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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

Dr. 小宮山の伴侶動物へのやさしい(優しい)獣医学
最も実践的な獣医療のために

ウサギの飼い方と病気

ウサギの生理学的統計
寿命 約5〜7年
体温 約38〜40℃
目の開く時は生後10日後

ウサギの生理学
・口があまり開かない → 口内の検査は難しい
・歯間間隔が大きい
・口腔が解剖学的に長い
・胃は大きく、壁は薄い
・十二指腸は比較的長い。ゆえに破れやすい。先端に虫垂がある。
・盲腸が大きく長い。壁は薄く内容が透けて見えるため、濃い色になる。
・筋肉は強いが、骨は弱い。骨の皮質は薄い。
   ウサギの皮質骨の割り合いは8%
   一方、猫の皮質骨の割り合いは13%
・脊椎骨折に注意する

・子宮は子宮体が無く、子宮角が2つに分かれる。頚管も2つに分かれる。
・歯は生涯伸び続ける。1ヶ月に約1cm伸びる。
・嘔吐や逆流ができない
・耳から体温を放出する。耳はウサギにとって体温調節のための重要な器官である。
・ウサギは鼻で息をする。口では息ができない。
・peg teethがある
・皮膚は敏感(剪毛は毛をアルコールで濡らしてから)
・2〜3週間の換毛期あり
・脱毛部は赤く無いのが正常
・のどの下の肉垂は雌で目立ち、病気では無い。高齢でより目立つようになる。
・妊娠期間に(毛が多いと?)自分で抜いて巣作りをする。
ウサギの飼育について
飼育環境
至適温度 16〜21℃
限界温度 4〜27℃
至適湿度 40〜60%
ウサギは暑熱に弱い。

・ウサギの集団飼育は難しい
・野外で飼うときは、地面に穴を掘る動物であることに注意し、脱走できないつくりにすること。
・隙間風を防ぐこと

・飼育ケージの床は藁や紙がベスト。
・金網やかんな屑は危険なことがある。
・猫砂は消化管の閉塞の原因となることがあるので使用しない。

・モルモットとチンチラと共に飼育しない。
・ウサギは襲われる側の動物なので、ストレスに弱い。
・初めは掴まれる時は食べられる時と感じる?

ハウスラビットの問題点

尿スプレーの問題
かじる癖の問題
壊す癖の問題
ウサギの食餌
・夜にはすべての野菜などは取り去ること
・アルファルファの給与
  →カルシウムとタンパク質が多すぎるので、6ヶ月以下と妊娠期間の給与に限る。
・幼弱なウサギには野菜は与えないこと
・ラビット・フードは、2.5kgにつき60gぐらいまで
・おやつは2.5kgにつき15gぐらいまで
    ニンジン、バナナチップ、パン、レーズン、りんごなど
・水は給水ボトルを使用して給与する。これによって、飲水の糞便による汚染を防ぎ、被毛の乾燥を保つことができる

素朴な疑問:「ウサギに水をあげると死ぬの?」
A:いいえ、あげないと死にます。
ウサギの尿の性状
明〜乳白色〜黄色、
オレンジ・赤褐色尿も正常
比重 1.003〜1.036
蛋白質 (-)〜痕跡
尿糖 (-)〜痕跡
pH 8.2のアルカリ尿

ウサギの糞便について
・便の2/3は、丸く硬い普通の便。1/3は柔らかい盲腸便。ウサギは盲腸便を食糞する。
・盲腸便はビタミンBとタンパク質を多く含む。
・ウサギは肛門から直接食糞するため、飼い主はあまり気付かない。下に落ちた便を食べるのでは無い。
ウサギの扱い方
キャリアーは上蓋タイプが良い
・横から出し入れするタイプは慎重に
・ケージに入れる際は後ろ向きに入れる
ウサギの健康診断
食事内容
耳ダニ
内部寄生虫
不正交合
不妊手術

ウサギとお産
・お産時には安心してお産ができるような配慮が必要となる。
・興奮すると1〜2回目のお産の際に胎仔を食べたり、面倒を見なくなることがある。
・人工保育は難しい

ミルクの給与量
1日2〜3回、1回につき5mlを給与する
2週間目までは 15ml/日
3週間目まで 25ml/日

不妊手術
避妊手術をしないと
・3歳以下では子宮の腺癌が4%におこる
・5歳以上では50%以上腺癌がおこる
去勢をしても、1ヶ月は雌と同居させないこと

ウサギの不妊の原因
子宮の感染
睾丸炎
高齢、未成熟
肥満、カロリー不足
ビタミンE不足
病気のウサギの症状
ウサギの疼痛の現れ方 歯ぎしり・ケージの隅に隠れる
食欲不振 体重減少、下痢、便秘、腹囲膨満、無関心
ウサギの5大疾病
毛球症
下痢
不正交合
耳ダニ
パススレラ・マルトシーダ感染症
毛球症
・固形フードを多食すると起こりやすくなる
・乾草の給与が予防のために重要である
・被毛により起こるが、乾草を与えていないと起こりやすい
・予防には正しい食事管理が重要である
・清潔な環境で飼育する
・よくブラッシングをする


症状
  ・突然食べなくなり、便の数が少なくなるか、便秘となる
  ・活動性はあまり変わらないこともあるが、徐々に低下する
  ・ウサギは嘔吐することができないから、症状が重度な場合は胃の破裂が起こることもある。これは
突然死の原因となる

治療法
輸液療法
溶解・排泄療法
食事療法
高繊維食療法

高繊維療法
乾草、色の濃い野菜、ケール、
スピルリナ、野菜スープ、野菜のベビーフード
不正交合
原因
・遺伝的要素が主。よって繁殖には適さない。
・その他、感染、外傷、栄養等が問題となる。


症状
・食欲不振
・体重減少
・流涎(だ液分泌過多)
・歯ぎしり


治療法
・定期的に歯を切る。

下顎突出症
・遺伝的な問題
・抜歯療法
ウサギの下痢症
古くて新しい病気
たかが下痢、されど下痢


原因
コクシジウム以外の診断は難しい。
・多くは非特定腸疾患として治療される
急性の下痢 幼齢のウサギ・あるいは飼いはじめに多い
慢性の下痢 老齢ウサギに多い
抗生物質による下痢 抗生物質誘発性大腸炎

腸性毒血症
原因
・盲腸内のグラム陰性菌が過剰増殖すること
・クロストリジウム

治療
盲腸便の投与 おむつをして採取する。
撹拌機でヨーグルト、ペレット、野菜、
ベビーフード等にまぜて投与する。

耳ダニ
古典的療法(家ウサギ療法)
オイルを耳道に滴下して、マッサージをする。
・家ウサギは除去することが望ましいが、痛みの原因となる。
・オイルのみでは2週間ごとに治療が必要。
パスツレラマルトシーダの感染
・直接感染または空気感染
・無症状の保菌者が多い(通常どのウサギも鼻腔内に菌を持つが無症状である)
・ストレスがかかると発症する(一定の体力の低下で発症する)

症状
結膜炎、鼻炎、中耳炎、肺炎、睾丸炎
子宮蓄膿症(子宮炎)
斜頚、敗血症
皮下膿瘍(膿瘍は濃厚な白色から褐色)

治療
・抗生物質療法
・食事療法
・外科療法
ウサギの後躯麻痺
外傷、腫瘍による脊椎骨折、脊椎脱臼
あるいは保定が原因で起こることがある
人畜共通伝染病
重要なのは ツメダニ
皮膚糸状菌
疑いのあるものは パスツレラ・マルトシーダ
野兎病、サルモネラ、結核、狂犬病