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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

ラットの飼い方と病気

性質について
食餌について
飼育について
予防看護について
早見表
繁殖について
妊娠と子育てについて
人獣共通伝染病の可能性
一般的に見られる臨床的疾患状態

『エキゾチックペット獣医学ハンドブック』
(日本ベェツ・グループ発行)
ラットの項目より一部を転載
■性質について
ラットの行動は柔順で、利口なペットである。ラットはめったに咬まない(よほど怒らせなければ)。特にホワイトラットは穏やかな気性を持つが、フードつきラットはより攻撃的で、より活発なので、その結果扱いにくいかもしれない。

ラットは通常夜行性である。ラットは社会性の齧歯類である。なぜなら彼らはケンカをしないし、雌雄両性とも1つの性のグループの中で飼育することができる。
■食餌について
ラットの食餌については、蛋白量20〜27%の市販の成獣用ラット/齧歯類ペレットを好みに従って選んで与えるべきである。成長期用、繁殖用、授乳用の特別な調合乳が入手できる。補助食あるいは"ごちそう"は、よいペレット食があるのでラットには奨められない。

一般的な種子を主体とした"小齧歯類"の飼料は、ラットの栄養要求を満たすには不十分である。ラットは用心深く食べる動物なので、見慣れないフードを避けるかもしれない。新鮮な水が常に飲めるようにすべきである。3週齢以下のラットには柔らかいペレットがよい。こどもは2週齢あたりでペレットをかじったり、水を飲み始め、3週齢で離乳する。4時間毎に哺乳瓶で人工哺乳を行うことができるが、難しい。
■飼育について
ラットの住まいは、プラスチックあるいは金属の固い床のある、脱走しないよう検査済みのワイヤーメッシュの齧歯類用の囲いが住まいとして好ましい。ラットの囲いは大きい運動用の回し車、巣あるいは巣穴の領域および食餌の領域がとれるくらい十分に大きい必要がある。成獣ラット用の最小の大きさは37〜50cm×37〜50cm×高さ12〜18cm。上部がワイヤーの網で止められたはめ込み式の15〜20ガロンの水槽が使用できるかもしれないが、掃除がしにくい。

雌雄の交配をしてから、子持ちの雌には、1頭の成獣用の大きさよりも2-4倍以上の空間が必要である(隔離された巣箱を用意すべきである)。

寝床は2〜3インチの深さがあるもので、非アレルギー誘発性でほこりがなく吸収性があり、毒性がないような材料で作るのがよい。つまり、紙を細かくしたもの、堅木のチップ、削りくず、再生新聞紙の合成物あるいはペレットがよい。寝床は少なくとも1週間に1〜2回取り替えるべきであるが、もし湿ったり汚れが蓄積したら、あるいは匂いが顕著になったらもっと頻繁に行う。巣の材料は、小さな厚紙あるいは木箱で、化粧紙、小さな帽子、古い靴下、衣服の袖を入れてもよい。

40〜70%の湿度のある65〜80?(平均72?)の室温が、ラットに適切である。12時間毎の周期で照明と暗がりを提供するのが好ましい。絶え間ない照明は、繁殖周期を抑制するかもしれない。
予防看護について
適当な管理、食餌、衛生および取り扱い。
・潜在性疾患に対して、コロニーを代表する動物の定期的な検査やスクリーニング。
・昆虫、野生の齧歯類あるいはその他の動物との接触を防ぐ。
・毎月のホームヘルスチェック(体重、歯、爪、しこりや隆起を触って調べる)を推奨する。そして毎日、餌や水の消費量、活動性や行動、糞便や尿量とその特徴を観察する。
■早見表
生理学
寿命 2〜3.5年(最高記録4年)
成獣の雄の体重 450〜520g
成獣の雌の体重 250〜300g
体表面積 10.5cm2/g
直腸/体の温度 35.9〜37.5℃
染色体二倍体数 42
食物消費量 10g/100g/日
水分消費量 10〜12ml/100g/日
胃腸管通過時間 12〜24時間
呼吸数 70〜115/分
1回換気量 0.6〜2.0ml
酸素消費量 0.68〜1.10ml/g/時間
心拍数 250〜450/分
血液量 54〜70ml/kg
血圧 84〜134/60mmHg
歯列弓/萌出時間 1/1切歯、3/3臼歯
切歯 オープンルート(長冠歯)
臼歯 独立した永久歯根(短冠歯)
解剖学的メモ 鼠蹊管が開いている

生殖
雄:Sire  雌:Dam
繁殖開始(雄) 65〜110日
繁殖開始(雌) 65〜110日
周期の長さ 4〜5日
妊娠期間 21〜23日(雌が分娩後発情で繁殖が行われた場合はこれに3〜7日加える)
分娩後発情 生殖能力あり
産子数 6〜12
出生時の体重 5〜6g
離乳年齢 21日
繁殖存続期間
(商業用)
350〜440日(7〜10匹の仔ラット)
仔ラットの生産量 4〜5/月
ミルク構成 脂肪13.0%、蛋白9.7%、乳糖3.2%

■繁殖について
・ラットは小季節性変化を持つ連続的な多発情性として分類される。
・真の発情は12時間続き、通常夕方早い時間に始まる。
・雌は出産後48時間以内に受精可能な発情期になるが、雄が新生児に迷惑をかけるかもしれないので、多くの飼育者はこれを利用しない。
・雄は通常、ちょうど分娩の期間中は離されて、雌が子どもを離乳させた後に戻される。
・いくつかの飼育法が一般的に使われている

多婚性 1頭の雄を2〜6頭の雌と一緒に住まわせる。雌は妊娠の16日目にケージから隔離しておかれる。分娩後発情は利用しない。結果としてより大きい子どもとより多くの同腹子が得られる。
単婚性 雄はちょうど分娩の期間中、あるいは出産後2〜3日間おいてから離される。分娩後発情の利用に成功したら、同腹子の数は最大になる。子どもは離乳したら、あるいは次の出産期間中離される。子どもに迷惑をかける危険は、分娩後まさに2〜3日間で通り過ぎる。
団体 1頭の雄がそれぞれの雌と1週間づつ過ごしながら、それぞれ別々のケージにいる7頭の雌の間を順番に移動していく。子育て放棄、共食いあるいは乳欠乏の危険を減らす為に、雄は子どもが生まれる期間は常に離されている。

妊娠と子育てについて
・交配後12-24時間、栓子が存在するだろう。
・雌において、交配後14日で体重増加、触診および乳腺の発達によって妊娠が検出できる。
・偽妊娠は交配がうまくいかなかったら13日間持続するかもしれない。
・雌はティッシュ、新聞紙の断片、衣類の小片あるいは木の削りくずを使ってわずかな奥行きのない巣を作る。この目的のためにトウモロコシの穂軸のくずを提供してはいけない。
・ケージを掃除し、巣を移し、そして分娩までの1週間栄養のよい餌を準備する。
・仔ラットは1週齢で目が開き、体に毛が生える。
・分娩後3〜4日間は雌と新生児を不安にさせてはいけない。
・もし分娩後発情が使われなかったら、雌は最近の仔が離乳した後2-4日で性周期を繰り返すだろう。
人畜共通伝染病の可能性
・齧歯類の鱗屑や尿に対するヒトのアレルギー。
・野生ラット集団に関連した古典的な疾患の問題
  →飼い慣らされたペット/コロニーラットでは、まれ/知られていない。
・Hymenolepis nana 小形条虫
・サルモネラ症
一般的に見られる臨床的疾患状態
・多くの臨床上の症候群がイヌやネコと類似している。
子宮蓄膿症
腎疾患
関節炎
心疾患と心不全
肝障害
・病気のマウスやラットの症候群=非特異的
物憂げな様子
粗雑な被毛
鼻や眼の周囲が茶色のかさぶたで覆われている
取り扱うときでさえ動かない
・体重減少
・敗血症
・過密状態
・栄養不良
・不正咬合
・サルモネラ症
・外部寄生虫症
・ストレス
・Hymenolepis spp. 膜様条虫属
・流涎症
・栄養不良
・熱ストレス
・ネフローゼ
・窒息死
・突然死
・貧血
・過度の興奮あるいは悪寒
・Hemobartinellosis(コロニー)
・外傷