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all words by Dr.NORIHIRO KOMIYAMA

カエルの飼い方と病気


食餌について
住まいについて
飼育上の重要点
一般的な臨床的疾患状態
人獣共通伝染病の可能性


■食餌について
カエルの食事については、ほとんどの陸上のカエルは食虫性である。すなわちショウジョウバエ、コオロギ、ミルワームを食べる。大型のヒキガエルはマウスやラットの子どもを食べることができる。水生のカエルは昆虫、ミミズ、魚、ザリガニ、ミルワーム、 あるいは市販で用意されている餌を水の中で給餌する。
■住まいについて
温帯性のカエル:20-25℃
熱帯性のカエル:25-30℃

空気と水の環境温度の両方ともモニターすると良い。また空気の湿度をモニターすることも良いことである。水中ヒーターが水を温めるのに適している。爬虫類用の腹側と側面の水槽式ヒーターが"陸地"部分でうまく働く。日光やヒートランプは避ける、なぜなら、湿度を下げてカエルを乾燥させるかもしれない。紫外線のランプは、タイマー付きを使用し、非繁殖周期には14時間照明して、10時間暗くする。

水生のカエル、および幼弱の品種は塩素を抜いた水で育てる。水の最適pHは普通6.5-8.5であるが、品種や成長の段階により様々である。水質や、清潔さを保つことが重要である。標準的な魚の濾過装置は"鰓(えら)のある"両生類にのみ適している。その他の全てのものは、毎日全部の水を交換する必要がある。底から、微粒子、糞、残骸を吸い上げる。

頭数が多くなってきたら、水の交換回数を増やす(沢山の排泄物や食べられていない餌があるから)。両生類のタンクを掃除する間、人獣共通伝染病にさらされるのを防ぐために、常に手袋や顔を保護するものを身につける習慣を身に付ける。
■飼育上の重要点
・寄生虫動物病院にて適切な診断的検査を行うこと(血液検査、レントゲン検査、および洗浄液)でスクリーニングする。
・適切な管理を行うこと(適切な住まい、栄養、照明、温度、湿度)。
・いろいろなカエルを混合して飼育するのを避ける。
・全てのカエルは粘液を分泌するので、すべってつかみにくい。乱暴な取り扱いをしたり、乾燥させたりすると、上皮がすり剥がれることがある。これは感染性病原体の入り口となりうる。
・細かい編み目のネットが、水槽から個体を運び出すのに使うことができる。
・歩き回るカエルに対して、小さなプラスチック容器にてその中に押し込めて捕獲すると良い。
・湿らしたペーパータオルあるいは滑らかな(リネンタイプ)布巾が、ゆるやかにカエル包むのに役に立つ。
・皮膚は、水、気体、電解質液、および両極のイオン化した金属に透過(浸透)性である。全身への投薬は浸すことで投与できる(最も透過性のある皮膚で行うのが一番よい)。
・皮膚は透過(浸透)性があるので、カエルは水の毒素、pHの変化、脱水にとても影響を受けやすい。
・呼吸は、皮膚、口腔、鰓、肺を通して行われる。
・皮膚呼吸に依存していて肺を持たない形態がある。
・皮膚には毒素を分泌する腺がある。それらは全身から分泌したり、眼の後ろの耳下腺からも分泌したりする。
・カエルはカモフラージュのために皮膚の色素形成を変化させることができる。
・陸生のカエルは尿素を排出する。
・水生のカエルはアンモニアを排出する。
・最適とされている温度範囲よりも低い温度(0-20℃)では、免疫抑制が起こるかもしれないのだが、高温度では免疫反応が高まるかもしれない。
・周囲の環境は自然の設定にまねて変化させる必要がある。
・繁殖をさせるために環境を変化させる=降雨、霧雨、冷やす、暖める、餌をなくす、餌を過剰に与える、日中や夜の長さを変化させる。
・照明周期は繁殖の状態で変化させるとよい。
・人獣共通伝染病を防ぐために、取り扱った後は手をよく洗う。
■一般的な臨床的疾患状態
病気の動物を全て隔離し、取り扱いを最小限にする。

栄養性
中毒性 塩素・アンモニア・鉛・消毒液・農薬
真菌性の感染
ウイルス性 リュッケ腫瘍性ヘルペスウイルス、オタマジャクシ水腫ウイルス
腫瘍性 リュッケ腫瘍性ヘルペスウイルス、腎臓の腺癌
角膜の病理 脂質角膜症・水腫・その他の角膜症

■人獣共通伝染病の可能性
・Mycobacterium sp.(マイコバクテリウム属)
・Basidobolus ranarum (バジジオボルス)
・Aeromonas sp.(アエロモナス属)
・Yersinia enterocolitica(エルシニア・エンテロコリチカ)
・Listeria monocytogenes (リステリア・モノサイトゲネス)
・Chlamydia psittaci?(オウム病クラミジア)

・Gnathostoma spinigerum
・トリパノソーマ症
・レプトスピラ
・有棘顎口虫
・狐虫症
エキゾチック獣医学ハンドブック(日本ベェツグループ発行)より一部抜粋