■「犬猫の肥満症について」ダイジェスト |
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■食べ過ぎるから肥満する |
肥満とは、体内の脂肪組織が過剰になることで、「肥満症」というくらいですから病気です。 肥満症は犬の栄養上の病気のなかで最も多いもので、日本でも30〜40%の犬が肥満していると言えるでしょう。一般にオスよりメスに多く、高齢になるほどよく見られるのが特徴です。
しかし、約3分の1の飼い主は、愛犬の肥満に気づいていないようです。肥満が病気であると考えれば、これは問題です。肥満の原因としては、食べ過ぎ、運動 不足、甲状腺異常などの病気が考えられます。しかし、原因の95%以上は、必要量を超えたエネルギーを摂取していること、すなわち食べ過ぎです。肥満の原 因については「1に食事、2に食事、3に運動、4がなくて5に病気」と言えるでしょう。
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■なぜ食べ過ぎるか? |
肥満とは、体内の脂肪組織が過剰になることで、「肥満症」というくらいですから病気です。 肥満症は犬の栄養上の病気のなかで最も多いもので、日本でも30〜40%の犬が肥満していると言えるでしょう。一般にオスよりメスに多く、高齢になるほどよく見られるのが特徴です。
しかし、約3分の1の飼い主は、愛犬の肥満に気づいていないようです。肥満が病気であると考えれば、これは問題です。肥満の原因としては、食べ過ぎ、運動 不足、甲状腺異常などの病気が考えられます。しかし、原因の95%以上は、必要量を超えたエネルギーを摂取していること、すなわち食べ過ぎです。肥満の原 因については「1に食事、2に食事、3に運動、4がなくて5に病気」と言えるでしょう。
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■食べ過ぎないしつけを |
犬を肥満させないためには、しつけが大切です。 最近、「アルファーシンドローム」という言葉がよく聞かれるようになりました。これは犬が飼い主の命令に従おうとせず、自分をリーダーと思い込み、いろいろと問題行動を起こすことを言います。もともと犬は群れをつくり、群れのリーダーに従って行動する動物です。野生の時代には群れのなかの1頭がリーダーに なりましたが、家庭にあっては飼い主がリーダーにならなくてはいけません。決して犬をリーダーにしてはいけないのです。たとえば、散歩から帰ってきたとき でも、犬を先に家のなかに入れるのではなく、最初に飼い主が入り、犬は一番最後に入れるようにします。そのようにして、リーダーが誰であるかを教えるのです。
食事についても、飼い主が主導権を握るべきです。ところが、犬が飼い主の食べているものをほしがったり、決まった時間以外に食べ物をほしがると、つい与えてしまう飼い主が少なくありません。そのように犬がほしがる食べ物を何でも与えれば、犬は肥満しますし、飼い主をリーダーとは認めなくなります。
そういうことにならないためには、飼い主がリーダーの役目をしっかり果たさなければなりません。飼い主がリーダーとして、食事や散歩などのときにしつけをきちんとすることが大切なのです。
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■肥満しやすい犬種もある |
肥満の原因の大半は食べ過ぎです。しかし、特に 肥満しやすい犬種もあります。たとえば、ダックスフント、コッカー・スパニエル、バセット・ハウンド、チワワ、ポメラニアン、イングリッシュ・ブルドッグ などが知られています。これらの犬種は遺伝的に肥満しやすい素因をもっています。したがって、これらの犬種の飼い主は特に愛犬の食べ過ぎに注意し、日頃の体重管理を怠らないようにしましょう。
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■肥満は病気の引き金になる |
人間の場合と同じように、犬の肥満 もあらゆる病気の引き金になります。特に動物においては、心臓、骨・関節、呼吸器系の病気になりやすいのが特徴です。太っていれば、心臓は全身に血液を供 給するために、余分に働かなければならず、それだけ疲れてしまいます。当然、呼吸の回数も多くなり、呼吸器の病気も起こりやすくなります。
また、骨や関節 に負担がかかります。さらに、動作が鈍くなるので、いろいろな事故に遭うリスクが高くなります。 その他、肥満を原因とする障害はたくさんあります。何事においても耐久力が低下し、特に暑い時期には抵抗力も弱くなります。犬の成人病、すなわち成犬病の 1つである糖尿病にもかかりやすくなります。ほかに、皮膚病、感染症、便秘、消化器系の病気も起こりやすくなります。麻酔をかける際も危険度が増します。 もちろん、手術もやりにくくなります。
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■肥満予防は幼犬、幼猫から |
犬猫を肥満にさせないために、最も重要なことは幼令のときから余分な食事を与えないことです。すなわち、太らせないことです。小さいときに食事を与えすぎると、脂肪細胞が大きくなり、この 細胞は一定以上大きくなると、なかなか元に戻すことができません。成犬成猫になってから特別に食べ過ぎをしなくても、1度大きくなった脂肪細胞は小さくならないのです。ですから、幼令時のときに脂肪細胞を大きくしないことが大切なのです。
成長期を過ぎた犬猫が食べ過ぎのために一時的に太っても、きちんと食事制限をすれば、比較的簡単に体重を元に戻すことはできます。しかし、成長期に食べ過ぎて肥満になると、成犬になってから減量させるのは非常にむずかしいということです。
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■避妊・去勢手術をすると肥満するか? |
避妊や去勢の手術をすると、その後 に動物は太るとよく言われます。確かに、統計的には手術後に肥満する犬猫はたくさんいます。しかし、医学的には、手術が肥満の原因になるとは言えません。 ではなぜ、手術後に肥満する犬がいるのでしょうか。まず、前述のように、避妊や去勢の手術をすると性欲がなります。行動欲はあまり変わらず、手術前と同じ ように運動していれば満たされるでしょうから、残るは食欲ということになります。つまり関心が食欲に集中し、食べ過ぎが起こるのです。
手術後の肥満を防ぐには、手術前より20%程少ない量の食事を与えるのがよいでしょう。もし、手術後に犬猫が太りだしたら、手術のせいだから仕方がないと考えるのではなく、食事の量が多いのだと判断し、量を減らすようにしてください。
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■体重測定で肥満を管理 |
肥満を防ぐには体重測定も大事です。少なくとも 1カ月に1度は、体重を測定しましょう。肉眼で見ているだけでは、小型犬や猫では0.5キログラム、大型犬では1キログラムくらい太っても、飼い主が全 然気づかないこともあります。飼い主が気づかないうちに、肥満犬猫にしないようにしましょう。肥満の程度が少ないほど、減量は容易な のですから、早めに気づくことが大切です。
それには定期的に体重測定をし、標準体重よりオーバーしていれば、食事の量を調節して、体重を元に戻すようにする必要があります。
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■肥満治療の原則 |
動物病院で肥満を治療するときは、稟告を中心に いろいろな要因を指摘し、次に身体検査をして、肥満の原因を探り出します。もし過食による肥満と判定されたら、理想体重を設定します。雑種以外では、それぞれの犬種のオスとメスの理想体重が決まっています。理想体重が設定されていない場合は、その犬猫の1歳のときの正常な体重を理想体重とするのが一般的で す。そして、その理想体重をだいたい15〜20%超えた場合が肥満症と呼ばれます。
理想体重を設定したら、体重1キロ当たりの必要カロリー量を設定します。動物病院には肥満動物用の特別なダイエット食があり、与える量や回数には細かいルールがあります。そのルールはドクターが指示しますから、それを守ればよいわけです。
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■治療の問題点 |
肥満の治療にはなかなか難しい問題もあります。 動物は胃が一杯になってはじめて満腹を感じます。ですから、体重1キロあたりの必要カロリー量を設定しても、量が少なくて満腹を感じなければ、動物はさらに食事 を欲しがります。
このようなとき、飼い主がつい食事を与えてしまうことがあります。しかし、愛犬猫に満腹するまで食べさせてあげたいという気持ちはわかりますが、それでは減量させることはできません。この場合、動物をある程度満足させ、しかもカロリーオーバーにならない方法を考える必要があります。それには、量が多くてカロ リーの少ない食べ物を与えることです。
この条件に当てはまる食べ物は野菜です。野菜をたくさん入れた食事を与えれば、犬猫は胃が一杯になりますから満足し、しかもカロリーは増えません。犬猫はビタ ミンCを体内でつくられるので、特別な事情がない限り、本来野菜を与える必要はありませんが、この場合は食事の量を増加させる目的で与えます。
もし愛犬猫が食事量に満足しないようなら、野菜をたくさん与えるとよいでしょう。ただし、ネギ、タマネギ類は与えないでください。野菜などを入れた食事を作る暇のない人は、動物病院で処方する「肥満用の特別療法食」を利用するとよいでしょう。
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■肥満治療は家族が協力して |
犬猫の減量を成功させるために重要なのは、家族全 員が減量の意味を理解して、協力することです。1人でも協力しない人がいると、減量のプログラムは成功しません。愛犬が肥満してしまったとき、まず家族全 員で会議を開き、肥満を解消するための減量プログラムについて話し合います。
このプログラムでは、まず理想体重を設定します。そして、たとえば愛犬でたとえれば理想体重が15キロで、実際の体重が20キロだったとします。この場合、与える食事の量を 次のように計算します。理想体重15キロの約50〜60%の体重、すなわち7〜8キロの体重に相当する量の食事を与えるのです。市販のフードには、体重当 たりの食事量が目安として示されていますので、それを基準に計算します。この場合も、犬が量的に満足しないようなら、野菜を加えてください。そして、毎日 あるいは2〜3日おきに体重を測定し、グラフに記録します。通常は、理想体重の約半分のカロリーを与えた場合、8〜10週間で理想体重になるはずです。
ところで、人間の減量プログラムも、多くは食事と運動を組み合わせています。実際には、減量のための運動は、目に見えた効果がなかなか上がらず、むずかしいものです。しかし、運動にはカロリー消費効果があるのは事実ですから、運動の機会を増やすように心がけることは大事です。
肥満だからと言って、ただ単に絶食することはいろいろ問題となることがあります。特に3日間以上の絶食がそうです。犬の場合は獣医師と相談してください。但し猫の場合は絶食はしないほうが無難です。特に3日間以上の絶食は禁忌となります。猫は食べないと脂肪肝になりやすい状態になるからです。 犬猫の減量を成功させるために、家族が協力することはいろいろあります。まず、家族の食事をつくるときや、食事をしているとき、犬猫を部屋の外に出すことです。食べ物を見れば欲しがり、おねだりされると家族もつい与えてしまいます。けれども、家族全員で決めた食事以外は、絶対に与えないことが大切です。肥満で苦しめるよりも、食事を我慢させる方が結局は犬猫のためなのです。複数の犬猫を飼っている場合は、肥満している犬猫はほかの犬猫と離して食事を与えると よいでしょう。どうしても家庭で減量できない場合は、動物病院での入院をお勧めします。動物病院では、獣医師が綿密な計画を立て、動物の減量に取り組みます。しかし、長期の入院が必要となるでしょう。
また、動物病院での減量に成功しても、家に帰ってから再び犬猫が太ることがあります。やはり、犬猫を減量させるには、最終的に家族の協力が不可欠であることを忘れないでください。どうぞお大事になさってください。
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