最近、人間の医学では、その病気の治療を行う際に、その治療が科学的な根拠に基づくものかの有無が問いただされています。これをEBM―Evidence Based Medicine(根拠に基づいた医療)と呼んでいます。
このことは当然獣医療にも当てはまります。獣医学の場合はEBVM(Evidence Based Veterinary Medicine)と呼ばれています。 |
獣医学情報にも、さまざまな程度があり、信頼できる情報(学会誌の報告や成書から)と信頼できない風潮情報(例えば犬が風邪をひいた)とさまざまあります。それらの判断は飼い主自身が行なわざるを得ないのでしょうが、その基本はその獣医学情報が、根拠に基づいた獣医療―EBVMに基づいているかどうかです。
さてこれらの根拠に基づいた獣医療(EBVM)かの判定は、各分野の改定を続ける獣医学の成書又は専門の学会誌に記載してある治療法がこのEBVMの治療法と判定するのが第1基準となります。 |
人間の医学のEBMでは、またその根拠の信頼度に基づいて5段階に分かれているようです。
信頼度1 |
大規模な臨床治験の結果の結論 |
信頼度2 |
小規模な臨床治験の結果の結論 |
信頼度3 |
専門誌の研究発表の結論 |
信頼度4 |
いわゆる権威者や団体の見解 |
信頼度5 |
単に専門家の個人的見解 |
これらの原理・原則を履き違えると、これはあたかも人間の医学で良く言われている、アトピー・ビジネス(治りにくい代表的な病気を利用して、使用するステロイド剤の副作用を強調して、我が社の製剤は副作用なくとか、私の方法は副作用なく治るとか、慢性病医療のむずかしさ、複雑を利用して、高価な薬を売る商法)になりかねません。 |
しかしながら、すべての医療がこれにのみに基づくものではないので、このへんが医療のむずかしさ・複雑さ・わかりにくさです。医学・医療では絶対は存在しないのです。また例外がないこともないのです。医療で絶対は存在しないことの例外は、人間・動物はいずれ必ず死が訪れると言うことです。
例えば悪性癌であっても、1000人に1人は自然退縮(自然に治る)例は知られていますし、「病は気から」と言われるように、心持ち1つで、その病気がかなり作用されることも、現代医療で判明しつつあるようです。 |
ゆえに医療は現段階では、わかりにくい部分が多く存在しているのですが、それらを完全には否定できないのですが、最も重要な基準は、EBMを第一優先事項とすることです。
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