三鷹獣医科グループでは、2013年の4月よりマルチスライス16列CTスキャンを導入いたしました。これにより高画質、低被爆の条件を満たす院内での CT検査が可能となりました。これはマルチスライス16列CTシステム「Activion™ 16」 を新たに動物用に調整し導入したものです。
この導入機は画期的な0.5mmスライス厚データ収集及び3D作成ができ、被爆低減機能などの高級機スペックを備え、骨抜き機能搭載、血管の末梢まで正確に残った状態で3D画像を作成できる東芝の新デザイン機種です。
この16列マルチスライスヘリカルCT装置によるCT検査は、動物の高度医療を提供する当院「三鷹獣医科グループ」の最先端医療に応用、X線検査、超音波検査、内視鏡検査と共に、画像診断に役立てられます。
このCT検査は、通常に行われるX線検査のように一つの方向からの撮影ではなく、体の周りをぐるりと螺旋状(ヘリカルと言う)に連続して撮影する点が大きく違います。この連続撮影は、通常のX線検査の持つ価値とは根本的に意味合いが違います。
●骨格系…腫瘍、奇形、変形、骨増殖体(過形成)、骨融解、形成不全等
●腹腔内疾患…各臓器における腫瘍、炎症病変、石灰化病変、繊維化病変等
●胸腔内疾患…各臓器における腫瘍や転移、炎症、石灰化、繊維化病変等
●頭部内疾患…鼻腔内、口腔内の腫瘍や破壊病変、鼓室胞疾患、外傷等
●骨盤腔内疾患…各臓器における腫瘍、炎症病変、石灰化病変、繊維化病変等
●脊椎疾患…椎間板ヘルニア(約90%残り10%は造影が必要)腫瘍等
頭部における脳の急性の出血に対してはMRIよりCTの方がより有効です。しかし脳や脊椎の神経系の疾患に関してはMRIが最適です。
例えば脳腫瘍はMRIが最適ですが、CTでも多くは判定可能です。ゆえにまずはCTにて出血や腫瘍の検査を行い、もし麻酔をせずに行うことができればより良い医療となるでしょう。
脊椎疾患に対して最適なのはMRI(脊髄腔内が判る)ですが、椎間板ヘルニア等では石灰化(約80-90)していればCTの単純撮影で部位の判定は可能です。石灰化していない場合は、特別な造影検査をすれば部位の判定も可能となります。
最近の最先端の画像診断では、特に麻酔なしでCTを撮影可能(MRIは麻酔が必要)にすることが有効な武器となりつつあります。たとえ麻酔をしても超短時間麻酔(5-6分前後)を目指すということです。これはCT装置の高性能化がなせる技で、特に16列以上のCTが対象となります。エキゾチック・ペットにおいても、殆ど麻酔なしで撮影できるのでフェレット、亀、ウサギ、イグアナ等で有効な診断ツールとなります。
▲イグアナ10歳の卵詰まり
例えば16列マルチスライスヘリカルCT装置は、16列の高速スピードで撮影されるため、 各々の症例すべてに対して麻酔が必要ではなくなります。鎮静剤と特殊な保定台を組み合わせてうまく使用することによって、約50%以上の症例において無麻酔で撮影が可能(米国で販売されている特殊な5種類の動物専用のX線、CT用の保定台を使用すると)となります。
▲5種類のPawsitionerによって保定が可能となります。
高速16列のCTはMRIより撮影時間が少なくすむことが無麻酔撮影できる理由です。しかし造影が必要な場合や動物の病気の種類や性格によって無麻酔で撮影できないことがあります。その場合は超短時間の麻酔(より安全が証明されている アルファキサロンAlfaxanを使用します)を使用しますので、より安全に麻酔(異なる3種類以上のモニターと同時に)を行うことができます。以下に述べる検査と組み合わせて行う検査が理想的です。
CTと同時に行う検査としては、デジタルレントゲン検査、カラードプラー超音波検査、心電図検査、内視鏡検査、腹腔鏡検査、血圧、ホルター心電図、眼底カメラ、血糖値連続測定装置等を行うことにより迅速な診断が可能となります。
また基礎データとして血液(レーザーサイト)、生化学検査、凝固系検査、血液ガス、酸塩基、尿便検査等を組み合わせて、病気の診断、治療効果の判定、早期発見、合併症の有無に役立てることも可能となります。
▲12歳の犬の突然の痙攣、発作の症例、脳腫瘍を認める
武蔵野動物CTセンターのCT検査の適応について
~全身の臓器と骨格と鼻腔内の形態を調べることに適しています~
●腹腔内や胸腔内の腫瘍の早期発見・転移の疾患の確認
●各臓器の疾患(大きさや形の確認)の疾患の確認
●鼻腔内の疾患(慢性の鼻炎、鼻出血等)の疾患の確認
●各関節、骨の疾患(股関節形成不全、骨頭壊死等)の疾患の確認
●椎間板ヘルニアの部位の疾患の確認
●骨盤及び骨盤腔内の臓器の疾患の確認
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新型マルチスライスCTシステム「Activion™ 16」を新たに動物用に調整し導入しました。これは高画質でありながら、低被爆の条件を満たします。この新デザインの東芝の「Activion™ 16」は画期的な0.5mmスライス厚データ収集及び、易しく3D作成ができ、被爆、低減機能などの高級機スペックを備えた、骨抜き機能を搭載、血管の末梢まで正確に残った状態で3D画像を作成できます。また、形状認識機能を装備していますので、骨のみを的確に削除でき最先端のアプリケーションを駆使したCT検査が動物の最先端医療の応用にますます身近なものになります。
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