犬には熱中症対策が必要です。
【特に注意が必要な犬種
】
特に高齢の大型犬、短頭種(頭蓋骨に対して口吻の長さが極端に短い犬種)はとりわけ注意が必要です。しかし高齢(7歳以上)であれば小型犬でも起こりえます。必ず新鮮な水がいつでも飲める環境にしてください。
【時期】
熱中症に罹りやすい時期はやはり夏ですが、5月頃の急に暑くなりはじめる時期にも注意が必要となります。
【猫の熱中症】
犬に比べ猫は熱中症に罹りにくいといえますが、猫においても10歳以上、又は何らかの病気のある猫の場合には注意が必要です。必ず新鮮な水がいつでも飲める環境にしてください。
【いびき】
犬が寝ている時に「いびき」をする場合は、熱中症が起こり易い要因となります。特にほとんど毎日のように「いびき」をかく場合には、何らかの外科手術(軟口蓋伸長症の手術の適応)が必要となります。短頭種はある程度「いびき」をしますが、問題はその程度です。
短頭種の犬が、普段から少しでも呼吸が苦しそうであれば、専門医療の動物病院にて診察が必要になるでしょう。これは比較的難しい病気の部類に入りますので、通常の動物病院では対応しきれない可能性があります。短頭種症候群と呼ばれ、軟口蓋伸長症、外鼻腔狭窄、喉頭(側室)小嚢反転、気管虚脱、気管支形成不全等様々な病気があるので、それらを鑑別できる動物病院での診察が必要です。治療しない場合、喉頭虚脱になることがあります。
【体温】
犬猫の体温の把握は、直腸での体温計による測定が普通ですが、少し慣れれば、耳を触ることによって簡単に判ります。ぜひ実行してください。40℃以上であれば、通常は体を触っても熱を感じます。
熱中症は体温が高くなるのが特徴です。
【熱中症対策】
室内でのエアコンが効いた環境の場合には通常問題はありませんが、近頃の真夏の電力事情や落雷等の突発的な停電の場合に、どう対応するか前もって考えておく必要があるでしょう。
日頃より換気状況や温度、湿度を確認し、早めに対応しましょう。
エアコンが停止した場合も考えれば、ひんやり感じるアルミボードや濡れタオル等の使用がお勧めです。特に有益なのは、普段からペットボトルに水を入れ、冷凍庫で凍らせ(水が凍るときの膨張率1.1倍を考慮して、入れる水は8割にしましょう。ペットボトルが爆発…裂けたり割れたりする事が防げます)を 夏の期間中は常に用意をしておくとよいでしょう(アイスノンも可)。これを濡れタオル(又は乾燥タオル)で包んで使用することもできます。もちろん人間の熱中症対策にもなります。 その他、保冷剤も使用できますが、使用には注意が必要です。犬猫が噛んだり食べたりすることがあるので、飼い主さんが必ず観察している状態での使用をお願いします。
【冷たい水】
人間と同じように、犬猫も水分補給が重要です。
水は欠かせません。 水はできれば冷たい水(もちろんスポーツドリンク等がより良い)の方が効果的です。そのためには氷を入れるか、小さめのペットボトルを凍らせたものを水に入れておくと冷たさが持続します。
【車での注意】
晴れた日に、車の中に愛犬を閉じ込めるのは大変危険です。絶対やめてください。外の温度の2倍以上の暑さになると考えてください。
【症状】
犬猫の熱中症の症状は、呼吸が速く、苦しそうで動かなくなることです。
耳を触ると異常に熱く、体も触ると熱く感じることもあります。このような場合は熱中症を疑うことができます。
【処置】
熱中症になってしまったら早急に動物病院に連れて行きます。動物病院への到着に時間がかる場合もあるかもしれません、応急処置を覚えておくとよいでしょう。
まずは涼しい場所に移動し、水を体にかける、冷えたタオルで包むなどの応急処置をし、動物病院に向かいます。途中、うちわで扇ぐ(扇風機がより有効)ことも有効です。
【診断について】
時に、この熱中症は診断がむずかしい場合もありえます。ゆえに重要なことは、状況を飼い主の方が充分に獣医師に説明することです。
夏の時期に犬猫が元気がなくなると「夏バテでしょう」と言って診断をしなかったり診断を間違う獣医師が存在します。熱中症のような刺激が病気の引き金となって持病が悪化することも知られていますので、獣医師に飼い主の方は充分な説明をすることを心がけてください。
【散歩】
散歩は炎天下をさけて、比較的涼しい時間を選んでください。特に高齢犬、短頭種では呼吸の状態、ハアハアする状態を観察してください。5分以上続くようであれば、少し休んでください。散歩中に、犬が理由もなしに突然座り込む場合はかなり危険なことがあります。何事もないように辺りを見回しているように見えても、苦しいのを我慢していることがあります。特にアスフアルト舗装の上はとても熱くなります。
また、散歩後は愛犬を観察点検し、体を清潔に保ちましょう。
盛夏でなくても、夏の始まり、終わり、また夏に限らず急に暑くなることがあります。私たちの熱中症と共に、ものが言えない動物の熱中症にも気をつけましょう。
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