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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

問1〜4

猫の飼い方と病気INDEXに戻る日本ベェツのTOPに戻る

1) 便秘ぎみで大変苦しみます。
2) 通常の3分の1ぐらいしか血液がないと言われました。
3) 難治性の下痢だと言われました。
問4) 猫の歯磨きについて質問します。

1)Q:便秘ぎみで大変苦しみます。

うちの猫は、便秘ぎみで大変苦しみます。便をするとき、とても力みます。便が出たときは、比較的大量の便がでます。動物病院に行って治療をしていますが、その都度、便をかき出すぐらいてあまりよい治療法はないとのことです。原因は大腸が大きくなって、そこに便がたまるからだと言われました。何か良い治療法はありませんか?

1)A

便秘する猫は比較的まれですが、しばしば認められます。もちろん食事がかなり関係しています。要するに繊維の多い食事を与えれば良いというのは、人間を含めて同じ原理となります。しかし猫のひどい便秘症にはそれらの食事療法だけでは、ほとんど追い付きません。またその都度に浣腸を繰り返すだけでは、その後の問題はあまり解決しません。

しかし最近これらの治療は大きく進歩しました。おそらくあなたの猫は、巨大結腸症と言われる病気でしょう。これは文字通り結腸が大きくなり、そこに便がたまってしまうのです。猫のこの結腸の機能は、水分を吸収することです。それゆえに便が出ないとどんどん水分が吸収され、便が硬くなり余計に出にくくなります。以前はなかなか良い治療法がなかったのですが、現在は内科療法にせよ外科療法にせよ、かなり効果的な治療が発見されています。

内科療法としては、腸に蠕動を起こさせる薬を使用します。しかしこの薬はだんだんと量を増やさないと効果が現れなくなるのが欠点です。この薬を比較的大量投与すると、ほとんどの症例で便が出るようになります。これらの薬は今までのどの薬よりも、内科療法として優れているようです。内科療法は手術をしなくてを良いのが利点ですが、最終的にはどんどん薬の投与量が増えていくのが欠点です。

しかし本来この病気は外科療法で直すべきものと考えられています。しかしある程度、短期的であるならば、内科療法でも十分に?治療することができます。この外科療法の方法とは?その便がたまっている部分、すなわち大腸を切除してしまう方法です。そうすることによって、そこにとどまらずに、出るようになるというものです。欠点といえば、この手術を行うとその後、数日から長いと数週間は、ほとんど便の形がなくなり、下痢のような便になるというのが欠点です。しかしこれらの下痢はいずれ時間がたてば治ります。ですからこれらの下痢に対する看護を行えば、ほとんどこれらの問題は解決します。あなたの猫も内科療法にするか?外科療法にするか?よく獣医師から説明を聞いて、ご自身で判断してください。

2)Q通常の3分の1ぐらいしか血液がないと言われました。

最近、私の猫はあまり動かなくなり、元気がなくなったので、動物病院で診察してもらったところ、通常の3分の1ぐらいしか血液がないと言われました。病名は貧血症ということでしたが、血が足らないので、少しずつ増えるようになれば元気になるかもしれないと言われました。なぜこのように貧血が起こるのでしょうか教えてください。(3歳、メス、ヒマラヤン)

2)A

病院での診察は、貧血症ということですが、貧血症というのは病気の状態を示しているのみで、これは病名ではありません。問題はなぜこの様になったかということです。貧血という状態を大きく2つに分けると、血液が作られているが貧血している場合(再生性貧血)と、血液が作られなくなった貧血(非再生性貧血)の二つに分かれます。通常動物病院ではそれらの、どちらかを鑑別します。血液が作られている貧血は(再生性貧血)、またさらに溶血性貧血(血液が中で溶け出す)のものと出血性貧血(血液がどこかに失われる)とに別れます。血液が作られない貧血においては(非再生性貧血)、最も多いのが腎臓の働きが悪くなって、血液が作られない場合が最も多いのです。その他伝染病の時とか、重度な、炎症のある場合とかいろいろあります。それらの鑑別にはちょっとした血液検査を中心に、レントゲン検査、尿検査、糞便検査等を行うと通常はわかるのです。

ですから治療は診断に基づき、その貧血もタイプによって治療法が全く違うのです。ただたんに貧血しているからといって、血液を増やすような薬を投与しても、かえってで逆効果になることさえもあります。先程に述べたように再生性貧血貧血というのがこのタイプで、これは血液が破壊されるときに病気になるのです。ですから単に貧血をがあるからといって血を増やす薬を持つとかえって状態が悪くなる場合さえもあります。猫の場合はだいたい約70%が非再生性貧血です。残りの30%が再生性の貧血です。

最近においては、貧血の治療もかなり進んでいます。最も重度な場合には、猫もやはり人間と同じように輸血が行われる場合もあります。しかしこれらの治療はかなり専門的な動物病院でないと受けられないでしょう。最近においては、血液を増やす薬として、人間用に開発された遺伝子組み換えで作られた薬、エリスロポリエチレンという薬剤が、かなり治療効果が高いといわれています。しかしながらこれらの薬はかなり高価なのが難点です。いずれにしても動物の治療といえどもやはり原因をしっかりと確かめそしてその原因に合った治療法行うことが重要です。

3)Q難治性の下痢だと言われました。

私の猫は、6歳の避妊したメス猫ですが、半年ぐらいいい前から時々便が柔らかくなります。ひどいときには、かなりの下痢の状態となります。動物病院にも何度かかかっているのですが、あまりよくなりません。その際に、難治性の下痢だと言われました。もう私の猫の下痢は治らないのでしょうか?

3)A

下痢の多くは、一時的で通常は治るのですが、まれに難治性の下痢があり非常に治りにくいうものがあります。この際に最も重要なことは、正しい診断です。あなたのような場合、その下痢に対して治療を行っても、通常は一時的なもので、あまり良くならないのです。

それは診断をせずに、治療を優先させたからです。慢性の病気は、治療をするよりも、診断が大切となります。まずあなたの場合のケースを考えてみると、どんな下痢かまず2つに分けます。それは小腸性か?大腸性か?ということです。猫の下痢の70%は小腸性です。そして残りの30%が大腸性です。小腸性の猫の下痢の特徴は、おなかにガスがたまり、おなかを押すとごろごろと音がすることです。そして長い間小腸に便がとどまっているわけですから、出た便が臭く、腐敗しているのが特徴です。一方大腸性の下痢は、何か粘液を含んでいるような便となります。また時に血が混じる、すなわち血便という特徴を持ちます。

それらの鑑別には、身体検査、血液検査、糞便検査、尿検査等が必要になりますが、なんといっても最も重要なものは、内視鏡(胃カメラ)による検査です、嘔吐が特徴であれば口から内視鏡を入れますし、下痢であれば肛門から内視鏡を入れます。そしてその際、ただたんに見るだけでなく、生検(バイオプシー)といって腸の内部からその1部を取り、病理学的に細胞を調べるのです。そのようにするとあなたの猫の下痢の正体か通常わかります。重度な炎症によるもの、すなわちリンパ球性プラズマ細胞性胃腸炎とか肉芽腫とか、腫瘍とかいろいろあります。そして診断がついたら、その治療を始めるのです。しかし多くの場合免疫の問題等がありその治療も長期間必要で、予後も警戒すべきことが多いようです。

4)Q猫の歯磨きについて質問します。

猫の歯磨きについて質問します。やはり毎日必要なのでしょうか?そしてその方法は、どのようにして行うのでしょうか

4)A

できれば、毎日同じ時間で、同じ場所で,規則的に行ってください。もし毎日できない場合は、1日おきとか、3日おきとか、または週に1回おきでも行えば、かなり違います。重要なことは、定期的に規則的に行うことです。できれば生後12週令ぐらいから行ってください。歯磨きは、ある程度小さいときから、慣らしておいた方がよいからです。その際には、あまり強く行って口の中を傷つけないように注意してください。その行う方法は、なるべく同じ場所、なおかつ同じ時間に行うのがよいでしょう。猫はそうすると、これから歯磨きが始まるのだな、と観念するからです。その歯磨きの方法は、初めは少しずつ少しずつ行うのがコツです。決して無理をせず、初めから痛い思いをしますと、イメージがとても悪くなります。

まず初めは、口を開かずに、閉じたままで、歯の前の方だけ行います。その際には、何かガーゼのようなものでもよいし、できれば猫用の歯ブラシがよいのですが、最近発売されている指につける、歯ブラシのをようなもの、でもよいのです。できれば犬猫用の歯磨き粉とか、水歯磨きをのようなものが最も良いのですが、初めは、ただ単にお水であったり、。ごくごく薄い塩水(コップに耳かき一杯)でも良いのです。

この方法で約1週間行います。次の1週間は、やはりまだ口を閉じたままですが、今度は口の前側のみならず、両側の奥も磨きます。前後左右、軽く擦つて(ゴシゴシとせず)、磨いてやれば良いわけです。時間は少し休みながら4〜5分も行えばよいでしょうで。通常はここら辺まででも、OKですが、できれば次の1週間目は、少し口を開いて手前の歯の内側もきれいにしてあげます。

非常に協力的な猫は、口を開いて、両奥も軽く歯磨きができますが、これは例外的と考えてよいでしょう。通常猫は口の内側は、自分の舌できれいにしますので、できれば歯磨きをするというぐらいで結構です。

歯の健康に関しては、歯磨き以外にも、重要なことがあります、それはある程度硬い、食事でないと、やはり歯石がどんどんついてくるのです。また重要なことは食事を、置きっぱなしにしない、ということです。歯石の付着する量は、やはり食事の回数に比例いたします。ですから1日2回とか3回とか決められたときに、あげても、もし食べないで、余った場合には、食事を、取り下げるということが良いのです。