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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

オウム科の鳥の飼い方と病気
2000/6/17作成

はじめに
食餌
住まい
二形態のオウム科の鳥の性別の例
話す能力
早見表
オウム科飼育鳥の抱卵期間
卵の重さの公式
雛鳥の一般的な臨床的疾患状態
成鳥の一般的な臨床的疾患状態
オウム科の鳥からの細菌性人獣共通伝染病の可能性

『エキゾチックペット獣医学ハンドブック』
(日本ベェツグループ発行)
オウム科の項目より一部を転載
はじめに
セキセイインコ・オカメインコおよびボタンインコの色変わり、疾患抵抗性の減少、寿命の短縮、近親交配が原因の欠陥を持つ孵化したての幼鳥が遺伝的疾患を持っていることがよくある。正常な放し飼いの鳥(例えばグレーのオカメインコ・グリーンのセキセイインコ)で見られる色は長生きをする、比較的疾患のないペット種として最もよく記述されている。雑種は奨められない。

かろうじて絶滅の危機に瀕していないオウム科の鳥のあらゆる種は、質の良い喜ばれるペットである。最もよく記述されている鳥は、よく慣れている品種や手乗りの鳥である。たくさん注目してもらうことを生き甲斐にしている。一般的に若い手乗りオウムは、新しい環境や触れられることに容易に順応する。早い時期に新しい環境に触れさせる。車での旅行・病院へ行くこと・家への複数の訪問者・別の室内飼育ペットと、オウムはこれらの出来事にうまく適応する。

ほとんどの種は、行動修正技術で容易に調教される。ほとんどのオウム科の鳥は知的で好奇心が強い。そして、自分たちの周囲にある何か新しいものを探索するだろう。

オウム科の鳥は遊び好きで、簡単なおもちゃで容易に楽しく過ごせる。おもちゃは毒性がなく、鉤状あるいは尖ったものであってはならない。家の中で自由に行き来できるようにされている鳥は、多数の物理的な危険あるいは毒物に出くわす可能性がある。安全のため翼を切ることが奨められる。換羽周期の初めから8-12週間後に追加で切りそろえることが必要となるかもしれない。
食餌
食餌については、オウム科の鳥用に特別に処方された新鮮で高品質の無農薬食が奨められる。補助食はごく少量のごちそうを制限して与えるべきである。ダークグリーンあるいはダークイエローの野菜あるいはフルーツを乱切りにしたもの。砂は特別食があれば、おそらく必要とならないだろう。

きれいで新鮮な何も混入していない水を用意すべきである(水入れ瓶を使ってみる)。餌や水の容器は1日2回取り除いたり、取り替えたりする。餌や水の皿は、糞便や尿の混入が最小になるように置くべきである。インコ類は柔らかいオートミール・果汁・特別なパウダーを含む特別に作られた食餌が必要である。
住まい
住まいは、できるだけ大きくすべきである(少なくとも鳥が翼をいっぱいに広げられるくらい、囲いの側面に触れずに羽ばたけるくらい充分な大きさ)。囲いはきれいで安全で危険のない、世話をしやすいものであるべきで、耐久性があり、毒性のない素材で組み立てられているべきである。

清潔で毒性がなく、無農薬の木の枝で作られた様々な大きさの留まり木を用意すべきである。安全な木を推薦してもらうために、地方自治体に調べてもらう。餌や水を入れる容器は、活動しやすいようにするために囲いの反対側の角に置くとよい。糞便の混入を防ぐため、餌入れの下に直接位置するように留まり木を置かない。

多くの鳥は、入浴・シャワー・霧雨を浴びる機会を時々与えると喜ぶ。安全に保護された屋外で、新鮮な空気や日光を浴びさせたり、運動させる機会を提供する。日陰が提供できるようにしておく。また、プライバシーあるいは隠れ家のための巣箱あるいは隠した箱があるととても快適に過ごせる。

次のものとの接触を避ける⇒
天井の換気扇、熱いクッキングオイル、表面に棒のついていないもの、足の鎖、紙ヤスリで覆われている留まり木、タバコ・タバコの煙、チョコレート、アボガド、塩、アルコール、有毒な室内鉢植えの草花、農薬、有毒な煙、簡単に分解できるおもちゃ、イヌ・ネコ・小さな子供、スギ、アメリカスギと圧力を受けている木のケージの止め金、鉛や亜鉛中毒のもととなるもの
二形態のオウム科の鳥の性別の例
オス メス
セキセイ
インコ
蝋膜がラベンダーからダークブルー
(グリーンバード)
蝋膜がピンクブラウンから
ライトブルー
オカメインコ ・鮮やかな黄色の顔と頬の斑点
・斑点を持たないものを除いてさえずる
・下側以外に尾と主翼羽
・単調にチュッチュッとさえずる
バタンインコ 成鳥は黒い虹彩を持つ 成鳥は赤茶色の虹彩を持つ
話す能力
(個体差があるが、普通のペット種の総合的な物まねの能力について下降順)
ヨウム、ボウシインコ、セキセイインコ、バタンインコ、オカメインコ、クサビオインコ、インコ類、ボタンインコ、コンゴウインコ
早見表
体長 体重 性成熟
年齢
最高寿命
(記録アリ)
平均寿命
(飼育鳥※)
ヨウム 33cm 400-500g 4-6年 50年 15年
ボウシインコ 10-18cm 350-500g 4-6年 80年 15年
セキセイインコ 17cm 30g 6ヶ月 18年 6年
オカメインコ 31cm 75-125g 6-12ヶ月 32年 6年
バタンインコ 30-65cm 300-1,100g 小型:1年
中型:4-6年
大型:5-6年
60年 15年
クサビオインコ 22-30cm 80-100g 1-3年 35年 10年
Eclectus Parrots 30-35cm 380-450g 3-6年 20年 8年
インコ類 15-32cm 100-300g 2-3年 15年 3年
ボタンインコ 12-17cm 38-56g 8-12ヶ月 12年 4年
コンゴウインコ 30-97cm 200-1,500g 小型:4-6年
大型:5-7年
50年 15年
※飼育鳥の平均寿命が短いのは、頻繁に誤った給餌や管理を行っていることと関連している。
オウム科飼育鳥の抱卵期間※
抱卵期間 雛鳥が殻を破って孵化する時間
ヨウム 26-28日 24-72時間
ボウシインコ 24-28日 24-48時間
Brotogeris小型インコ 22日 24-36時間
セキセイインコ 18日 12-24時間
Caiques 25日 24-48時間
オカメインコ 21日 24-48時間
バタンインコ(小型) 26-29日 24-72時間
バタンインコ(大型) 22-25日 24-72時間
クサビオインコ 23-24日 24-48時間
Eclectus Parrots 28日 24-48時間
インコ類 26-27日 24-36時間
ボタンインコ 22日 24-48時間
コンゴウインコ(小型) 24-28日 24-72時間
コンゴウインコ(中型) 23-27日 24-60時間
Parrotlets 19日 24-36時間
Pionusオウム 25-26日 24-48時間
Psittacula小型インコ 24-26日 24-48時間
クエーカー小型インコ 23日 24-48時間
※Clubb and Flammer
卵の重さの公式
雛がかえるまでの体重減少変動傾向
=[1日の平均体重減少※]×[雛が生まれるまでの総抱卵期間]/[産卵体重]
×100


※[1日の平均体重減少]=([産卵体重]―[最近の体重])/[抱卵日数]
雛鳥の一般的な臨床的疾患状態
・栄養不良
・細菌の過剰成長・感染
・そ嚢の疾患・機能不全
・カンジダ症
・外傷(親による・ケージ内の仲間による)
・ポリオーマウイルス感染
・異物の吸引(手作り食)
・収縮した爪先症候群
・そ嚢の火傷
・筋骨格の偏位
成鳥の一般的な臨床的疾患状態
全てのオウム科の鳥は、細菌性・ウイルス性・真菌性感染・クラミジア症・寄生虫・腫瘍・中毒・生殖器の機能不全を含む一般に見られる疾患状態になりやすい。多くの疾患は、栄養不良や不適当な管理をしたことに関連しており、大抵、管理を改善することにより解決する。特定の種に関連して頻繁に起こる疾患状態をいくつか選んで以下に並べた。

疾患状態
ヨウム ・嘴や爪の伸びすぎ
・卵詰まり、その他の生殖器の疾患
・毛引き症 (栄養不良・肝障害・卵管炎・卵巣嚢胞)
・呼吸器疾患
・アスペルギルス症
・肥満
・低カルシウム血症症候群
ボウシインコ ・肥満・アテローム性動脈硬化症
・呼吸器感染(アマゾン気管支炎ウイルス)
・変色した羽皮(肝障害あるいは栄養不良)
・クラミジア症
オカメインコ ・産科の問題(卵詰まり・卵関連性腹膜炎・卵黄塞栓)
・上部呼吸器感染
・毛引き症
・肝疾患:脂肪肝・肝硬変・腫瘍
・特発性神経系機能不全(特にルチノー)
オーストラリア産小型インコ ・同一種内の攻撃性
・巣立ちしたばかりの雛の壁激突
・細菌感染
・寄生虫
バタンインコ ・毛引き症・自己の足切断
・肥満・脂肪腫(特にモモイロインコ・キバタン)
セキセイインコ ・腫瘍(脂肪腫・精巣・卵巣・肝臓・腎臓)
・PBFDウイルス(急性・慢性)
・行動異常、特につがいに対する攻撃性
・クロアカの脱出(特発性)
ボタンインコ ・毛皮の異常・PBFD
・攻撃性
・ボタンインコの水痘症
・産科の疾患
クサビオインコ ・Pacheco'sウイルスのキャリアー
・問題行動(重度の毛引き症・鳴く・共食い)
・毛皮や皮膚の疾患
・損傷
コンゴウインコ ・前胃の拡張症(PDD)
・繁殖障害
・毛引き症・足の切断
・口腔内やクロアカの乳頭腫症
・薬の過敏症(ドキシサイクリン・トリメトプリム・ガス麻酔薬)
Eclectus Parrots ・ビタミンA不足症
・毛引き症
・PBFDウイルス・ポリオーマウイルス
・雌の攻撃性・雄の従順性
ナナクサインコ ・毛引き症・PBFD
・攻撃性
・足の皮膚炎(重度になることがよくある)
・運動性の原生動物(致命的な腸疾患)
グレーの頬の小型インコとその他のBrotogeris sp. ・マイコバクテリア症
・損傷
・クラミジア症
・治療に反応しない毛引き症
インコ類 ・肝障害
・真菌感染
・細菌感染
・寄生虫
オウム科の鳥からの細菌性人獣共通伝染病の可能性
名前 解説
Campylobacter
キャンピロバクター属(未確認)
C. laridisがあり得る
(子供に下痢を起こさせる)
E. coli
大腸菌
あり得る
予防法:よい衛生
Erysipelothrix
エリジペロトリックス属
持続性の皮膚炎
感染鳥との接触を避ける
Listeria
リステリア属
鳥から感染すると結膜炎になる
Mycobacterium
マイコバクテリウム属
あり得る
免疫抑制されたヒト
Pseudomonas
シュードモナス属
あり得る
予防法:よい衛生
Vibrio
ビブリオ属
軽度の腸炎
Yersinia pseudotuberculosis
エルシニア・シュードツベルクローシス
よく起こりうる
伝播が記録されている