■頭部の病気 |
頭蓋下顎骨症 |
下顎が腫張し、疼痛、発熱が起こります。4〜7ヶ月齢で発症し、11〜13ヶ月齢でおさまります。食欲が低下するために、栄養不良になることがあります。 |
下垂体性矮小症 |
矮小発育症とも呼ばれ、遺伝的に異常に手足が短く、眼底の疾患を伴うことがあります。頭の中の下垂体の病気で、身体が小さく産まれてきます。 |
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■骨の病気 |
股関節形成不全 |
通常生後7〜9ヶ月齢で発症します。股関節が不安定になり、重度になると、後肢に跛行が生じます。 |
変形性脊椎症 |
老犬に多く認められます。椎間板の老化に伴う変性により、重症になると腰が不安定になり、歩きにくくなります。早期発見、早期治療が重要となります。 |
手根骨の亜脱臼 |
前肢を下垂し、負重できなくなり、跛行が生じます。遺伝的な病気で、両側性に起こります。 |
肩関節形成不全 |
通常6ヶ月ごろより認められます。運動後、突然前肢の跛行が起こり、肩の激しい疼痛がみられます。 |
肥大性骨異栄養症 |
3〜7ヶ月齢で発症しやすく、骨端が太く腫張します。激しく痛がり、運動を嫌い、食欲が低下します。 |
肘突起分離症 |
成長期の子犬にみられ、肘を曲げる時に痛がり、前肢の跛行が認められます。肘突起癒合不全とも呼ばれます。 |
前十字靭帯断裂 |
膝の靭帯が断裂し、突然に跛行が起こります。5才以上で起こりやすい疾患です。 |
離断性骨軟骨炎 |
前肢の肩関節部分の一部の骨が剥がれて、破行を呈する病気です。 |
ワーブラー症候群 (頚椎の変形・奇形) |
雄に多く発生します。顎部の痛みから四肢の麻痺まで症状はさまざまですが、後肢の障害が最初に認められます。 |
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■筋肉の病気 |
II型筋線維欠乏症 |
骨格筋の量が著しく減少し、体が貧弱になり、姿勢に異常が認められます。 |
間代性筋痙攣 |
子犬が突然痙攣を起こし、横になったまま動けなくなります。 |
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■眼の病気 |
睫毛重生 |
まつげが二列に生え、眼に傷がつき、涙がでます。 |
流涙症 |
俗に言う「涙やけ」で涙管が閉鎖してしまうため、涙の管を通らずに、外に涙があふれ出します。産まれつき涙管がない場合、細い場合、ただ単に詰まった場合等があります。 |
若齢性白内障 |
白内障が遺伝的に起こり、若齢でも認められます。 |
老齢性白内障 |
加齢によって、水晶体が濁ってきます。眼がだんだん見えなくなります。 |
片側性白内障 |
片方だけの白内障で、左側に起こることが多い。 |
眼瞼内反症 |
まぶたが眼球のほうに内転します。このため、眼球に傷がつき、涙が出たり充血したり角膜炎が起きたりします。成長につれて、治ることもあります。 |
中心性進行性 網膜萎縮 |
遺伝的な疾患で、動くものは見えるが、静止しているものは見えないといった症状を示します。 |
網膜剥離 |
網膜の一部が剥がれて、その部分が見えなくなります。 |
コロボーム |
あらゆる欠裂のことで、特に眼の先天的、病理的、人工的欠損の総称を言います。 |
瞳孔膜遺残症 |
先天的なもので、非進行性です。胎生期の瞳孔膜が角膜後面に癒着したもので、先天的な角膜の混濁の原因となります。あまり視力には影響しないようです。 |
硝子体動脈遺残症 |
胎芽の一次硝子体と水晶体の周りの血管膜に分布する原始眼動脈の終末枝が、通常は、ほとんど完全に萎縮するが、飛蚊症では、この遺残が眼内検査で認められます。 |
受容体形成異常 |
網膜の受容体の異栄養とも言える状態の異常です。 |
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■歯の病気 |
歯石・歯垢の蓄積 |
歯が茶色く変色し、ひどくなると悪臭を生じます。そのころには細菌感染を起こし、その毒物を飲み込むことにより、全身に悪影響を与えます。 |
エナメル質形成不全 |
歯の先端や周りに削られたような部分ができ、茶色に変化します。 |
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■血液の病気 |
血友病 A |
血液を凝固させる因子が先天的に不足するため、外傷等による出血で、止まりにくくなる病気です。古典的な血友病で、第[因子の欠乏が原因です。 |
第XI因子欠損症 |
plasma thromboplastin antecedent (PTA)と呼ばれる、血液の凝固因子である第XI因子が先天的に欠損している病気です。 |
ヴォン・ ヴィレブランド (フォン・ ヴィレブランド)病 |
出血性素因の病気で、粘膜や体のあらゆる部分に出血傾向が認められます。常染色体優性遺伝の病気です。 |
アテローム性 動脈硬化症 |
多くは雄に起こります。大動脈および中動脈の内膜に脂質沈着が不規則に分布するのを特徴とする動脈硬化症で、このような脂質沈着は線維形成と石灰化を引き起こします。高コレステロール血症、糖尿病、高血圧等が関係します。 |
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■皮膚の病気 |
外耳炎 |
特に耳が垂れている場合は、炎症が起こりやすく、激しく痒がったり、耳の中が赤くなったりします。いろいろなもとにある病気も一緒に治すことが重要です。 |
湿性皮膚炎 |
アレルギー体質だと罹患しやすい皮膚病です。円〜卵円形の脱毛と発赤を示します。激しく痒がります。 |
脂漏性皮膚炎 |
俗に言うフケが出て、その程度によってですが、全身を痒がります。油性と乾性のフケに分けて治療します。この病気は体質的なところがあります。 |
肢端舐性皮膚炎 |
多くのアレルギー性皮膚炎に伴って起こり、雄の場合は非去勢により多い。退屈している犬が、いつも前肢を舐めるために、脱毛し、ひどくなると潰瘍ができ、感染の原因となる、との説もありますが、最近はアレルギーを原因とする説が有力です。治療にはまず、できれば原因を除去する、そしてまた、できるだけ犬に飽きさせないようにしてあげることです。 |
ビタミンA反応性皮膚炎 |
腹部や身体の横の部分が侵され、悪臭を生じてきます。 |
食餌アレルギー |
食事が原因で起こるアレルギー性皮膚炎で、主に顔面が腫れることが多く、季節性はありません。アレルギーのない食事にすると治りますが、なかなかむずかしい病気です。 |
肛門周囲瘻 |
肛門周囲炎を起こしやすく、重症になると瘻管を形成します。お尻を地面にこすりつけ、肛門の周りが腫れます。 |
若齢性蜂窩織炎 |
子犬のときに顔が腫れて、痛々しい顔になり、とても痒がります。潰瘍、瘢痕、下顎のリンパ節症などが合併して起こります。 |
甲状腺機能低下症 |
中年齢以上でよく起こり、性別に関係なく発生します。被毛に光沢がなくなり、脱毛しやすくなります。 |
膿皮症 |
いろいろな原因で、皮膚の中が化膿する病気で、治りにくい病気です。 |
貧毛症 |
黒いラブラドール・レトリバーに認められます。乏毛症とも言い、頭部や身体の毛の量が正常より少ない状態を言います。歯の異常を伴うことが多い。 |
白毛症 |
子犬のラブラドール・レトリバーに認められることがあります。 |
毛包虫症 |
幼犬に多発する寄生虫による皮膚炎で、頭部から発生し次第に全身に広がります。脱毛、皮膚の肥厚、乾燥がみられます。重症では全身膿皮症になり、治療が難しくなります。 |
黒色腫(メラノーマ) |
口腔内や皮膚に頻発し、悪性度の高い腫瘍です。 |
皮膚の腫瘍 |
肥満細胞腫、組織球腫、脂肪腫、付属器母斑等が認められます。 |
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■泌尿器の病気 |
シスチン尿 |
尿の中のシスチンの量が増加し、そのため結石ができやすくなります。 |
ケイ酸結石 |
雄が90%で、4〜9才で発症します。X線撮影で、中心が円形で放射状の突起像が認められます。 |
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■呼吸器の病気 |
喉頭麻痺 |
上部気道の閉塞が起こり、呼吸が障害されます。1才頃によく起こります。 |
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■心臓・循環器の病気 |
拡張性心筋症 |
心臓の内部が拡張して、心臓が大きくなります。心臓の収縮が少ししか起こりません。多くは大型犬に見られます。 |
肥大性心筋症 |
原因不明の心筋症で、大型犬に多い心疾患です。運動不耐性、呼吸困難、失神などの心不全の症状が現れます。心臓の筋肉が肥大して、心臓が大きくなります。心臓の収縮が激しくなります。突然死亡してこの病気がわかることがあります。 |
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■消化器の病気 |
巨大食道症 |
通常離乳のころに発症します。食後、未消化物を吐出し、体重の減少、多食、衰弱などが認められます。 |
遺伝性膵臓機能不全 |
食欲があるのに体重が減少します。悪臭のある軟便や激しい下痢が認められ、皮膚の光沢がなくなり、脱毛が認められます。1才以下の幼犬に多い疾患です。 |
銅中毒の肝臓疾患 |
銅が肝臓に蓄積し、肝臓機能が悪くなる遺伝的な病気です。 |
肝臓病 |
この犬種は、慢性の肝臓病を発症する素因があり、最終的には肝硬変に進む場合が多く認められます。 |
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■内分泌の病気 |
糖尿病 |
遺伝的に糖尿病になりやすく、初期は水をよく飲み、頻尿が起こり、次第に削痩し、嘔吐し衰弱します。 |
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■神経系の病気 |
難聴 |
先天的な場合は治療法はありません。いろいろな犬種でみられますが、特に白い犬に多いようです。後天的の場合は、原因によって治療法は異なります。 |
低血糖症 |
血糖値が異常に低くなり、てんかん様の発作を起こします。 |
重症筋無力症 |
先天的(生後6〜9週令で発症)と後天的(5才以下か7才以上)とがあり、運動後に悪化します。虚脱、振戦、巨大食道症等を伴います。 |
筋ジストロフィ |
通常6〜9週令で発症します。その後6ヶ月まで進行性に悪化し、それ以降は安定する傾向があります。症状は衰弱、運動不耐性、筋萎縮、後肢のうさぎ跳び、肘の外転などです。 |
ラブラドール・レトリバー の筋障害 |
ミオパシーと言われる筋組織の異常状態のことで、一般に骨格筋を侵す疾患や状態を示します。 |
末梢性多発性神経疾患 |
成犬で進行的に、破行、筋萎縮、不全麻痺等が発症する病気です。総称としてニューロパシーとも呼ばれています。 |
特発性てんかん |
6〜24か月齢で発症しやすく、急に発作を起こし、最初は短い時間で回復しますが、徐々に長い発作が頻繁に起こるようになります。 |
部分的てんかん |
何もないのに、何かを噛むような動作を続けて行います。 |
ナルコレプシー・ カタプレキシー |
突発性睡眠発作と呼ばれ、突然に眠る病気です。日中に急に筋肉が脱力し、異常な睡眠におちいります。 |
小脳変性性疾患 |
小脳のプルキンエ細胞の変形性疾患です。数週〜数ヶ月齢で発症し、症状は進行性となり、小脳疾患の症状すなわち測定過大、企図振戦、躯幹運動失調などがみられます。治療法はありません。 |
球様細胞白質萎縮症 |
リソソーム貯蔵病で、中枢神経の白質と末梢神経に進行性変性を起こします。症状では上行性の進行性後肢麻痺や小脳症状が特徴です。治療法はありません。 |
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■腫瘍性の病気 |
リンパ肉腫 |
血液の悪性腫瘍で、老犬に多発します。元気がなくなり削痩し、貧血や黄疸や下痢などさまざまな症状を示します。 |
肥満細胞腫 |
あらゆる皮膚にできますが、特に体幹、会陰、四肢、頭、首にできやすく、治療は外科手術で大きく摘出するのが重要です。治療すべき腫瘍です。 |
組織球腫 |
2才以下の幼犬に発生する皮膚の腫瘍で、単独に、あるいは多発性に球形の結節ができます。 |
黒色腫(メラノーマ) |
悪性の腫瘍です。その部分が黒い色であることから名づけられたようです。主に口の中にできますが、皮膚などにもできます。転移する場合が多いようです。 |
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■その他の病気 |
口蓋裂 |
口蓋が正中線で裂けている奇形です。鼻腔と口腔がつながるために、呼吸や吸引運動が障害されます。 |
器官形成不全症 |
器官の発達が不十分(未形成)であるために、生後2ヶ月以内に咳や呼吸困難が認められ、運動不耐性になります。 |
直腸脱、子宮脱 |
直腸脱は排便や出産後に、子宮脱は出産後に起こります。両者ともに、早急に整復を行わなければ脱出した臓器が感染を起こし、治療しにくくなります。 |
包茎 |
包皮の亀頭上での反転を妨げるほど、包皮口が小さいことを言います。 |
ワクチン・アレルギー |
この犬種は特に、ワクチンを接種すると、アナフィラキシー様の反応が現れることがあります。症状はさまざまで、単に顔面浮腫で痒がる場合から、嘔吐、脱糞がみられる場合、重篤な場合では虚脱、最悪の場合では死亡します。 |
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