■性質について |
ウサギの行動はかわいくて静かで、温和なペットとなる。ほとんどは従順な性質である。恐怖で悲鳴を上げたり、時折警戒のうなり声をあげたりすることが、通常発声された音として聞かれる。後肢をドンと踏みならすことは、警戒の信号として使われている。
盲腸便の糞食は必要であり、大抵夜明け頃に摂食される。朝の盲腸便は、小さくて柔らかく、粘液に覆われており、丸ごと飲み込まれる。それはウサギが植物原料を消化するのを助ける役目をしている。多くのペットウサギは、ハーネスや革ひもに慣れさせることができる。
ウサギは容易にトイレのしつけができる。ウサギのトイレに使用できるものは、ペレットペーパーあるいは他の有機物、例えばセルロースの断片、昨日の新聞(両方とも再生紙)、ヤマネコ用の仔ネコ用トイレあるいは収穫した寝わら(ペレットグラス産品)、あるいは似たような種類のものが望ましい。
トイレに使用する製品は、もし食べても毒性がなく、消化できるものでなくてはならない。トウモロコシの穂軸、クルミの殻、削りくずあるいは粘土のくずは使用しない。
ウサギは毎日濁った匂いの強い尿を排泄し、小さく丸い糞便を大量にする。 |
■食餌について |
ウサギの食事は草食動物で、絶え間なく食べる("少しづつもぐもぐ食べる動物"である)。推奨される毎日の食餌は以下のようなものである。 |
無限にある色々なイネ科の乾草あるいはチモシーの乾草。 |
高繊維のメンテナンスタイプのラビットフード(18%あるいはそれ以上の繊維)は、大人のウサギ(自宅繁殖させていない)の体重2.25kg当たり22.5g(1/8カップ)以上は与えない。 |
毎日濃緑色あるいは濃黄色の野菜の中で異なる3種類を選ぶ。例えば、アルファルファの芽、バジル、ビートの若葉、ブロッコリーの葉、芽キャベツ、ニンジンやニンジンの葉、コエンドロの葉、コラードの若葉、エンダイブ、ピーマン、パセリ、コスチャ、ケール、キャベツの外側の葉、キイチゴの葉、カモジグサ類、シバムギ、エンドウのさや(エンドウではない)、カボチャ、タンポポの葉。 |
体重2.5kg当たり(減量していないのなら)全量で大さじ1〜2杯だけの少量のフルーツ(3種類まで)。
高繊維のフルーツを置いておく:リンゴ、モモ、プラム、洋なし、メロン、キイチゴ、パパイヤ、ブルーベリー、ブラックベリー、イチゴ、パイナップル。
甘いフルーツは避ける:バナナ、ブドウ。 |
|
■住まいについて |
住まいは、囲いはウサギが噛んで逃げ出すのを防ぐため、十分に丈夫なものにすべきである。部分的に頑丈なフローリングが奨められる。不潔な床の上、あるいは100%鉄条網でできた床で飼育されたウサギは、治療が必要となるぐらいの重度の足の潰瘍を起こす。
住まいは、一般に風、雨あるいは雪を防ぐ隠れ家ともなるように、また、直射日光や強い日差しを防ぎ日陰となるようにする。湿気、極端な気温、不安、他の動物(野生動物や飼われている動物)から守っていけるように、住まいを作るべきである。
野外飼育のウサギでは、たまった糞便はウサギ小屋から遠くへ離して堆肥にする。住まいの下にためておいてはいけない(空中に舞い散ったり、他の動物がこの汚物に関心を持つ)。ペットとしてのウサギは、ウサギのために作られた住まいを持たねばならない(電気コード等から距離を置くこと)。 |
■予防的看護 |
・衛生管理は大変重要である。つまり、糞便や尿が通り抜けるような住まいの床でさえ、下に落ちた糞便や尿がたまらないようにすべきである。
・柔らかい毛を週に1〜2回はブラッシングしたり、櫛でといたりする。また、長毛種は毎日行う必要がある。
・必要に応じて爪を切る。
・もしウサギを室内飼育しているなら、グルーミングの次に、ネコ用の緩下剤あるいはパイナップルジュースを少量飲ませると、特に毛球症を防ぐことができる。
・地域によっては、週に1〜2回"ウサギに対して安全な"ノミ・昆虫の予防剤で処置する。
・少なくとも月1回はウサギの体重測定をする。 |
■雌雄の判別法 |
雌雄の判別法は、雄のウサギでは、ペニスが肛門にかぶさっている。そして、生殖開口部の両側をやさしく押すと、突き出させることができる。
雌雄どちらにおいても、鼠蹊部の袋が、泌尿器生殖器の開口部の横に位置している。そして、強い匂いの濃い色をした腺の分泌液で満たされている。 |
■早見表 |
生理学 |
寿命 |
5〜6年あるいはそれ以上 |
成獣の雄の体重 |
2〜5kg(品種による) |
成獣の雌の体重 |
2〜6kg(品種による) |
体表面積 |
|
直腸温 |
38.5〜40℃ |
二倍体染色体数 |
44 |
食物消費量 |
5g/100g/日 |
飲水消費量 |
5〜10ml/100g/日あるいはそれ以上 |
胃腸管通過時間 |
4〜5時間 |
呼吸数 |
30〜60回/分 |
1回換気量 |
4〜6ml/kg |
酸素消費量 |
0.47〜0.85ml/g/時間 |
心拍数 |
130〜325回/分 |
全血液量 |
57〜65ml/kg |
血圧 |
90〜130/60〜90mmHg |
歯列 |
・大きな上顎の切歯の後ろに2本の小さな管状の形をした切歯。
・全てオープンルート。
・切歯の成長は1年で10-12cm。 |
歯式 |
2-0-3-3/1-0-2-3 |
生殖
雄:buck 雌:doe |
繁殖開始時期(雄) |
6〜10ヶ月 |
繁殖開始時期(雌) |
4〜9ヶ月 |
性周期の期間
(発情周期) |
誘発排卵 |
妊娠期間 |
29〜35日 |
分娩 |
安産 |
分娩後発情 |
なし |
胎児数 |
4〜10 |
仔ウサギ |
kittensあるいはbunniesという |
出生時の体重 |
30〜80g |
離乳する時期 |
4〜6週齢 |
繁殖適期 |
1〜3年 |
繁殖存続期間
(商業用の場合) |
年に7〜11回子を生む |
出産頭数 |
月に2〜4 |
ミルクの組成 |
脂肪12.2% 蛋白10.4% 乳糖1.8% |
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■繁殖と飼育法 |
繁殖と飼育法は、雌が容易に立ち上がれるくらいの十分な大きさの家を作るために、厚紙の箱あるいは木製の箱を使用する。雌ウサギが、箱の中で多くの時間を過ごすことになると、仔ウサギを踏みつけてしまうかもしれないので、大きすぎてはいけない。
雌ウサギは飛び込んでも入れるようにするが、仔ウサギは飛び出せないような高い出入口を、側面に(15.24cm床から離して)切って作る。仔ウサギの目が開いたら、仔ウサギが上り下りできるくらいの高さに出入口を低くする。
巣は通常、雌が自分でむしり取った毛を並べて作られる。もし雌の毛がなければ、フランネル、テリークロスあるいは化粧紙を使う。それが汚れたら取り替える。仔ウサギのために暖かい環境を準備する。箱の一側面の下の方に保温パットを備え付ける(雌ウサギがコードに触れないようにしておく)。これは巣がウサギの毛で作られなかったときにだけ必要となる。室内飼育では、毛で作られた巣は十分暖かい。
ウサギは、子どもに1日1回しか(まれに2回)授乳しない。母ウサギは授乳している一時的な間しか、仔ウサギのそばにいない。仔ウサギが授乳されているかどうか確認するために、飼育者に1日1回調べるように助言する。
仔ウサギの目が開く(10日目)までは、必要以上に邪魔しないようにする。もし何か不審に思うときは、毎日同じ時間に1日1回仔ウサギの体重を測る。仔ウサギを触ることをためらわないようにする。
皮膚にしわが寄っていなかったり、仔ウサギが暖かく、一緒に群になっているときは、その仔ウサギは授乳されていることになる。たとえ雌ウサギが最初の1日、仔ウサギに授乳しに姿を現さなくても、飼育者に仔ウサギを離してしまわないように伝える。雌ウサギは、ゆっくり授乳を始めるかもしれない(最初の授乳は仔ウサギ誕生から24時間であることがよくある)。それから、2-3日で(誕生から4日目までに)授乳できるようになるかもしれない。
仔ウサギが最初の2日間ずっと授乳されていないならば、補助的な給餌を行わなければならない。もし何頭かの仔ウサギで皮膚にしわが現れたら、1日1回か2回、補助的な給餌を行う。授乳が終わるたびに、排尿/排便をさせるため、仔ウサギを刺激する。綿花を丸めてぬるま湯に少し浸したものを使う。あるいは指で仔ウサギのお尻をやさしくこする。眼が開いたら、ペレット、若葉、乾草を与え始める。離乳時には、盲腸便あるいは母親の糞便を粥状にしたものを加える。
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■母親のいない仔ウサギのためのミルクの配合法 |
ミルクのタイプ |
固形% |
Kcal/ml |
固形%として |
脂肪 |
炭水化物 |
蛋白 |
灰分 |
ウサギ |
31.2 |
2.06 |
49 |
32 |
6 |
6 |
ノウサギ |
32.2 |
2.01 |
46 |
31 |
5 |
- |
KMR Sub※ |
33 |
1.78 |
26 |
43 |
22 |
- |
エスビラック |
33 |
1.78 |
43 |
34 |
15 |
- |
マルチ-ミルク |
NA |
NA |
30 |
55 |
NA |
- |
※Pet-Ag
提案 : 脂肪と蛋白を増やすためにKMRあるいはエスビラックに卵黄かマルチ-ミルクを加える。また、乳酸も加える。 |
年齢による1日当たりの代用ミルクの総要求量※ |
年齢 |
KMR |
乳酸菌ミルク※※ |
新生児 |
5ml |
0.5ml |
1週齢 |
12〜15ml |
1ml |
2週齢 |
25〜27ml |
1ml |
3週齢 |
30ml |
2ml |
離乳まで |
30+ml |
2ml |
※1回の給餌で授乳しない。ボトルで2回給餌に分ける。あるいは注射筒でいくつか(望ましい量より少し少なく)に分ける。
※※仔ウサギ用代用ミルクのための市販の乳酸菌ミルク。1日に少なくとも2回給餌で授乳する。授乳量は品種の大きさによって様々である。 |
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■ウイルス性疾患 |
ウイルス |
臨床徴候 |
粘液腫ウイルス(ポックス) |
顔面浮腫、結膜炎、腫瘍、皮膚病変 |
乳頭腫ウイルス |
皮膚の乳頭腫 |
口腔内乳頭腫ウイルス |
口や舌の裏の乳頭腫 |
ロタウイルス |
下痢 |
コロナウイルス(全身性の) |
胸水、心筋症 |
コロナウイルス(腸性の) |
下痢 |
カリシウイルス |
出血、肝臓壊死 |
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■一般的に見られる臨床的疾患状態 |
胃腸内の疾患 |
・24-28時間以上の食欲不振
・下痢あるいは糞便を認めない
・骨折(肢あるいは背部)
・創傷(自己損傷、環境、あるいは他の動物から受けた傷)
・眼の傷(Pasteurellaパスツレラ属が病因として根元?)
・飛節のただれ(細菌性の二次感染による問題を管理する) |
老齢動物の状態 |
・腫瘍
・心臓病(動脈硬化症、心筋症、アテローム性動脈硬化症) |
神経学的徴候
(発作/痙攣) |
・脳炎
・エンセファリトズーン症
・内耳炎(Pasteurella sp.パスツレラ属)
・中毒(鉛)
・代謝性疾患 |
呼吸器系疾患 |
・呼吸困難
・肺炎 |
皮膚疾患 |
・重度のそう痒症:ノミ
・蝿蛆症?:キュテレブラ属(通常室外飼育のウサギに見られる) |
熱ストレス/日射病 |
・発熱 |
難産、乳腺炎 |
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ウサギの胃腸疾患に関するいくつかの原因として、
・毛球停滞
・異物
・食餌の中にある小さすぎるあらい食べ物
・盲腸内容うっ帯(Clostridium spp. クロストリジウム属)
・その他の細菌が関連した"腸性毒血症"
・細菌の二次感染を伴った重度コクシジウム感染
・歯の成長過剰/不正咬合(時々二次的にパスツレラ感染を起こす)。・食べることによる物理的損傷。 |
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■人獣共通伝染病の可能性 |
・キャンピロバクター
・Taenia taeniaeformis
・ウサギに噛まれたり引っかかれたりすることによる細菌感染
・Psorptes sp. ソロプテス属
・ネコ条虫
・皮膚糸状菌症
・Cheyletella sp.
・Sarcoptes sp. ヒゼンダニ属
・Multiceps serialis
・ツメダニ属
・ムルチセプス・セリアリス
・サルモネラ
・野兎病
・パスツレラ |