■性質について |
ハリネズミの行動は夜行性であり、従って夕方に活動的である。もし家の中で走らせておくと、ハリネズミは角あるいは家具の下へ隠れる傾向がある。
ほとんどのハリネズミは、カーペットあるいは、近づくことができるなら室内に置いてある鉢植えや汚物を掘り進み、室内にいるクモや昆虫を食糧としてあさるだろう。ほとんどのハリネズミは静かな環境を好み、大きな音におびえた反応を示すかもしれない。ハリネズミは明るい日光やルームライトよりも、薄暗い明かりの方を好む。
ハリネズミは商業目的で繁殖されているが、ハリネズミの行動は、飼い慣らされていない動物の行動と同じである。若いハリネズミは、掴まれることを気にしないが、ほとんどの成獣は触られるのに対して抵抗し、逃げようとしてもがく。
成獣の雌は、成獣の雄よりも掴まれることを許容する傾向がある。多くの個体はヒトとの意志疎通はなく、これはハリネズミが若いときにどれくらい多く触られたかは問題ではない。ハリネズミはほとんど咬まないが、"ふくれる"ことがよくある、また成獣の雄はシューという音をたてるかもしてない。ハリネズミは交配の間を除いて単生の動物である。そして通常、同性の同腹子を育てているときでさえ、別々に飼育しなければならない。ハリネズミの求愛行動は、騒々しくて長くなることがよくある。
ある状況下で、何か新しいものと遭遇したとき、ハリネズミはそれを"あじわい"、それから唾液の分泌が亢進し、泡を出し始め、自分自身に唾を吐きかけることがよくある。この過程は"アンチング(蟻浴)"あるいは"塗油"と呼ばれる。ほとんどの飼い主は、直ちに洗い落とす、あるいはその物質を取り除くためにハリネズミを水で洗うだろう。
冬眠中の子どもの死亡率が80%にも達するため、自由に歩き回っているヨーロピアン・ハリネズミの平均寿命は低い。交通事故あるいは農薬による死は、老齢あるいは疾患によるものよりもよくある。
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■食餌について |
自由に歩き回るハリネズミの食餌は、食虫動物/雑食動物である。捕獲された動物の食餌は、適度に高蛋白、低脂肪であるべきであり、従来動物園の処方書に基づいてきた(下記の食餌の選択を参照)。ネコあるいはイヌの餌だけでは、単独の食餌成分として適切であるとは思えない。
市販の完成したハリネズミ用食餌が作られており、入手可能ならそれを使用すべきである。新しい食餌を導入するためには、古い餌の中へ新しい餌を徐々に混ぜる。新しい餌の量や小片を、全て古い餌と同じ大きさにして相対的に調和させるとよい。肥満を最小限にするために、成獣のハリネズミに自由採食させることは認めるべきではない。朝までにほとんど完全に食べ尽くすだけの量を夕方に給餌する。日中は少量の餌だけを間食として置いておく。
若いハリネズミの方が、成獣よりも多く食べるかもしれないが、ハリネズミの生活や活動性の程度に依存している。水は常に飲めるようにすべきである。多くのハリネズミに給水瓶が使えるだろう。また、平たい皿、あるいは壺から水を飲む。
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食餌の選択No.1(体重550gの1頭の成獣ハリネズミに対して) |
・ティースプーン山盛り1杯のprey dietあるいは食虫動物の食餌
・ティースプーン山盛り1.5杯の良質のネコ/仔ネコ用の食餌
(例:サイエンスダイエッ トR、アイムス、ネコ用C/DR、Ferret
ChowR)※
・ティースプーン山盛り1杯のフルーツ/野菜の混合食※※
・6〜10匹の小さなミルワームか1-2匹のコオロギ
(妊娠あるいは授乳期なら、もっと増やす)
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食餌の選択No.2(1日当たりの1頭の成獣ハリネズミに対して) |
・ティースプーン山盛り3杯の良質のネコ/仔ネコ用の餌
・ティースプーン山盛り1杯のフルーツ/野菜の混合食
・6匹のミルワームか1〜2匹のコオロギ
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食餌の選択No.3(1日当たりの1頭の成獣ハリネズミに対して) |
・ティースプーン3〜4杯の市販の食虫動物用の食餌
・5〜6匹のミルワームか1〜2匹のコオロギ
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※ 若いあるいは妊娠/授乳期のハリネズミに対して、仔ネコあるいはフェレット用の処方食を使用する:成獣ハリネズミには、成猫用の餌"ライト"が使えるかもしれない。
※※ フルーツ/野菜の混合食:ティースプーン1/2杯のさいの目状のダークグリーン(ホウレンソウ・ケール・チシャの葉)、ティースプーン1/2杯のさいの目状のニンジン、ティースプーン1/4杯のさいの目状のリンゴ、ティースプーン1/4杯のさいの目状のバナナ、ティースプーン1/4杯グレープあるいはレーズン、ティースプーン1/4杯のビタミン/ミネラルのパウダー(Vionateあるいは砕いたFeline Favor錠)
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■住まいについて |
ハリネズミの住まいについては、脱走を防ぐために充分に高く、なめらかな壁でできた囲いが必要である。76Lの水槽、あるいはもっと大きなものがよい。ワイヤーで作られた囲いは、足が引っかかってしまうのを予防するために、避けるべきである。寝床は新聞紙あるいは再生ペレット/吸収されやすいものが好ましい。スギの削りくずは避ける。寝床は頻繁に取り替え、乾いた状態にしておくべきである。
最適環境温度は23.8〜29.4℃。補助的な保温が、囲いの下の一部分に必要になるかもしれない。隠れる場所を提供するために、切り取った箱、プラスチックの丸太、あるいは植木鉢が、付属物として含められる。
ハリネズミは、その他の哺乳類がするようには、おもちゃで"遊ぶ"ことはないが、囲いのてっぺんからぶら下げられている、あるいははめ込まれている運動用の回し車を使うだろう。ハリネズミ用の回し車は市販で入手できる、あるいはアイスキャンデーの棒のような木片から組み立てることができる。
ワイヤーで作られた齧歯類用の回し車は、ハリネズミが足を引っかけてしまう可能性があるので、使わない。おもちゃは頻繁に洗うべきである。平鉢あるいは浅い桶(暖かい水、暖かい外気温)を遊泳のために用意できる。
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■予防看護 |
・肥満を予防する。飼い主は少なくとも月1回はハリネズミの体重の測定。
・歯の掃除:ルーチンなブラッシングやスケーリング。
・爪は周期的に切りそろえる必要がある。
・1年毎の身体検査。
・冷えるのを予防する。乾いた寝床で、暖められた環境を提供する。 |
■早見表 |
生理学 |
寿命 |
3〜5年(捕獲されたものでは
6〜10年と記録されている) |
成獣の雄の体重 |
アフリカン:500〜600g
ヨーロピアン:800〜1200g |
成獣の雌の体重 |
アフリカン:250〜400g
ヨーロピアン:400〜800g |
直腸温 |
アフリカン:36.1〜37.2℃(97〜99)
ヨーロピアン:35.1℃(95.2) |
胃腸管 |
単胃、盲腸がない |
冬眠 |
アフリカンは冬眠しない
ヨーロピアンは冬眠する |
歯列 |
36 |
歯式 |
3.1.3.3/2.1.2.3 |
生殖 |
性成熟 |
2ヶ月未満 |
繁殖 |
年中 |
妊娠期間 |
34〜37日 |
産子数 |
1〜7頭(平均3) |
共食い |
雌がストレスを受けたり、不安になったりするとよく見 られる。分娩期間中は雄を取り除いておく。 |
出生時の体重 |
8〜13g(産子数に依存する=平均10g) |
針の成長 |
24時間以内 |
目が開く |
13〜16日 |
離乳 |
4〜6週齢 |
親を亡くした仔の
代用ミルク |
仔イヌあるいは仔ネコ用のミルクで代用 |
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■雌雄判別 |
ハリネズミの雌雄判別は、雄は腹側中央にペニスを持つ。精巣は腹腔内にある。
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■一般的な臨床的疾患状態 |
・肥満
・皮膚炎
・歯:歯肉炎、歯周炎
・脂肪肝
・腫瘍:扁平上皮細胞の癌
・3歳以上での、腫瘍の発生率が高い(特に歯列や口部)
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