻汁、咳、クシャミ、食欲不振、発熱反応、時に下痢をします。
特に若いフェレットは罹ることがあります。もしあなたが風邪を引いたら、フェレットに伝播しないように気をつけましょう。飼い主は、フェレットに触る時は、使い捨ての手袋をすると良いでしょう。マスク、うがい、手洗い、睡眠と休養、部屋の湿度と温度に気をつかいましょう。もし同居しているフェレットがあれば、隔離しておくことをお勧めします。特に発熱反応が出てから3〜4日間するとウイルスを排泄し始めます。この時期から伝播します。
特に寒い時期に発症しますが、季節の変わり目も注意が必要です。この病気はフェレットの人と動物の共通の伝染病です。人間にはインフルエンザ・ウィルスに対するの予防接種(ワクチン)はありますが、このフェレットに対してのインフルエンザの予防接種はありません。米国ではフェレットの繁殖等に従事している人々はインフルエンザの予防接種を受けているそうです。もしあなたが、フェレットを3頭以上飼育しているのなら、インフルエンザの予防接種を受けるのも良い方法と思います。フェレットから人間に伝播するよりは、人間からフェレットに伝播する方がより多いと言うことがわかっています。
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インフルエンザ・ウイルスに感染した若いフェレット。 |
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中年〜高齢のフェレットの飼い主に警告!
(中高齢フェレット飼育の最重要事項) |
3〜4歳になったら年2回は以下のことを調べるべきです。
CBC(完全な血球計算)―血糖値を含むー
生化学検査
注意深い聴診と触診
歯の検査 食事の与え方とその内容の検討と指導
飼育法の検討と指導について
グルーミング:入浴の回数と方法
日常管理:ブラッシング、毛球予防、爪切り、毛並みの手入れ
フィラリアの予防(状況によって)
必要なら予防接種 |
3〜4歳になったら年1回は以下のことを調べるべきです。
CBC(完全な血球計算)―血糖値を含むー
生化学検査
注意深い聴診と触診
歯の検査
X線検査
心電図検査
食事の与え方とその内容の検討と指導
飼育法の検討と指導について
グルーミング:入浴の回数と方法
日常管理:ブラッシング、毛球予防、爪切り、毛並みの手入れ
フィラリアの予防(状況によって)
必要なら予防接種
必要ならホルモンの検査(1種類、2種類、3種類、4種類)
状況によって腹部超音波検査(状況によって、例えば他に病気がなく脾臓が特に腫大していれば、生検―臓器の一部を細い針で摘出―を行う) |
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■フェレットのインスリノーマの特徴とは? |
この病気はフェレットのインスリノーマとか、フェレットの低血糖症と呼ばれる病気です。主に3〜4歳以上のフェレットに起こります。性差はないのですが、その経過は慢性から急性までいろいろです。この病気の診断は比較的容易ですが、問題は合併症があるかによります。副腎腫瘍とかリンパ腫などが併発している場合があります。
何となく元気がない
よだれをたらす
眼がうつろであまり動かない(硝子のような眼と表現される)
食欲があまりない
後肢が弱ってきた
寝起きが悪い、なかなか起きない
前肢で口の中のものを出そうとする
脱毛が認められる
横になっている時間が多い
冷たくなってきた
体重が減ってきた
昏睡状態になる
痙攣・発作(最終の症状として現れる)
まれに嘔吐 |
そんな場合は動物病院へ相談するか蜂蜜を飲ませて動物病院へ
インスリノーマの6歳のフェレット 眼がうつろとなるのも特徴です。
診断は?
臨床症状血糖値の測定(4時間の絶食後の低血糖の証明、70mg/dl以下)
可能ならインスリンの血中濃度(上昇から正常までさまざまだが、低い場合は診断できない)
インスリンと血糖値の比率可能なら腹部の超音波検査(すい臓とその他の合併症を調べる)
しかし低血糖症がすべてインスリノーマではありません。敗血症と重度の肝臓病も低血糖症になります。
治療は?
内科療法 |
プレドニゾロン ジアゾキサイド(我国にはない) |
外科手術 |
すい臓にできた腫瘍の結節の除去と状況によってすい臓の部分切除を行う。
しかし外科手術は、他に合併症がない場合に考慮する。 |
現在最も効果的と証明されている治療法は、外科手術と内科療法の組合せ療法です。
外科手術をしても根治はしませんが、最も長く生きる可能性が証明されています。
外科手術をしない場合は、内科療法のみですが、まずはプレドニゾロンの経口投与にてコントロールをします。プレドニゾロンを与える時は、できるだけ食事といっしよに与えます。これは胃潰瘍の危険を減らすためです。始めのプレドニゾロンの量は0.5〜1.0mg/kgを1日2回にて始めますが、しだいにコントロールできなくなり、プレドニゾロンの量を増やすことになり、0.5〜1mg/kgづつ増やします。最終的には2.0mg/kgまで増加は可能ですが、それ以上は増加しても通常効果はありません。かえって副作用である肝障害や下痢などが起ってしまいます。そんな場合は次のステップであるジアゾキサイド(Proglycem)の併用を行います。ジアゾキサイドを5.0mg/kg、1日2回を経口投与します。この場合はプレドニゾロンを1.0mg/kgに減量することができます。しかしこのジアゾキサイドもやがて増量が必要となり、最高60〜70mg/kgが限界のようです。副作用は嘔吐と食欲不振。残念ながら内科的医療はここまでで、残念であるが、最終的には衰弱死か最後の選択を選ぶこととなります。しかしすべてのインスリノーマのフェレットがこのような経過になるわけではありません。一部のフェレットでは進行が一時的に止まる場合もあり、その見極めが場合によっては難しいこともあります。
内科療法のみ |
平均生存期間 |
約半年前後、最高でも1年半 |
外科療法のみ |
平均生存期間 |
約1〜1年半 |
内科療法+外科療法 |
平均生存期間 |
約1年半〜2年 |
インスリノーマのフェレットの飼い主の方へ
食事は少量ずつ頻回に与えることが重要です。4〜6時間以上食事を与えないと危険です。もし元気がなくなったら、コーンシロップか蜂蜜(噛まれないように綿棒に漬けて与える、歯肉や唇の内側に塗る)、無い場合にはブドウ糖液や砂糖水をゆっくり、スポイト(注射器を病院からもらっておく、ブドウ糖は薬局でも買える)で与えましょう。これらのものは必ず飼い主がその時に与えてください。お皿などに入れて飲ましてはなりません。誤嚥の原因になります。また、ひどい発作や昏睡状態の時などは、誤嚥しやすいし噛まれることがあるので、与えないでください。また重要なことは、これらのものは、具合の悪い時にのみ与え、健康な時には決して与えてはなりません。その理由はこれらはインスリンを刺激し、その後低血糖症となることがあるからです。最近の報告では、ビール酵母(クロムが作用)も良いとされていますので試してみると良いでしょう。
※ジアゾキサイドの内服薬は我国にはありません、あなたの希望によってこの薬剤を使用したい場合において、あなたの主治医がこの薬剤の情報を持ち合わせていない場合には、当動物病院に問い合わせれば、ジアゾキサイドの情報をあなたの主治医にお知らせします。但しこの薬剤はかなり高価な薬剤です。
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■高齢のフェレットに起る、最も重大な問題は、副腎腫瘍の問題です。
3〜4歳以上のフェレツトの50%以上に程度の差はあれ副腎に腫瘍ができます。 |
フェレットの副腎の病気なのですが、副腎腫瘍という病気が、4歳以上(2歳でもまれに起る)のフェレットで多発しています。この病気はフェレットのクッシング症候群・フェレットの副腎皮質機能亢進症とも呼ばれますが、正式にはフェレットの副腎腫瘍と呼ぶべき病気です。この病気は6〜7年前には、ほとんど認められなかった病気です。10年ぐらい前は、メスのフェレットで、避妊手術(自然界の環境以外では、発情すると自己のホルモンの作用で貧血するため病気となる)をしていないため、発情ホルモンの中毒となり、発見が遅れると、ほとんどが死亡していましたが、現在では米国から来るフェレットのほとんどは、すでに6〜7週令までに卵巣子宮摘出術または去勢手術を終えています。それゆえに、発情ホルモン誘発性の骨髄形成不全はほとんど起こらなくなりました。
しかし最近になって、発情ホルモンの中毒にかわって、副腎腫瘍という病気が3〜4歳以上のフェレットに多発しています。その理由については、現在米国を中心として調査中ですが、推定する原因として、
1)早過ぎる不妊手術説(副腎と卵巣は結び付きが深く、ある系統のマウスでは性成熟前に去勢や避妊手術をすると、副腎の過形成や腫瘍が起こることが証明されている)
2)食事が原因説(多くが猫等の乾燥フードを食べている、自然界のフェレットは生き餌を食べこの病気はまれである)
3)日光不足説(室内飼育のため日光の周期に暴露されない)
4)近親交配説(日本に来る米国からのフェレットは近親交配が多いから)等が考えられています。
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■高齢のフェレットの代表的な病気である副腎腫瘍の解説 |
最近この病気が、非常に増加しています。米国においては3歳以上のフェレツトの50〜80%になんらかの関係で認められるとの報告もあります。フェレットの場合は、犬のクッシング症候群に良く見られる下垂体性とは違い、副腎性のもので腫瘍によって起こります。最も一般的なのは腫瘍(腺腫と腺癌)か過形成です。 |
臨床症状 |
2歳以上の左右対称性の脱毛の95%以上は副腎腫瘍を疑えます。脱毛は通常後方(1/4)から始まり前方へ移行します。ときどき軽減(脱毛が治る?)することもありますが、病気は静かに進行します。
1) 比較的雌が多い
2) 行動の変化、オスがメス化する(雌性化症状群)
3) マーキングする?
4) 時々掻痒あり、脱毛症と関係する時としない時がある
5) すべてではないが脱毛する、尾の後ろから肩にかけて脱毛するが、治りかけることもある。
6)雌の場合は、外陰部の拡大が起る。(約50〜70%以上)(特に避妊手術済み)
7)雄の場合は、前立腺の腫大が起る。(脱毛の有無に関らず)→尿道狭窄→排尿困難を認める
6) 身体に臭気がある(不妊手術済で再発)
7) 皮膚は薄くて柔らかい
8) 脾臓の腫大(フェレットは病気をするとこの傾向がある、生検することが必要)
9) もし治療されないで重度になると貧血をしてくる、末期の症状である。
10)乳頭の肥大が起る。
11)だんだんと痩せてくる。
12)いつも寝ていることが多い。
13)オスのフェレットの場合は攻撃性が増してくる。(テストステロンが増加するため)
14)太っていないのに、お腹がなんとなく出てくる。
15)後肢がなんとなく弱くなってきた。
フェレットにおけるメスの外陰部の腫脹について
現在では、ほとんどが副腎腫瘍によるものですが、まれに他の原因でも起ります。
1) 副腎腫瘍
2) 発情の徴候(避妊手術していない場合)
3) 避妊手術をしている場合には、卵巣の取り残しにての発情
年齢などを考慮して、もし副腎腫瘍があまり考えられない場合は、次の4つの方法によって確かめることができます。
1) HCGホルモンの投与にて、外陰部腫脹が消失するか?
2) 腹部の超音波検査にて、副腎の大きさと卵巣を調べる。
3) 副腎に関係するホルモンを調べる。
4) 腹部の開腹手術をして確かめる。
脱毛の特徴について
すべてのフェレットに起るわけではありませんが脱毛が、通常は尾の後ろから始まり、上方に向かって、肩にかけてまで脱毛しますが、だいたい左右対称性です。時にまた何もしないのに、毛がまた生えることもありますが、また再度脱毛が起ります。最終的には顔の周辺意外のすべての部分の毛が脱毛することもあります。また尾の脱毛(ラット・テール)も特徴的です。この尾の脱毛は、治療しても、この尾の部分はなかなか毛が生えてこないのが特長です。 しかし若いフェレットの季節性の尾の脱毛とは違うことを理解する必要があります。
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血液検査 |
1) コルチゾールは正常。
2) 犬で行うACTH刺激検査、デキサメサゾン抑制検査等は診断価値はない。
3) 下垂体は侵されない。
4) 病理組織学的検査では、腺腫、腺癌、過形成と診断される。
5) 転移はまれ。
6) 血液検査や血清生化学検査はほとんど正常であるが、重要なものはRBCと血糖値である。
7) エストロゲンの前駆物質の循環レベルの測定
8) フェレットの場合は犬のように副腎皮質ホルモンの測定はほとんど役に立ちません。有益なホルモンはエストラジオール、アンドロステンジオン、17α-ハイドロキシプロジェステロン(17α-OHP)でこのなかで1個以上のホルモンが上昇しています。
血清エストラジオール: |
オス <10-32pg/ml→正常 >33pg/ml→副腎腫瘍
メス <26-42pg/ml→正常 >43pg/ml→副腎腫瘍 |
血清アンドロステンジオン: |
オス <2.0 ng/ml→正常 >2.0 ng/ml→副腎腫瘍
メス >0.5 ng/ml→正常 >0.5 ng/m→副腎腫瘍 |
17α-ハイドロキシプロジェステロン(17α-OHP) |
オス <2.5 ng/ml→正常 >2.5 ng/ml→副腎腫瘍
メス <1.9 ng/ml→正常 >1.9 ng/ml→副腎腫瘍 |
(動物専門の臨床検査センターのモノリスの結果報告より)
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有効な診断法は? |
病歴の聴取 |
年齢、左右対称性の脱毛の経過、掻痒の有無、雌の陰部の拡大、時々掻痒、身体に臭気。
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身体検査 |
脱毛の状態と経過、後期から末期では触診で副腎の拡大、雄の前立腺の腫大、皮膚は薄くて柔らかい。 |
腹部超音波検査 |
最高クラスの機能をもつ機械と専門的な技術が必要です。最低7.5メガ、普通10〜13メガの探触子が必要です。左右の副腎の拡大の程度を確認します。 |
関係するホルモンの測定 |
副腎腫瘍の場合は概して正常より高い値となります。 |
フェレットの診察に必要な一般的な項目 |
病歴の聴取、身体検査、血液検査、血清生化学検査、尿検査、糞便検査、ホルモンの測定、X線検査(異なる2方向からの撮影)、超音波検査(7.5メガ以上の深触子が必要)等の検査等 |
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最も良い治療法は外科手術です。 |
外科手術が最も良い治療とされています。その理由は内科療法は原因療法とはならないからです。またフェレットの副腎の腫瘍は25%が悪性の腫瘍(手術を受けたら必ずその取った副腎の病理検査が必要です)であることが判っているからです。
しかし問題はすべてに応用はできないことです。すでに貧血(PCVが15%以下は予後不良)があるもの、長い経過を経ている場合(それだけに症状のではじめの検査が重要となります)、インスリノーマを併発している場合、リンパ腫を併発している場合には、予後は、かなり難しくなります。外科手術がすぐには難しそうな場合は、内科療法が選ばれますが、最近ではこの副腎腫瘍の治療も以前に行われていたOP−DDD以外のいろいろの方法が試されかなり、もはやop−DDDは効果の有効性の点から、ほとんど使用されなくなりました。特に前立腺肥大に対してはまったくと言っていいほど使用されなくなりました。
近年では効果が期待できるようになってきた、リュープロン(Lupron)をはじめとする新しい治療法がいろいろ発見され今後もぞくぞくと新しい治療法が期待できますが、外科手術ほどに効果のあるものではありません。問題は早く副腎の腫瘍を見つけることです、その為には、腹部の超音波検査が有効ですが、フェレットの場合は、主に犬猫に使用する超音波のプローブ(3.5〜5メガの探触子)では副腎はよほど大きくないと見つけられません。最低7.5メガ、通常は10〜13メガのプローブを使用します。それでも正常の副腎の2倍以上でないと見けにくいのです。
ゆえにこれらの特殊な超音波検査にても、この病気の発見率は50%以上の確率でしかありません。まして、この副腎を触診(お腹を触って)にて確認、となるとかなりの末期での発見となるでしょう。
特にリュープロン療法は、フェレットが外科手術に耐えうる体力をつけるまでの方法としても有効です。
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フェレットの副腎腫瘍の内科療法とは何ですか?どんな方法が最良ですか? |
フェレットの副腎腫瘍は、エストロゲン(女性ホルモンの一つで卵胞ホルモンとも呼ばれる)とテストステロン(男性ホルモン)の両方又どちらかを過剰に産生して症状を現す病気です。犬の副腎腫瘍のようにステロイドの過剰な産生ではありません。そのため治療には、エストロゲンとテストステロンの産生を減少する働きのある薬剤を使用します。
現在私達の動物病院での一番のお勧めが、酢酸リューブロンとメラトニン又はR&U30のコンビネーションです。そして状況によりますがときどき、酢酸メドロキシプロゲステロン(コビナン)を加える場合もあります。上記の2つの薬剤の効果が出ない場合や、効果が無くなった場合にのみ、メスの場合はアナストロゾール(アリミデックス)またはカルタミド(カソデックス)を、オスの場合はカルタミド(カソデックス)の使用を考えます。
しかしできれば各々の治療の前に、ホルモンの検査を行い、エストロゲン、テストステロンどちらが優位かを参考にしながら、どちらのホルモンがより多いのかを見極めた上で使用するのが理想です。 リュープロン(Lupron)は効果のある薬剤ですが、高価なので、その使用量についてもいろいろと論議されています。
1) |
酢酸リュープリン(Leuplin)
この薬は本来、人間に対する子宮内膜症や前立腺癌に対する薬剤ですが、米国では乳癌のホルモン療法としても使用(Lupron)されているようです。この薬剤は主に下垂体の反応性を低下させることにより性腺系の異常なホルモン(エストロゲンとテストステロン)を抑制します。このリュープリン注射用は、もしあなたのフェレットが外科療法ができず、内科療法をするのであれば、この酢酸リューブリン3.75mgの治療が現代のフェレットの副腎の腫瘍に最も有効と思われる方法です。我国の酢酸リュープりンは1ヶ月有効の製剤です。米国には3ヶ月や4ヶ月有効の製剤もあります。薬容量はフェレット1頭につき100μg〜500μgを月に1回投与です。しかしかなり高価な薬剤です。
ゆえにこの病気を内科治療で治療するのは、この酢酸リューブリン療法ができる動物病院を選ぶ必要があるでしょう。もしあなたのかかり付けの動物病院がこの酢酸リューブロンの治療方法をあまり詳しくなければ、不明な点を日本ベェツ・グループに聞く(メールにて回答)ように頼んでください。私たち獣医師は同じ仲間ですので、喜んで情報を提供(無償にて)いたします。
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2) |
メラトニン(我国では販売はしていない)(米国等においては代表的な健康食品として有名です)
1mgのメラトニンを投与した後はできれば8時間ぐらい日光浴をすると良いとされる。
過去のNAVC大会で発表された報告によると、フェレットの脱毛(副腎由来)の内科的治療法の方法として、10頭のフェレットに投与したところ、9頭に有効(脱毛、外陰唇の腫脹や前立腺肥大の減少が認められたが、副腎自体の減少はないとの報告)であったと言う。特に外科手術がうまくいかなかった場合の際には良いであろうとのことです。この薬剤が使用された初期は投与量は0.5mgを経口で1日1回投与であるとされたが、現在は1mg投与にて8時間の日光浴をするが、もし冬期等日光に当らない場合は、3mgを投与すると良いとされる。
メラトニンの副作用は、眠気を誘発する(本来の作用?)ことがある、これは特に最初に投与して3〜5日後に起るようである。メラトニンと日光浴の関係(松果体に作用)は重要な事項とされている。この製剤も生涯の投与が必要であろう。メラトニンは性腺刺激ホルモン、プロラクチン、またはサイロキシンの分泌などに関係している可能性があるのでこのような治療に有効であるのであろうと考えられている。
米国では、このメラトニンからフェレットの日光欲の問題が提起され、フェレットの日常管理に、人工の紫外線ランプ、人工太陽灯等を使用することが、深く静かに浸透しているとの情報もある。将来フェレットの健康管理に人工太陽灯やメラトニンが脚光をあびる可能性があると私は考えています。 しかし現在はこのメラトニンはサプリメントとしての使用となります。米国ではこのメラトニンのインプラント(植え込みー長時間作用する)の製剤もあるようです。
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3) |
R&U30 (我国のみの発売)(現在はサプリメントとしての使用)
この製剤は、リゾープス(Rhizopus)麹の抽出物で生理活性物質があると言われています。間脳を経由して脳下垂体に作用して、性腺刺激ホルモンの放出を促進して、生体に正常な生理作用を営ませる作用をすると言われ、活性酵素を抑制する働きがあるとされている。リゾープス(Rhizopus)とはカビの一種で、くものすかび属(Rhizopus属)に分類され、中国では醤油や味噌の発酵菌として、また酒の製造にも利用されてきたものである。本来この製剤は家畜の繁殖障害に対して治療や予防として用いられてきた経過がある。
現在は特に副作用は認められていないようである。1錠を1日2回投与(10日くらいで効果を認める?)するが、半錠を2回投与しても効果(効果が出るのは20日後?)はあるようでる。私たちの動物病院では特にメラトニンで睡眠作用が強くでるフェレットに使用するが、重症の場合は、メラトニンと併用して使用する場合もある。副腎自体に作用はあまりないと思われるが、脱毛に対してはかなり効果のもてる製剤である。
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4) |
酢酸メゲステロール(コビナン)(米国にはない、欧州と日本、オーストラリアにあり)
これは第2世代のプロゲステロン製剤である。米国ではこの製剤は、第1世代の酢酸メゲステロール(オババン、メゲース等)しかないので使用しにくいが、我国のは第2世代の製剤で、より副作用は少ない製剤である。特に前立腺肥大がある場合にも有効な場合がある。
特に前立腺肥大がある場合にも有効な場合がある。おもには脱毛に対する作用を期待するものであるが、その使用にはまだ論争の余地がある。ときどき劇的に改善が認められるとの報告もあるが、その作用機序が不明な点が多いが、我国のは米国の製剤とは違い、第2世代の製剤なので、米国と比べると使用しやすい環境にある可能性はある。
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5) |
アナストロゾール(アリミデックス)特にメスの場合に有効?
この薬剤はアロマターゼ阻害剤と呼ばれ、アンドロゲン(男性ホルモン)からエストロゲン(女性ホルモン)への生成を阻害する作用をもつ薬剤です。ゆえに特にメスのフェレットにより有効な場合が多いと思われます(しかしホルモン検査の結果を参照することが望ましい)。
人間では、閉経後の乳癌に使用されています。そのメカニズムは、副腎からのアンドロゲンがアロマターゼという酵素により変換されてエストロゲンが作られますが、この時できる酵素である、アロマターゼを阻害して、エストロゲンの産生を抑制するのがアロマターゼ阻害剤です。このアリミデックスは副作用が比較的少ない第三世代の製剤です。またこの薬剤は妊娠した女性は直接手を触れない(どうしてもの場合は使い捨て手袋を使用)ようにしてください。
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6) |
ビカルタミド(カソデックス)特にオスの前立腺肥大がある場合?
アンドロゲン(男性ホルモン)の生成を阻害する薬剤で、ホルモン拮抗薬(アンタゴニスト) と呼ばれる、非ステロイド性抗アンドロゲン製剤であります。人間では進行した前立腺ガンの治療に使用されます。ゆえにこの薬剤は、手術には及びませんが、前立腺肥大のための排尿困難や、性格の変化(攻撃的となる)、オスの行動へ戻る等のアンドロゲンの作用が認められた場合に使用を考えます。
この薬剤はとても進行した症例に対して、酢酸リュープリン(Leuplin)と併用して使用する場合もあります。しかしアナストロゾール(アリミデックス)と併用して使用することはできません。またこの薬剤は妊娠した女性は直接手を触れない(どうしてもの場合は使い捨て手袋を使用)ようにしてください。
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7) |
フルタミド(オダイン)、特にオスの前立腺肥大がある場合
非ステロイド性の抗アンドロゲン(抗男性ホルモン)薬剤で、アンドロゲンより先に受容体に結びつくことを主な作用とし、このことがアンドレゲン受容体の阻害薬と言われるゆえんです。人間では前立腺癌の治療に用いられます。しかしこの薬剤は比較的まれにしか使用されません。オスの場合に特に前立腺肥大のある場合にビカルタミド(カソデックス)と併用して使用される場合があります。
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8) |
OP−DDD
以前はさかんに使用されたが、現在はあまり使用されない、特に前立腺肥大がある場合にはまったく使用されないようである。また副作用の点(低血糖症が起る)でも使用しにくい薬剤である。
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以上のようにまだフェレットの副腎腫瘍の治療はいまだ確立されたものではないが、少しづつは解明しつつあるようです。また上記した以外にも、ピロキシカム、酢酸クロルマジノン、プロペシア等いろいろと、今後治療面で飛躍的な発展がある可能性もあります。その時にはいち早くこのホームページで公開いたします。
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どのようにして手術をするのか? |
副腎の腫瘍を取り除くために腹部の正中を切開します。そしてまず、脾臓を体腔から取り出し、まず左の腎臓を捜し、通常はその前の脂肪のなかにある、副腎を捜しますが血管にそってあります。正常の副腎は長さ約0.6〜0.8cm,幅は0.2〜0.3cmと言われていますが、クッシング症候群のフェレットの副腎は長さが0.5cm〜2.5cmにも拡大します。但し左の副腎は、比較的取り易いのですが、右の副腎は大きな血管のそばにあるため、摘出はきわめて難しいものになります。一時的に血流を止めたり(サテンスキー鉗子を使用すると良い)して手術を行うこともあります。過去の私達の病院の手術例の約40例から推計すると、腫瘍がどちらの副腎にあるかわ、以下の通りです。以前は主に左がほとんど言われましたが、言われているほどではないようです。摘出は当動物病院では、主にヘモクリップと半導体のレーザーを使用しています。その他電気メスや凍結手術(クライオサージェリー)にても行うことがあります。 |
両方に腫瘍がある場合 |
約15%(左の方を全摘出、右は部分的に摘出) |
左だけの場合 |
約60%(通常、全摘出を行える) |
右だけの場合 |
約25%(できる範囲内で部分的に摘出) |
インスリノーマとリンパ腫の併発が多いので、外科手術の前や術中によく調べる必要があります。もしインスリノーマの併発が疑われる場合は、あらかじめ、飼い主と相談し同時にインスリノーマの手術(すい臓の腫瘍の結節の除去と状況によってすい臓の部分切除)も行うようにします。またリンパ腫が存在するかもよく調べます。 |
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■副腎腫瘍のために手術を受ける飼い主の方へ(当病院でこの手術を受ける飼い主の方へお渡ししている説明書) |
副腎腫瘍と言う病気が、最近4歳以上のフェレットで多発していま す。4〜5年前には、ほとんど認められなかった病気です。その理由は現在調査中ですが、推定する原因として、食事が原因説、早過ぎる不妊手術説、日光不足説、近親交配説等が考えられています。
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手術中は何を調べると良いのか? |
インスリノーマとリンパ腫の併発が多いので、外科手術の前や術中によく調べます。インスリノーマの併発は、3歳以上で食欲不振、 流涎、 無気力→衰弱→発作→昏睡、などが起こります。程度の差はあれ副腎腫瘍と同じ頻度で起こると言われています。ゆえに手術をする前に、もしすい臓に腫瘍があった場合にそなえて、あらかじめ飼い主と打ち合わせして必要があるでしょう。 リンパ腫の併発は、外科手術の前のリンパ節の検査や、手術中に肝臓 腎臓 脾臓等に転移があるかを調べますが、その際に生検(臓器の一部を摘出)をする必要がありますので、これも飼い主と打ち合わせておく必要があります。 |
内科療法は有効ではないのですか? |
副腎腫瘍にて内科治療で効果があるとされているのは、以前はOP-DDD療法のみと言われていましたが、最近は他にもいろいろと、より効果のある治療法が判明してきました。ゆえにOP−DDD療法は最近あまり使用されなくなりました。手術ができない場合や、手術をしてもあまり有効でなかった場合や手術までの間の期間にできるだけ良い状態にもって行く場合などに内科療法が選択されます。しかし外科手術は絶えられないと予想される場合や、合併症がある場合には、生涯の内科療法が選ばれます。 |
手術をしないとどうなりますか? |
手術をしなくても、その脱毛の程度が軽い場合には、ある程度様子を見ることもできますが、手術時期を逃すと、より難しくなります。すべての場合で手術ができるとは限りません。症状が重症な場合(脱毛がひどくなり、もう頭部ぐらいしか毛が残っていない場合)や、経過があまり長かった場合(やはり毛がほとんど抜け落ちた場合)や長い経過によって重度の貧血がある場合などは、手術はお勧めしません。それゆえに病気があるのに、そのままにしておくことは危険です。
通常、副腎腫瘍はゆっくり進行します、手術をしない場合は そのままにすれば、通常3〜6ヶ月以内に死亡します。軽症の場合は症状がくり返し、まれには手術をしなくても1〜2年も生きることもあるとの報告があります。しかししかしあるていど病気が進み、外科手術の適応とならない場合でも、内科療法をすれば経過をより遅くすることができるとことが多いものです。 |
手術の危険性はどうですか? |
手術の前にどんな検査をしかたによるところが大きいと思われます。術中に点滴のラインすることや、異なる3種類以上のモニターをするとこなどで、いろいろ変化します。しかし一般的に言うと、犬や猫よりフェレットの手術は、危険性が高いと言えるでしょう。 また、いつの時点で手術をするかによって、かなり違ってきます。手術をする際には、総合的に診断した上で、どのくらいの危険率かを、あらかじめお話いたします。
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手術をした効果はどのようにして判定できますか? |
手術の効果が判るのは、その後にこの病気の特徴である症状がどれだけ消えたか、進行状態がどれだけストップしたかによって判定できます。最もわかりやすいのは、脱毛の進行状態によって、だいたいは判定できます。もし手術をしても、脱毛がどんどん進めば、通常手術の効果はあまりなし、又はほとんど効果がなかった、と判定できます。脱毛の状態が止まり、その後毛が生えてくれば、効果はありと判定できるでしょう。ただし尾の毛は手術をしても通常あまり生えてきません。
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手術の成功率はどの程度ですか?またその予後の見込みは? |
フェレットの今ある状態によってまったく違ってきます。手術を行う前に行う各種の検査結果にもとづいて総合的に判定されます。それゆえに外科手術の前に、あらかじめお話いたします。 また予後については、合併症の程度や、摘出した副腎の病理検査によって大きく変わってきますが、主な分類は以下のとうりです。
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予後その1 |
貧血等がなく腫瘍が左だけの場合で、その他のインスリノーマ(最も良い予後が期待できる)やリンパ腫等の合併症がまったく認められなかった場合。 |
予後その2 |
貧血等はなく腫瘍が左だけの場合で、膵臓のインスリノーマが(とりあえず良い予後が期待できる)3箇所までの場合。リンパ腫は認められなかった場合。 |
予後その3 |
両方に腫瘍がある場合で、左の副腎は摘出、右の副腎(不充分だがそれなりの予後が期待できる)はそのままか、部分的に摘出した場合。 |
予後その4 |
右の副腎にのみ腫瘍がある場合、や複数のインスリノーマが(不満足だが、今後の予後の推移を見守る)存在する場合。 |
予後その5 |
右の副腎にのみ腫瘍がある場合、や複数のインスリノーマが(いくらかの生命の延長を期待するのみ)存在、その他腺癌やリンパ腫が発見された場合。 |
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あなたのフェレットの場合のは? |
・手術に対する危険率(死亡率)は?
( )
・手術に対する効果はどうか?
( ) |
当院で使用している副腎腫瘍で外科手術をうける方への同意書 |
外科手術の前は、すべて例において原則、身体検査、ホルモン検査(1種類以上)、X線検査、腹部の超音波検査、CBC(完全な血球計算)、血清生化学検査、尿検査、糞便検査を行います。麻酔前のフェレットは静脈に点滴のための静脈カテーテルが挿入され、自動輸液装置(コンピューター制御)にて一定量の輸液が行われます。麻酔前には、前処置(アトロピン等)が行われ、静脈から導入剤にて麻酔され、吸入麻酔薬であるアイソフルレンにてマスクで導入され、気管チューブが装着されます。麻酔の管理は原則として、異なる3つ以上のモニターにて行われます。もちろん術者は、手術用の帽子、マスク、滅菌された袖の長い手術用のガウンを装着して手術室にて行われます。手術後又は直前に鎮痛薬(ブトルファノール等)も投与されます。
フェレットの副腎腫瘍についての手術の説明及び同意書
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手術後の副腎やその他の臓器の病理検査の結果は?これが手術後の予後を決めるのに最も重要です |
・もし摘出した副腎が、過形成の場合は、予後が一般に良い。
・もし摘出した副腎が、腫瘍で腺種の場合は、予後が一般に良い。
・もし摘出した副腎が、腫瘍で腺癌の場合は、予後が一般に悪い。
・もし摘出した膵臓の一部がインスリノーマの場合は、予後が一般に悪い。
・もし摘出した臓器からリンパ腫が発見された場合は、予後が一般に悪い。
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