■骨・筋肉の病気 |
肥大性骨関節症 |
四肢の末端の骨膜肥厚による肢の腫脹を特徴とし、多くは胸腔内に異常(炎症性疾患、腫瘍の発生等)がみられます。以前は肺性肥大性骨関節症とも呼ばれていました。 |
股関節形成不全 |
通常生後7〜9か月齢で発症しますが、その後に発症することも多くあります。股関節が不安定になり、腰がふらふらとなり、重度になると、後肢に跛行が生じます。 |
肘突起分離症 |
肘の関節の病気で、始めは前肢が軽度に破行し、だんだんと状態は悪くなります。通常は1才以降に発症し、多くは両側性に起こります。 |
変形性脊椎症 |
老犬に多く認められます。椎間板の老化に伴う変性により、重症になると腰が不安定になり、歩きにくくなります。 |
離断性骨軟骨炎 |
前肢の肩関節部分の一部の骨が剥がれて、破行を呈する病気です。 |
外反膝 |
外反膝膝が内側に曲がる状態でうまく歩けなくなります。3〜4ヶ月齢で起こると、だんだんとよくなることが多いですが、8〜11ヶ月齢で起こると、永久的なものになることが多くなります。栄養過剰が一因です。 |
ワーブラー症候群(頚椎の変形・奇形) |
雄に多く発生します。顎部の痛みから四肢の麻痺まで症状はさまざまですが、後肢の障害が最初に認められます。 |
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■呼吸器の病気 |
軟口蓋伸長症 |
喉のひだが伸びてきて、だんだんと、いびきがひどくなってきます。重症となると呼吸するたびに「ぜいぜい」するようになり、呼吸困難となります。 |
喉頭麻痺 |
上部気道の閉塞が起こり、呼吸が傷害されます。1才頃によく起こります。 |
扁桃腺の肥大 |
扁桃腺が腫れて、呼吸をしずらくさせます。呼吸回数と関係があります。 |
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■眼の病気 |
瞬膜の肥大 (第3眼瞼の脱出) |
眼の下側の内側にある瞬膜(ワイパーの役目をする)が腫れて、眼に出来物ができたように見えます。 |
睫毛重生 |
まつげが二列に生えて眼に入り、涙がでます。 |
視神経形成不全 |
先天的な異常により、視力に障害が起こり、ひどくなると失明します。視神経の細胞の形成が不完全で産まれてきます。 |
流涙症 |
俗に言う「涙やけ」で涙管が閉鎖してしまうため、涙の管を通らずに、外に涙があふれ出します。産まれつき涙管がない場合、細い場合、ただ単に詰まった場合等があります。 |
眼瞼内反症 |
まぶたが眼球のほうに内転します。このため、眼球に傷が付き、涙が出たり充血したり角膜炎が起きたりします。成長につれて治ることもあります。 |
眼瞼外反症 |
下のまぶたが外転するために結膜が露出します。このため眼球に傷がつき、涙が出たり充血したり角膜炎が起きたりします。 |
老齢性白内障 |
加齢によって、水晶体が濁ってきます。眼がだんだん見えなくなります。 |
瞬膜外反症 |
瞬膜が外転するために、瞬膜が肥大したように見えます。内転より、この外転の方がより頻繁に起こるようです。 |
瞬膜内反症 |
瞬膜が内転するために、眼球に傷が付き、重度だと、涙が出たりします。 |
角膜の類皮嚢胞 |
厚い膜に覆われた嚢胞は、皮脂腺や汗腺を含みます。 |
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■歯の病気 |
歯石・歯垢の蓄積 |
歯が茶色く変色し、ひどくなると悪臭を生じます。そのころには細菌感染を起こし、その毒物を飲み込むことにより、全身に悪影響を与えます。 |
歯肉炎 |
これは歯石、歯垢の蓄積が原因で、歯と歯肉の間に炎症が起こり、赤くなります。 |
歯肉過形成 |
腺維性の歯肉の増殖で、通常は悪性ではなく良性です。 |
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■血液の病気 |
血友病 A |
血液を凝固させる因子が先天的に不足するため、外傷による出血等で、止まりにくくなる病気です。古典的な血友病で、第VIII因子の欠乏が原因です。 |
血友病 B |
第IX因子の欠乏(クリスマス病)が原因で、血液を凝固させる因子が先天的に不足するため、外傷による出血が止まりにくくなる病気です。 |
低フィブリノーゲンの 欠乏症 |
先天的に循環血液中のフィブリノーゲン量が異常に低いことが原因で、血液を凝固させる成分が不足するため、外傷による出血が止まりにくくなる病気です。 |
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■皮膚の病気 |
アレルギー性 皮膚炎 |
ノミ、アトピー、食餌や接触が原因で起こるアレルギーで、その原因によって治療は異なりますが、さまざまの程度で激しく痒がります。 |
湿性皮膚炎 |
アレルギー体質だと罹患しやすい皮膚病です。円〜卵円形の脱毛と発垢を示します。激しく痒がります。この名称は以前から使用されている俗名です。 |
外耳炎 |
特に耳が垂れている場合は、炎症が起こりやすく、激しく痒がったり、耳の中が赤くなったりします。いろいろなもとにある病気も一緒に治すことが重要です。 |
甲状腺機能低下症 |
中年齢以上で性別に関係なく発生しますが、この犬種では特に多いと言われています。皮膚病が治りにくくなり、被毛に光沢がなくなり脱毛しやすくなります。 |
ブドウ膜皮膚症候群 (ホヒト‐小柳‐ 原田病様疾患) |
眼と皮膚の炎症を伴う免疫介在性疾患です。 |
肢端舐性皮膚炎 |
多くのアレルギー性皮膚炎に伴って起こり、雄の場合は非去勢に、より多く認められます。退屈している犬がいつも前肢を舐めるために、脱毛し、ひどくなると潰瘍ができ、感染の原因となるとの説もありますが、最近はアレルギーを原因とする説が有力です。治療には、まず、できれば原因を除去してあげること、そしてまた、できるだけ犬に飽きさせないようにしてあげることです。 |
毛包虫症 |
幼犬に多発する寄生虫による皮膚炎で、頭部から発生し次第に全身に広がります。脱毛、皮膚の肥厚、乾燥がみられます。重症では全身膿皮症になり、治療が難しくなります。 |
鼻部膿皮症 |
鼻に毛包炎が生じ、かなり腫脹し痛がります。 |
脂漏性皮膚炎 |
俗に言うフケが出て、その程度によってですが、全身を痒がります。油性と乾性のフケに分けて治療します。この病気は体質的なところがあります。 |
口唇のヒダの 膿皮症 |
下側の口唇のヒダの部分に感染がおこります。いつも上の口唇がかぶさり、湿気を持つことが原因です。常に清潔に保つことが重要です。 |
無菌性 化膿性肉芽腫 |
肢間にできる、硬く紅斑性の結節で、しばしば潰瘍化し俳液します。 |
皮下の腫瘍 |
この犬種は、基底扁平上皮癌、マイボーム腺腫、類上皮腫が発症しやすい傾向があります。 |
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■心臓・循環器の病気 |
動脈管開存症 |
先天的な心奇形により通常は、子犬のころから咳、運動不耐性、呼吸困難、失神などの症状が慢性的に認められます。 |
拡張性心筋症 |
心臓の内部が拡張して、心臓が大きくなります。心臓の収縮が少ししか起こりません。多くは大型犬に見られます。 |
肥大性心筋症 |
原因不明の心筋症で、大型犬に多い心疾患です。運動不耐性、呼吸困難、失神などの心不全の症状が現れます。心臓の筋肉が肥大して、心臓が大きくなり、収縮が激しくなります。突然死亡してこの病気だとわかることがあります。 |
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■神経系の病気 |
難聴 |
先天的な場合は治療法はありません。いろいろな犬種でみられますが、特に白い犬に多いようです。後天的の場合は、原因によって治療法は異なります。 |
特発性てんかん |
6〜24か月齢で発症しやすく、急に発作を起こし、最初は短い時間で回復しますが、徐々に長い発作が頻繁に起こるようになります。 |
部分的てんかん |
何もないのに、何かを噛むような動作を続けて行います。 |
ナルコレプシー・ カタプレキシー |
突発性睡眠発作と呼ばれ、突然に眠る病気です。 |
中枢神経系の 梗塞・壊死 |
最も多いのは繊維軟骨性栓塞で、その他は、脳血管膿瘍、アテローム性動脈硬化症、血栓症、寄生虫性栓塞そして異物です。臨床症状は急性で、その梗塞の部位によって、麻痺や脳神経障害などが認められます。 |
限局性石灰症 |
3〜6ヶ月の頃に、主に頚部に石灰が認められることがあります。 |
ストッカード麻痺 |
生後11〜14週令で後肢の麻痺を発症し、その後数日間でより悪くなります。 |
末梢性多発性 神経疾患 |
成犬で進行的に、破行、筋萎縮、不全麻痺等の麻痺が発症します。 |
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■内分泌の病気 |
糖尿病 |
遺伝的に糖尿病になりやすく、初期は水をよく飲み、頻尿が起こり、次第に削痩し、嘔吐し衰弱します。 |
末端肥大症 |
この犬種は、成長ホルモンの働きが異常となる傾向があり、糖尿病を発症しやすくしています。 |
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■消化器の病気 |
胃拡張‐ 胃捻転症候群 |
比較的大型犬に発症が多い、緊急性のある疾患です。食後に急に胃が膨らみ、苦しくなります。早急に処置が必要な病気で、死亡率が高い病気でもあります。 |
脾臓捻転 |
この犬種は脾臓の捻転をしやすい体質を持ちます。食後ゆっくり休ませましょう。 |
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■腫瘍性の病気 |
リンパ肉腫 |
血液の悪性腫瘍で、老犬に多発します。元気がなくなり、削痩し、貧血や黄疸や下痢など、様々な症状を示します。最も代表的な腫瘍で、体のいろいろな所にできますが、治療するとかなりの生存が見込める場合が多いので、治療すべき腫瘍です。 |
骨肉腫 |
骨の悪性腫瘍で、しばしば肺に転移し、予後が不良となります。老犬で多く、早期発見、早期治療が重要となります。断脚のみでは4ヶ月の生存率です。はげしい痛みを伴います。 |
下垂体の腫瘍 |
下垂体前葉の特に成長ホルモンの分泌を増加する好酸球性細胞をもちます。 |
腋窩部の 嚢胞性腫瘍 |
漿液を含む嚢胞性腫瘍のことで,嚢胞性リンパ管腫やヒグローマとも言います。 |
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■その他の病気 |
悪性高熱 |
ストレス等のいろいろな原因で、発熱を起こす病気です。 |
停留睾丸 |
片側、または両側の睾丸が生後一ヶ月以上たっても陰嚢の中に認められない疾患です。繁殖には適しません。 |
腎不全 |
長生きをすると、多くの犬は、関節炎に悩みながら、腎不全または、癌で死亡することが多いようです。 |
外傷 |
体が大きいために、いろいろな意味で傷を負うことが多く、高齢だとそれが原因で死亡することもあります。早めの手当てが重要となります。 |
熱射病・日射病 |
この犬種は、湿気のある暑い日は、風通しの良い涼しい場所に置いてあげましょう。 |
膣の過形成 |
この犬種は、まれにこの素因を持つものがあります。 |
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