■早期の避妊・去勢手術(EN-S)について |
以前の方法では、通常雄は8-9ヶ月、雌は6-7ヶ月頃とされていましたが、最近の報告によると、雄・雌ともに6-14週令とかなり早い時期に去勢や避妊手術をしても、何ら医学的に副作用等を認めておりません。現在では、米国のみでも10万頭以上の犬猫がこの方法で不妊手術を受けていますが、まったく副作用の報告はありません。また全世界の獣医師がこの方法を採用しつつありますが、悪影響を報告した例は現在の所ありません。
早期の避妊・去勢手術は、ある意味ではまだ論争中の問題なのですが、米国では10年前から犬猫の過剰が問題となり、人間と犬猫がいかにしてより幸せな関係になるか?を探りだすために、あみだされた実践的な方法だと言えます。
それゆえ現在では、アメリカ獣医師会・アメリカ動物病院協会・アメリカケンネルクラブ・アメリカ動物愛護協会・アメリカ動物虐待防止協会・米国人道主義協会等の主な8つの団体から、この方法はお墨付きをもらい、支持されています。
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■麻酔の絶食時間と絶水時間について |
20年前では絶食24時間と絶水12時間と言われ、10年前では絶食12時間と絶水6時間となり、現在では絶食6時間と絶水0時間(なし)と言われるようになりました。また子猫や子犬の場合、絶食は2-3時間でOKとのことです。体力のない子猫や子犬の場合は、肝臓などの働きが十分でなく、長期間の絶食はかえって体力を落とします。
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■手術後の食事について |
現在の吸入麻酔では麻酔の影響が最小限なので、早く心肺機能が回復し覚醒が早くなります。したがって、麻酔から回復したら食餌を与えて良いです。ただし高蛋白のしかも消化の良い食餌を少量ずづ与えること。そうすることで、体力の回復が手術後に絶食した動物とは見違えるほど早いのです。
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■腸管の手術後の食事について |
手術後の食事は腸管が癒着する1週間前後と言われていましたが、手術後の麻酔から回復した時点で食餌(消化率の良い高蛋白食)が可能です。腸管が1番強く着いているのは、かえって手術直後なのです。
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■緊急時の心臓内エピネフィリン投与について |
突然の心停止の際に血管が確保されていない場合は、エピネフィリンを気管内投与しますが、もし血管が確保されていれば、静脈内の投与がベストです。心臓内にエピネフィリンを直接投与すると心筋の働きが悪くなって、静脈投与より効果が悪いことが判明しています。
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■手術後の抗生物質投与について |
教科書的には手術後の抗生物質投与とありますが、もし抗生物質が必要なら手術前の抗生物質投与でないといけません。血中濃度の上昇が手術後だと遅いことがあります。感染が予想される場合は、手術前に抗生物質を投与し、あらかじめ血中濃度を上昇させることで対処します。
各々の手術前に抗生物質投与が必要? 普段の健康動物の手術(例:卵巣子宮摘出術など)は、手術が無菌的に行われていれば、抗生物質投与は必要ありません。手術=抗生物質と考えなくても良いです。
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■パンクレアチンの投与法について |
パンクレアチンの投与については、ドッグ・フードに振りかけ、お湯をかけて20分待ってから投与とありましたが(かなり以前)、現在の獣医療では否定されています。そのまま投与してOKとのことです。
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■捻転-拡張症候群のゾンデの挿入について |
胃捻転-拡張症候群の際、ゾンデが入れば胃拡張・入らなければ胃捻転と言われていましたが(かなり以前)、ゾンデが入っても胃捻転の場合があることが判明していますので、この方法は診断には使用できません。参考程度です。
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■猫のジアゼパム投与について |
猫のジアゼパム投与については、最近になって肝障害が発見されました。すべてではありませんが、猫にジアゼパムを使用する際は十分に注意が必要です。肝臓機能のモニターをする必要があります。
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■子猫・子犬の駆虫時期について |
以前は、虫卵を発見してから駆虫すること、と言われていましたが、現在のように副作用の少ない効果的な駆虫剤の出現によって、虫卵が発見できなくても生後1ヶ月前後で駆虫することができます。また、いくら調べても発見できないこともあり、むしろ生後1ヶ月前後で駆虫した方が、より実践的で効果があることが判明しつつあります。
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