■頭部の病気 |
水頭症
・後頭骨形成不全 |
まず、運動障害が現れ、これがひどくなるとてんかん様発作などの様々な症状がでます。 |
頭蓋(披)裂 |
二分頭蓋とも言われ、頭蓋骨閉鎖が不完全な先天奇形で、通常、脳の全面的な発育不全を伴って起こる。 |
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■骨・筋肉の病気 |
股関節
形成不全 |
通常生後7-9か月齢で発症しますがその後に発症することも多くあります。股関節が不安定になり、腰がふらふらとなり、重度になると、後肢に跛行が生じます。 |
肘突起分離症 |
肘の関節の病気で、始めは前肢が軽度に破行、だんだんと状態は悪くなる。通常は1歳以降に発症し、多くは両側性に起こる。 |
変形性脊椎症 |
老犬に多く認められます。椎間板の老化に伴う変性により、重症になると腰が不安定になり、歩きにくくなります。 |
膝蓋骨の脱臼 |
膝のお皿に相当する骨が内側に滑り落ちる状態になり、ひどくなると慢性的に痛み、跛行を呈します。 |
椎間板ヘルニア |
椎間板が変性し、腰の神経を圧迫するため、運動障害や、後肢の麻痺や失禁などが生じます。症状がひどいと、俗に言う腰抜けの症状となります。 |
椎間板変性 |
腰の神経の圧迫により、運動障害が生じます。 |
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■眼の病気 |
流涙症 |
俗に言う「涙やけ」で涙管が閉鎖してしまうため、涙の管を通らずに、外に涙があふれ出します。生まれつき涙管がない場合・細い場合・ただ単に詰まった場合等があります。 |
眼瞼内反症 |
まぶたが眼球のほうに内転します。このため、眼球に傷を付けるため涙が出たり、充血したり、角膜炎が起きたりします。成長につれて、治ることもあります。 |
中心性進行性
網膜萎縮 |
遺伝的な疾患です。発症年齢は様々で、動くものは見えるが、静止しているものは目の前にあってもわからないといった症状を示します。白内障を合併することもあります。 |
若年性白内障 |
白内障では、普通、老犬になると認められる老化現象ですが、この犬種では遺伝的に起こり、2才以下で白内障が発生することがあります。 |
老齢性白内障 |
加齢によって、水晶体が濁ってきます。眼がだんだん見えなくなります。 |
水晶体脱臼 |
原発性緑内症の原因として起こることが知られている。 |
瞬膜の肥大(第3眼瞼の脱出) |
眼の下側の内側にある瞬膜(ワイパーの役目をする)が腫れて眼に出来物が出来たように見えます。 |
原発性緑内障 |
眼に雲がかかったように見え、疼痛(眼をつむります)が起こり、眼が大きくなって、視力に傷害がおこります。できるだけ早く治療が必要となります。 |
睫毛重生 |
まつげが2列に生え、眼に入り、涙がでます。 |
網膜形成不全 |
先天的に網膜の発達が不完全となり、形成不全を起こします。 |
眼瞼外反症 |
下のまぶたが外転するために結膜が露出し、このため、眼球に傷を付けるため涙が出たり、ひどくなると、充血したり、角膜炎が起きたりします。 |
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■歯の病気 |
歯石・歯垢の蓄積 |
歯が茶色く変色し、ひどくなると悪臭を生じます。そのころには細菌感染を起こし、その毒物を飲み込むことにより、全身に悪影響を与えます。 |
不正咬合 |
これは噛み合わせの問題で、アンダーショットとかオーバーショットとか呼ばれるもので、ほとんどは先天的な問題である。これらの問題を持つ場合は繁殖をすべきでない。 |
歯肉炎 |
これは歯石・歯垢の蓄積が原因で、歯と歯肉の間に炎症が起こり、赤くなります。 |
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■血液の病気 |
血友病A |
血液を凝固させる因子が先天的に不足するため、外傷による出血等で、止まりにくくなる病気です。古典的な血友病で、第VIII因子の欠乏が原因です。 |
ヴォン
・ヴィレブランド
(フォン
・ヴィレブランド)病 |
出血性素因の病気で、粘膜からとか、体のあらゆる部分に出血傾向が認められる。常染色体優性遺伝である。 |
自己免疫性
溶血性貧血 |
発熱を伴う、溶血性貧血で、貧血や脾臓の拡大が認められる。雌が罹りやすく、血小板減少症(歯肉の点状出血)を伴うこともある。 |
造血機能不全 |
赤血球の生成異常により、貧血を起こします。 |
ペルゲル・フェット
異常症 |
好中球・他の顆粒白血球・単核細胞のクロマチンが成熟しているのに低分葉核を示す、白血球の生成に関する異常で、遺伝性のものです。 |
免疫介在性
血小板減少症 |
血小板が少なくなり皮膚に点状の出血が起こります。軽い刺激でも出血するなどの異常が起こります。 |
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■皮膚の病気 |
アレルギー性
皮膚炎 |
ノミ・アトピー・食餌や接触が原因で起こるアレルギーで、その原因によって治療は異なりますが、さまざまの程度で激しく痒がります。 |
アトピー性皮膚炎 |
主に塵埃(家のダニ等)を吸引することが原因で起こり、通常1-3才までに発症し、遅くても6歳までに発症します。季節性があり、激しく痒がります。性差はありません。 |
皮膚糸状菌症 |
カビ・真菌による感染症でなかなか治療がやっかいな病気です。 |
マラセチア感染症 |
カビの一種の皮膚病でこれも、なかなか治療がやっかいな病気です。 |
湿性皮膚炎 |
アレルギー体質だと罹患しやすい皮膚病です。円-卵円形の脱毛と発垢を示します。激しく痒がります。 |
外耳炎 |
耳が垂れているために、炎症が起こりやすく、激しく痒がったり、耳の中が赤くなったりします。いろいろな病気の症状として現れます。 |
脂漏性皮膚炎 |
俗に言うフケが出て、その程度によってですが、全身を痒がります。油性と乾性のフケに分けて治療します。この病気は体質的なところがあります。 |
甲状腺機能
低下症 |
中年齢以上で性別に関係なく発生しますが、この犬種では特に多いと言われています。皮膚病が治りにくくなり、被毛に光沢がなくなり脱毛しやすくなります。 |
毛包虫症 |
幼犬に多発する寄生虫による皮膚炎で、頭部から発生し次第に全身に広がります。脱毛・皮膚の肥厚・乾燥。重症では全身膿皮症になり、治療が難しくなります。 |
肛門周囲腫 |
肛門腺の周囲に腫瘍ができる病気で、重症になると、痒がるのでお尻を地面にこすりこみます。ほとんどが雄で雌の場合はまれです。 |
食餌アレルギー |
食事が原因で起こるアレルギー性皮膚炎で、主に耳介部・鼠径部・腋窩部が腫れ痒がることが多い。季節性はなく、低アレルギー食にて、治るかたしかめる。 |
アポクリン腺の潰瘍 |
背中や脇腹や四肢のアポクリン腺(汗腺)に潰瘍が認められることがあります。治療は難しい病気です。 |
真菌感染症 |
マラセチアと言う真菌に罹りやすい、体質を持ちます。 |
ビタミンA反応性
皮膚炎 |
腹部や身体の横の部分が侵され、悪臭がしてきます。 |
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■心臓・循環器の病気 |
僧帽弁閉鎖不全 |
老齢になると起こりやすい心臓の僧帽弁の障害で、咳や呼吸困難などの症状が慢性的に認められます。小型犬に多発する傾向があります。 |
三尖弁閉鎖不全 |
老齢になると起こりやすい心臓の三尖弁の障害で、僧帽弁閉鎖不全とほとんど同時に起こる傾向があります。咳や呼吸困難などの症状が慢性的に認められます。小型犬に多発する傾向があります。 |
動脈管開存症 |
先天的な心奇形により子犬のころから咳・運動不耐性・呼吸困難・失神などの症状が慢性的に認められます。 |
拡張性心筋症 |
心臓の内部が拡張して、心臓が大きくなります。心臓の収縮が少ししか起こりません。多くは大型犬に見られますが、大型犬でもないのに、この犬種にはこの病気があります。 |
タウリン欠乏症 |
この犬種は心臓病にタウリン欠乏症が関係しているとの指適があります。 |
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■神経系の病気 |
特発性てんかん |
6-24か月齢で発症しやすく、急に発作を起こし、最初は短い時間で回復しますが、徐々にひんぱんに長い発作が起こるようになります。 |
部分的てんかん |
何もないのに、何かを噛むような動作を続けて、行います。 |
先天性前庭疾患 |
先天的な障害により、歩き方や、姿勢に異常が生じます。首を傾けたままになる(斜頚)ことが特徴です。 |
前庭疾患 |
脳神経の異常で、頭を傾けたり、歩行障害・眼振等ありますが、中枢神経系と末梢神経系に分けて考えますが、難聴がないと予後は良いようです。 |
難聴 |
先天的な場合は治療法はありません。いろいろな犬種でみられますが、特に白い犬に多いようです。後天的の場合は、原因によって治療法は異なります。 |
小脳変性性疾患 |
小脳のプルキンエ細胞の変形性疾患で、数週-数ヶ月で発症し、症状は進行性となります。すなわち小脳疾患の症状・測定過大・企図振戦・躯幹運動失調などです。治療法はありません。 |
糖原病
(グリコーゲン
貯蔵病) |
グリコーゲンの代謝に関与する酵素の欠損が原因です。遺伝性の疾患で、臨床症状は、進行性の全身性の筋虚弱・肝腫大・嘔吐・巨大食道症です。 |
クラッペ病 |
遺伝的に起こる脳の障害により、子犬の頃から興奮・痙攣・全身の麻痺などが起こります。脳脊髄の脱髄性の病気で治療法がありません。 |
セロイド
リポフスチン
蓄積症 |
リソソーム貯蔵病で、性格の変化(攻撃性)・運動失調・頭部振戦・発作等が現れ、1-9歳の成犬に見られますが、治療法はありません。 |
特発性顔面麻痺 |
5歳以上の成犬に見られ、原因不明の顔面神経の麻痺になります。片側性と両側性の両方の型があります。甲状腺機能低下症や腫瘍の鑑別が必要ですが、この病気は、数週間から数ヶ月で改善がみられるか、または全く改善しません。 |
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■消化器の病気 |
食道痙攣 |
食物を飲み込むことができなくなり、食後、食物を吐き出します。 |
銅中毒の
肝臓疾患 |
銅が肝臓に蓄積し、肝臓機能が悪くなる遺伝的な病気です。 |
脂肪肝 |
肝臓に脂肪が蓄積して、肝臓機能が悪くなる病気です。肥満の傾向が多い。 |
膵炎 |
高脂血症・高コレステロール血症・高トグリセライド血症との関係が問いただされている。過食をさけ、高脂肪食もなるべくさけることが賢明である。 |
肝臓病 |
慢性の肝臓病が発症することがあり、最終的に肝硬変に進む場合が多い。 |
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■腫瘍性の病気 |
メラノーマ |
黒色腫と言って、悪性の腫瘍です。その部分が黒い色である所からなづけられたようです。おもに口の中や口唇や皮膚や爪の下にできます。転移する場合が多いようです。 |
乳腺腫瘍 |
2.5才以下に避妊すれば乳腺腫瘍の発生率が低くなることがわかっています。また、子宮蓄膿症などの病気も防ぐことができます。 |
皮膚組織球腫 |
2才以下の幼犬に発生する皮膚の腫瘍で、単独に、あるいは多発性に球形の結節ができます。 |
脂肪腫 |
いろいろな大きさの境界明瞭な皮下の腫瘍。身体の前半にできる傾向がある。内容物は柔らかいものから硬いものまでいろいろ。少しずつ増殖する、無兆候性のものが多い。 |
毛包上皮腫 |
背部の皮下結節で、1-10cmの皮下の腫瘍や潰瘍のこともある。 |
皮膚の腫瘍 |
皮膚組織球腫・皮脂腺腫・肝様腺腫・基底細胞腫・皮脂腺過形成・皮膚プラズマ細胞腫・皮脂腺癌・悪性黒色腫(口唇)・耳垢腺種・耳垢腺癌等があります。 |
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■内分泌の病気 |
糖尿病 |
遺伝的に糖尿病になりやすく、初期は水をよくのみ、頻尿が起こり、次第に削痩し、嘔吐し衰弱します。 |
クッシング症候群 |
副腎皮質の機能亢進による内分泌疾患で、多飲・多尿・脱毛・腹部の膨大・皮膚の色素沈着などが起こります。 |
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■泌尿器の病気 |
尿石症 |
血尿・尿が出にくい・嘔吐・疼痛などの症状が現れ、ひどくなると尿閉をおこし、尿毒症になります。 |
腎皮質形成不全 |
先天的に腎臓の皮質が形成不全になるために、1歳以下で腎不全の症状が現れ、尿毒症になります。 |
糸球体腎炎 |
この犬種は、糸球体の疾患を持つ可能性が示唆されている。 |
リン酸
カルシウム結石 |
7-11歳で、雄が60%、時々高カルシウム血症を認める。 |
リン酸
マグネシウム
・アンモニウム |
雌が80%以上で、2-8歳以下で発症する。血清には影響を与えないが、尿の培養で、ウレアーゼ産生細菌を認める。 |
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■呼吸器の病気 |
扁桃腺の肥大 |
扁桃腺が腫れて、呼吸をしづらくさせます。呼吸回数と関係があります。 |
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■その他の病気 |
停留睾丸 |
片側、または両側の睾丸が生後1ヶ月以上たっても陰嚢の中に認められない疾患です。繁殖には適しません。 |
口蓋裂 |
口蓋が正中線で裂けている奇形です。鼻孔と口腔がつながるために呼吸や吸引運動が傷害されます。 |
喉頭麻痺 |
上部気道の閉塞が起こり呼吸が傷害されます。1才頃によく起こります。 |
子宮蓄膿症 |
子宮や膣を始めとして、感染しやすい体質があるようです。 |
臍ヘルニア |
おへそが膨らみ、外から触ると内に入ります。多くは先天的です。 |
鼠径ヘルニア |
内股が膨らみ、外から触ると内に入ります。多くは先天的です。 |
偽半陰陽 |
半陰陽とも言い1つの個体に卵巣と精巣の両組織が存在するため、雄か雌か判定しにくい外部生殖器をもちます。 |
陰茎小帯遺残症 |
陰茎に小帯が遺残する状態で、ちょっとした外科手術で治ります。 |
全身性紅斑性狼瘡 |
原因不明の自己免疫性疾患の1つで、関節炎・腎炎・貧血・皮膚の潰瘍・心筋炎など様々な臓器に障害が起こります。雌に多い疾患です。また、この犬種の特徴として薬物に対する感受性が高いことと、精巣の下降が遅く、通常1ヶ月で認められる精巣が、認められないことがあります。 |
指や尾の
欠損や短縮 |
生まれつき、これらの素因を持っている場合に起こる状態。 |
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