http://www.pet-hospital.org/ |
all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA |
《 犬猫に与えては良くない食べ物(食べた物) 》
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人間には食べても良いが、犬猫に与えると健康を損ねる食べ物があります。 特に人間の健康食品で、α-リポ酸(チオクト酸)やシナモン製剤やニンニク等のものは、量にもよりますが、犬猫では食べた場合に害を 及ぼすこともあるので、注意が必要です。 参考(中毒について):http://www.pet-hospital.org/dog-005.htm |
■ ネギ・タマネギ類 |
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ネギ・タマネギ、ニンニク、ケール、ニラ等を食べると中毒になる犬がいます。もちろんその食べた量によっても症状の度合いはいろいろです。個体差もあります。犬の体重1キロ当たり15〜20グラムのタマネギの量で中毒を起こすとされていますが、症状がまったく出ない犬や、これ以下の量でも症状を出す犬もいます。タマネギの成分である、アリルプロピルジスフィドが溶血性貧血を起こす原因となります。貧血と血尿(ヘモグロビン尿)が主たる症状となりますが、それに伴い頻脈、呼吸困難、衰弱、粘膜蒼白となり、嘔吐や下痢が認められる場合もあります。
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■ チョコレートとカフェイン |
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これらを犬猫に大量に与えるとテオブロミンと言う成分が犬猫では身体から排泄されずに留まり、これが中枢神経に働き、心臓毒となり、興奮、頻脈、不安、あえぎ呼吸、嘔吐、下痢、痙攣、失神、呼吸困難を起こすことがあります。俗に「チョコレート中毒」と呼ばれますが、カカオやコーヒー、紅茶、コーラなどもこれらが含まれています。特に色の濃くて、糖分や乳製品分が少なく苦味の多いチョコレートがテオブロミンが多く危険なものです。それにたいしてミルクチョコレートやホワイトチョコレートは糖分や乳製品分の量が多く、その分テオブロミン量は少ないものです。テオブロミンとカフェインの致死量(LD50)は100〜200mg/kgと幅広いのですが、大体20mg/kgで症状が出るようである。
治療:吐かせることが有効で5時間後でも効果がある可能性がある。薄い食塩水を飲ませて(より吐きやすくなる)から、噛まれなければ、舌の根元の部分を刺激する(指やボールペンの後部の先の丸い部分にて)と吐くことがあります。活性炭や下剤も有効である。病院では状態によって胃洗浄を行うこともある。有効な治療はありませんが、輸液や安定剤等の通常の治療を行う。 ※院長ブログ掲載記事「犬のチョコレート中毒に御注意!!」 もご覧下さい。 チョコレート中毒の疑いがある場合の注意点や対処法が書かれています。是非、お読みください。 |
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■ 有毒な植物 |
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猫がユリ科の植物を食べたら、腎障害が起こります。その他、アサ、アサガオ、ウルシ、キキョウ、ザクロ、ジャガイモ、スイセン、スズラン、ソテツ、タバコ、ツタ、トリカブト、ヒアシンス、ヒガンバナ、フジ、ポインセチア ホウセンカ、ボタン、モクレン、ランタナ、ワラビ等が代表的なものですがその他のいろいろな植物が有害な作用を持ちます。まれに犬もこれらを食べることもあります。 治療:眼や皮膚への接触によれば、よく洗う。食べたことがすぐに判れば、口を洗い ます。1時間以内であれば、吐かせることが有効です。噛まれなければ、舌の根元の 部分を刺激する(指やボールペンの後部の先の丸い部分にて)と吐くことがあります。 薄い食塩水を飲ませるとより吐きやすくなります。特異的な治療法はないのですが、 病院では2〜4時間以内であれば、症状によって胃洗浄(麻酔が必要)を行います。ま た下剤の投与も有効です。おのおの症状によって、輸液等の定められた治療を行う。 |
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■ 鳥の骨等 |
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鳥の骨は斜めに裂けやすいので、食道に穿孔(穴があく)を起こしやすくなりま す。骨自体は胃内であれば、その酸で溶けてしまいますが、問題は食道に途中で留まった場合です。また大きな魚の骨も穿孔の危険があります。 治療:穿孔があれば早めの外科手術が必要、大きな骨でも、胃内にあれば消化吸収すると考える。その際制酸剤を投与しないこと、胃酸が出なくなるので、消化吸収を阻害するので注意。問題は食道に詰まった時で、内視鏡で取り出すか、無理なら胃内に押し入れる。しかし食道に損傷がどれだけ残るかが問題となる。 |
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■ ヒキガエル |
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故意であれ偶然であれ口に入れた場合によく起こる。ヒキガエルの耳下腺(耳の鼓膜の盛り上がっているところ)からは、強力な毒素が分泌されます。この部分を犬が嘗めたりくわえたりすると、毒素が口の粘膜から吸収されます。傷のある部分からの接触によって、も毒が吸収され起こることがあります。主に犬で起こり、毒物の作用は血管内凝固、昇圧作用、強心作用等いろいろで、症状は流涎(局所の炎症のため)が主であるが、頭を振って、前足で口をぬぐう動作をすることが多い。重篤な場合は痙攣、呼吸困難等が起こり暴露後30〜60分で死亡する。たかがヒキガエルを舐めたとか噛んだぐらいでと侮ると危険である。犬がヒキガエルと遊んでくわえているところを見たら、すぐにカエルを引き離し、犬の口のなかを水で十分に洗うことが重要です。そして、すぐ動物病院へ連れていきましょう。 治療:大量の水で口を洗う。輸液、アトロピン(流涎のため、解毒作用はない)重度な場合は麻酔をして、気管チューブ(カフ付)を入れ口腔内を完全に洗浄する。その他、活性炭の投与や下剤を使用できる。 |
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■ 不凍液 |
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我国では不凍液を自身で交換することはあまりないので、この事故はあまりないのですが、今後はありうることと思います。不凍液は特に犬猫が好んで呑みたがるようで、重篤な腎障障害を惹き起こし多くの場合死亡しますので、絶対に飲ませてはなりません。不凍液の置き場所の管理には注意が必要です。診断には腎臓の超音波検査が有効です。 治療;治療の中心はまず静脈を確保して輸液療法を始めることから始めます。あらゆる手段を用いて腎不全に陥らないように治療しますが、摂取した量にもよりますが、多くの犬が死亡の転帰となります。 |
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■ ブドウ・レーズン類 |
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これは最近に判明したことですが、大量に食べた場合には、腎臓の障害が起こり最悪死亡することが判りました。但し現在の所詳しい原因は特定されていません。 5kgの犬が100g程を摂取すると起こることが確認されています。症状は食べた後の2〜3時間以内に嘔吐や下痢などの消化器症状が現れ、その3〜5日後には腎不全となります。また此の事実はあまり知られていないので、注意が必要です。 治療:すぐであれば口を洗います。1時間以内であれば、吐かせることが有効です。噛まれなければ、舌の根元の部分を刺激する(指やボールペンの後部の先の丸い部分にて)と吐くことがあります。薄い食塩水を飲ませるとより吐きやすくなります。特 定な治療はまだ不明のようで、輸液等の中毒の一般的な治療を行います。 |
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■ 生卵の白身 |
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白身の成分であるアビジンが、ビタミンB群のビオチンの吸収を妨げるために、生の白身を特に長期間与えていると、ビタミンのバランスが崩れることがあります。生の白身はそのまま排出されるだけで、栄養になりません、胃に負担がかかるだけです。故に生の卵の場合は、黄身のみ与えますが、長期間ではサルモネラの問題もあり、できれば加熱(白身も加熱すれば問題起こりません)することを御勧めします。 治療:ビタミンB群を中心にした栄養療法を行います。 |
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■ 香辛料 |
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わさび、コショウ、唐辛子類は、犬猫には本来必要がありません。ほんの少量なら問題はないようですが、少しでも多すぎると嘔吐は始めとする胃腸障害を起こします。治療:半日から1日絶食して胃を休ませます。その間は輸液療法を行います。 |
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■ 植物の大きな種 |
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桃の種などは、自然のものだから消化すると思うかしれませんが、これらの種は、消化吸収はしません。胃腸管にいつまでも残り、ある場合には閉塞の原因になる場合がありますので、与えてはなりません。そのまま排出してくれる場合は良いのですが、途中で詰まれば症状がでます。 治療:ますは吐かせることを心がけます。噛まれなければ、舌の根元の部分を刺激する(指やボールペンの後部の先の丸い部分にて)と吐くことがあります。薄い食塩水を飲ませるとより吐きやすくなります。病院では部位にもよりますが、多くの場合は内視鏡にて取り出すことができるでしょう。 |
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■ イカ・スルメ類 |
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これらの生の内臓には、ビタミンB1が破壊される酵素が含まれていて、もし猫が大量に取ればビタミンB1欠乏症を引き起こす可能性があります。加熱処理をすればビタミンB1の破壊は起こりません。これはよく猫がイカを食べると腰を抜かすと言われたことがありましたが、これらはビタミンB1の不足によって起こる神経麻痺の1つです。 治療:ビタミンB1の補給を中心にした栄養療法を行います。 |
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■ アワビやサザエ類 |
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これは特に猫が食べて日光に当たるとその部分に痒みと痛みによって、皮膚が爛れたりする皮膚病となります。足先や耳介部(耳の先の部分)が特に侵されやすい(日光に当たりやすい部分)ようでが、日光に暴露された部分はすぐに発症します。これはアワビによって食べられた海草によって起こるのではないかと疑われていまが、この「アワビ中毒」(ピロフェオホルビド中毒)はアワビの内臓(肝臓と消化器)の摂取によって起こるようです。 治療;特別な治療はありませんが、皮膚の炎症を押さえるための治療を行います。しかし、すぐであれば口を洗います。1時間以内であれば、吐かせることが有効です。噛まれなければ、舌の根元の部分を刺激する(指やボールペンの後部の先の丸い部分にて)と吐くことがあります。薄い食塩水を飲ませるとより吐きやすくなります。 |
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■ 塩分 |
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大量の塩分は犬猫に危険です。犬が海水浴にて、大量の海水を飲んだ場合、いつも飼い主が食事に嗜好性のため、塩分を加えていた場合、また粘土の玩具には塩分が含まれているものもあるので、注意が必要です。まれにアジソン病のPercortenの治療後にもい起こる場合があります。いわゆる高ナトリウム血症(通常は脱水が原因で起こるが、塩分の過多の場合は、脱水がない)が起こることがあります。ナトリウムが170mg/dl 以上の場合は治療はたいへんむずかしいものです。急にナトリウムを下げられないからです。 いわゆる塩気による味付けですが、犬猫の場合は、食べ物の嗜好性にはなりません。犬猫の嗜好性は主には蛋白質及び脂肪の含有量で決まります。塩分は人間の約1/3ですみます。汗を掻かない犬猫は塩分をあまり必要としません。多すぎると心臓や腎臓の障害の原因となります。 治療:余分な塩分の投与を中止します。心臓や腎臓の定期的な健診を行います。 |
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■ 甘味 |
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これも嗜好性とはなりません。余分な糖質はカロリーの過剰となり、肥満の原因となり、体重の増加となり、いろいろな病気の引き金となります。 治療:体重のコントロールを行います。年齢にあった肥満のための定期的な健診が必要でしょう。 |
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■ 生の豚肉 |
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豚肉は犬猫に投与する場合も、必ず加熱する必要があります。特に猫はトキソプラズマの関係があり注意が必要です。生の豚肉からトキソプラズマが猫の体内に入ると、糞便から排出され、人間に感染する場合があります。 治療:トキソプラズマの存在が確認すれば治療を開始しますが、人と動物の共通感染症のため、いろいろな注意点がありますので、それを理解した上で行う必要があるでしょう。 |
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■ 生の川魚 |
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サケ等の川魚を生で焼かないで食べた場合も、中毒を起こすことが知られています。俗に、「鮭中毒」と呼ばれますが、犬と一緒に川釣りに出かけた際には、十分に気を付ける必要があります。その症状には、嘔吐、下痢、発熱、衰弱、リンパ節腫大等でかなり致死的な状態となります。しかし猫の場合は、これらの生の川魚を食べても何も起こらないようです。もし食べて何も治療をしない場合は、通常は2週間以内に死亡します。診断は食べた事実によって行いますが、不明の場合は、リンパ節の細胞診によってリケッチア性の微生物の検出や糞便の寄生虫の検出を参考にします。 治療:抗生物質と駆虫が中心ですが、中毒の一般的な治療(脱水のある場合は輸液)も行います。すぐであれば口を洗います。1時間以内であれば、吐かせることが有効です。噛まれなければ、舌の根元の部分を刺激する(指やボールペンの後部の先の丸い部分にて)と吐くことがあります。薄い食塩水を飲ませるとより吐きやすくなります。 |
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■ 大量のビタミン剤 |
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とくに脂溶性のビタミン(ビタミンA、D、E、K等)は身体に蓄積するので、多く与えるとビタミン過剰症となります。ビタミンAは、猫において骨(特に頸部)に症状が発現します。これはビタミン剤でなくても、例えば肝臓(レバー)を長期間大量に与えていた場合も同じことです。ビタミンDも骨に影響がでます。骨が硬化してくるのです。また鉄を多く含むビタミン剤の場合はその鉄の含有量にも注意すべきである。 治療:すぐに多すぎるビタミンの投与を中止します。鉄の過剰(血清鉄濃度350μg/dl以上)は、キレート剤にて治しす します。 |
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■ カルシュウム |
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一昔前までは、大型犬にはカルシュウムが必要と言うことで、大きな犬には盲目的にカルシュウム剤を与えていた場合もあったようですが、現代の獣医学はこれを完全に否定しています。プレミアム・フードにはカルシュウムが十分含まれていています。過去には、余分なカルシュウムを投与されたために、骨の代謝が異常となり、股関節形成不全を始めとする、多くの骨の病気に苦しむ犬が報告されました。 治療:カルシュウムの投与を中止することから始めます。獣医師が本当にカルシュウムが必要と判断した時(血清のカルシュウム濃度の測定が必要)にのみにカルシュウムを与えます。 |
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■ キシリトール中毒 |
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キシリトールは人工甘味料であり、人間には比較的に安全と言われていますが、犬猫には少量でも毒性があります。キシリトールは、現在、米国、カナダ、EU諸国など38カ国において、添加物としての使用が認められていいます。これらが含まれる商品には、以下の4つが指摘されています。 |
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■ α-リポ酸(チオクト酸)(alpha-lipoic acid )ALA |
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人間用の健康食品においても、犬猫には危険なものもあります。大量のビタミン剤もそうですが、食品と同じ扱いの人間用のサプリメント、α-リポ酸(チオクト酸と呼ばれる脂肪酸の一種)を含む製剤において、猫の中毒が発生し日本及び米国等で、注意の警告がでています。 |