■給餌 |
グリーンイグアナは草食性だが、一般的にイグアナは葉食性(葉を食べる)である。濃い青物・野菜の葉・ブドウの葉・クワの葉・ハイビスカスの葉および花・バラの花びらを1日1-2回給餌する。全ての植物は洗って調理して混ぜ、室温かそれよりもやや温かくして与える。
カルシウムが豊富に含まれている野菜
カブの葉、カラシの葉、ビートグリーン、ケール、コラード、白菜、フダンソウ、タンポポ、パセリ、キクヂシャ、ホウレンソウ、アルファルファ(カイワレダイコン)ペレット、コエンドロ
⇒少量の豆腐を週1回野菜の中へ砕いて入れると良い
年齢(サイズ) |
適する給餌 |
孵化後の幼獣
(〜全長35cm程度) |
1-2時間毎または餌がいつでも食べられるようにしておく。餌は細かく刻んだり砕いておく。 |
幼獣-2.5歳
(〜全長90cm程度) |
24時間毎に給餌する。餌は中くらいに刻んだり砕いておく。 |
2.5歳-成獣
(全長90cm以上) |
24時間毎に給餌する。餌は粗めに刻んでおく。市販のペットフード(ドックフード・猿用の餌・マスの餌)はやめた方が良い。市販のイグアナ用缶詰を追加しても良いが、長期間缶詰だけの給餌は控える。 |
ビタミン/ミネラルの補助食品は適度に与える。カルシウム・脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は多めに追加して良い。しかし、以上の栄養素は新鮮な葉から供給するのが最も良い。炭酸カルシウム・グルコン酸カルシウム・イカの甲を砕いてパウダーにしたものについては週1回程度与える。
草食性のトカゲ類
餌の切り替えは、今までの「古い」餌品目を徐々に減らし、「新しい」餌品目の量を増やしていく。好きな餌だけを拾い上げないように、同じ大きさの小片に刻んだり、さいの目状にしたものを砕いたり潰したりてよく混ぜ合わせる。花を給餌する場合、赤色や明るい色をしたハイビスカス・キンレンカを与える。餌は早朝か夕方遅くの最適温度時に与える。
雑食性のトカゲ類
イグアナ用の餌に昆虫やピンクマウスを加える。
肉食性のトカゲ類
あらかじめ殺してある動物を、全長に応じた大きさにして与える。生きた齧歯類は(食べ終わるまで飼い主が観察していたとしても)与えない。ほとんどのトカゲ類について毎日給餌し、肥満を防止するため体重をモニターする。
マウス・ラット・齧歯類・ウサギ・ひよこを与える場合、ビタミン/ミネラルの補助食はおそらく必要ない。ピンクマウス・ミルワームを給餌する場合、カルシウム補助食を与えることが望ましい。粉にした牛肉・心臓・肝臓は栄養が不十分なので与えない。犬・猫・マウス・猿用の餌は避ける(ビタミンD過剰症・高カルシウム血症・脂肪代謝を引き起こすかもしれないため)。ツノトカゲはほとんどの場合シロアリのみを食べるので小さなコオロギが代用食として役立つ。
ヤモリ(Phelsuma sp.)
食虫性だが、花密をなめることもある。カキネハリトカゲ・アノールトカゲ・旧世界カメレオン等については、適当な大きさの昆虫・無翅類のショウジョウバエ・コオロギ・バッタ・キリギリス・ガを食べる。カイマントカゲは魚・軟体動物・腹足類の動物を食べる。コオロギを給餌する場合、給餌する3-4日前からコオロギ自体にひよこ用の粉餌:炭酸カルシウムを4:1の割合で与え、コオロギの腸管に栄養を蓄えておく。
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■病気・ケガの予防 |
・複数のトカゲを飼う場合、2-3ヶ月は別々の場所に隔離しておく。
・定期的に獣医師による検査・スクリーニングを行う。
・食餌の正常なパターン・排便・体重の増加・個々の行動を記録する。
・ケージ・温度・湿度・照明・食餌について、各品種に最適な管理をする。
ケージはふたがきっちりと閉まる安全なもので、吻部の擦過傷を防ぐためシンプルで側面が滑らかなものを用いる(プレキシグラス・アクリル・ガラスが望ましい)。木を用いる場合、掃除をしやすくしたり感染症を予防するために、ポリウレタンや防水剤で密閉し、つなぎ目をコーティングする(トカゲを中に入れる前によく換気する)。
ケージは登ったり他の運動ができるくらい充分に大きいものを用いる。ある程度の直径がある木登り用の枝を与える。餌・水のボウル・水たまりは、容易に行き来できて頻繁にきれいにできるような場所に置く。
消毒薬は3-10%の塩素系漂白剤が良い。トカゲが触れる前にしっかりすすぎ乾かすことが重要である。寒さ(温度は熱源へ接触しないよう測定)・外傷・逃亡を防ぐため、トカゲがケージの外を自由に歩き回らないようにする。
同じ品種を2匹同じケージの中で飼う場合、以下の条件を満たす必要がある。
・同じ程度の大きさ
・雄同士でない
・お互いに見えない位置に置くことができる
・熱源・UVライト・餌・水をそれぞれ別に用意する
反射する素材の壁や鏡は避ける。条件にあった素材は、新聞紙・茶色の肉屋にあるような紙・イトスギのマルチ(農作業用の混合物)・有機(再生)セルロース・繊維・実験動物の寝床用ペレット等である。木の削り屑は大型のトカゲに適している。 |
■種類別環境条件 |
種類 |
生息地 |
温度(度) |
相対湿度(%) |
グリーンイグアナ |
樹上 |
26.7-29.4 |
60-80 |
カロライナカメレオン |
樹上 |
22.8-28.3 |
70-80 |
ヒョウモントカゲモドキ |
陸 |
25.0-29.4 |
20-30 |
ジャクソンカメレオン |
樹上 |
23.9-29.4 |
50-70 |
グリーンバシリスク |
樹上 |
22.8-29.4 |
70-80 |
ウォータードラゴン |
樹上 |
23.9-29.4 |
80-90 |
※夜間:下限温度の3度まで下げる。
※熱源:上限温度の3度まで上げる。
照明
フルスペクトルライトはビタミンDを活性させるのに必須であり、ほとんどのトカゲ類について行動学的にも心理学的にも効果をもたらす。ガラス・プラスチック等のフィルターは、照明効果が半減するので使用しない。人口UV源は、トカゲから45-60cm離して置くようにする。
⇒照明源:フィルターを通していない直接の日光、太陽灯(メディカルグレードUV-B、15-20分/日でタイマーセットできる)、FSタイプ蛍光太陽灯、不可視光線の蛍光管(General
Electric Co.)、Vita-Lite蛍光管(Duro-Lite Lamp、9-12ヶ月毎に置き換える)。
⇒トカゲ類に有効でないもの:広域スペクトルの植物灯、広域スペクトルの水槽用白灯、不可視光線のblue tubes。
熱源
付加的な熱源として日中は白熱灯を使用する(夜間は消す)。ホットロックやログヒーターを使用する場合、接触による火傷を防ぐために布で覆う。
放射熱の使用が最も良い。水平・垂直の両方向から勾配を付けて熱を供給し、トカゲが自分の最適温度を探して暖まることができるからである。
⇒組み合わせて使用:基材下に保温パッド、ケージの後ろ・側面に保温パッド、スポットヒートランプ、日中数時間作動するようなタイマー付反射鏡ランプ・コイル(ランプは焦点温度を10-15度上昇できる)
※夜間に環境温度を維持する必要があり、保温パッドの効果があまりないなら、赤色・琥珀色のランプを夜間に使用する(テフロンコートされたヒートランプは避ける)。温度計でケージ内をモニターし、動物の位置を常に確認する必要がある。
⇒最適温度範囲:熱帯種26.5-37.0度、温帯種24.0-29.5度
水分
砂漠に住む多くの種は湿度50%未満を必要とする。熱帯森林種は60-80%である。カビや細菌の成長を防ぐために換気も重要である。飲み水はボウル・壺に入れて与える。カメレオン・ヤモリ・アノールトカゲは葉から滴下する水を必要とする。毎日ケージに霧吹きをかけたり、滴下装置を取り付ける。ケージ内には温湿計を設置する。
⇒湿度を上げるためには:湿度箱を作る(プラスチック餌箱等の側面に穴をあけ、湿らしたスポンジ・ミズゴケを入れる)、植物に頻繁に霧吹きをかける、部屋用加湿器・噴霧器を使用する
隠れ場
段ボール箱や植木鉢で隠れ場を作ると、視覚的効果で安心する。本物・人工の草木でも良い。 |
■繁殖・寿命早見表 |
種類 |
卵/胎 |
孵化/妊娠期間
(日) |
孵化温度
(度) |
孵化相対湿度(%) |
グリーンイグアナ |
卵生 |
73-93 |
27-35 |
75 |
ヒョウモントカゲモドキ |
卵生 |
55-60 |
26-33 |
80-100 |
ジャクソンカメレオン |
胎生 |
90-180 |
- |
- |
グリーンバシリスク |
卵生 |
60-64 |
27 |
- |
ウォータードラゴン |
卵生 |
90 |
- |
- |
グリーンアノールトカゲ |
卵生 |
60-90 |
28-30 |
80-100 |
種類 |
寿命(年) |
Mexican beaded lizard |
34 |
Cayman Island ground iguana |
33 |
グリーンイグアナ |
13-29 |
トッケイヤモリ |
24 |
ヒョウモントカゲモドキ |
21 |
オマキトカゲ |
17 |
Spiny-tailed iguana |
5-17 |
テグー |
14 |
Savannah monitor lizard |
13 |
グリーンウォータードラゴン |
11 |
アカヒゲトカゲ |
10 |
ジャクソンカメレオン |
8 |
グリーンアノールトカゲ |
7 |
パンサーカメレオン |
5 |
Parson's chameleon |
1 |
|
■雌雄判別法 |
イグアナは外見から雌雄判別をするが、幼獣の頃は判別が難しい。
⇒雄:背骨が高い、胸垂が大きい、鰓蓋鱗が大きい、尾根部の両側にへミペニス(半陰茎)の隆起、大きく成長した大腿部の孔
※ヤモリの雄は大腿孔・前クロアカの孔が顕著である。
⇒雌:雄よりも背骨・鰓蓋鱗・大腿部の孔が小さい
尾根部に生食を注入することでへミペニスを外翻させることができる(へミペニスを露出させるときは外傷に注意)。クロアカのちょうど尾側の尾根部を指で圧迫すると、へミペニスが外翻する。綿棒を用いても良い。
高齢の雄オオトカゲの場合、レントゲン写真でへミペニスの石灰化が認められることがある。カメレオンの雄には、角状器官・とさか・よろい等の装飾が頭部に見られる。
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■一般的な緊急疾患・臨床症状 |
・代謝性骨疾患
・外傷
ケージ内の発熱装置、UVライトによるやけど
骨折(一部代謝性骨疾患による)
他の動物から受けた創傷
・異常分娩
・食欲不振
不適当な管理や照明周期
寒すぎる温度設定
内部寄生虫
細菌性胃腸炎 |