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Dr. 小宮山の健康相談室

食事療法について
(01年7月「食事療法について」Vol.104掲載 2001/11/27 第1回改訂)

食事に関する一般情報
食事習慣が病気をつくることも
犬も人間も食生活が健康の源
カロリーも栄養も過剰はいけない
大切なのは栄養のバランス
一般的な選び方の基準を知っておこう
ネギ類は有害食品と覚えておこう
鶏や魚の骨は愛犬には危険

病気の犬の食事を考えよう
心臓病の進行を抑えるには食事療法が大切
腎臓病の食事は栄養バランスに配慮を
消化器病には消化の良い特別食を
尿石症の治療は石の種類に注意
食事アレルギーの利用は根気よく
食事習慣が病気をつくることも
最近、「生活習慣病」という言葉を耳にします。これは従来の「成人病」に代わる言葉で、状況の変化や予防医学の重要性を考慮し、数年前に厚生省が提唱したものです。

私たち人間はだいたい40歳前後にさしかかると、体のいろいろな変化が徐々に目につくようになってきます。たとえば、頭髪に白髪が増えてきたり、新聞の文字が読みづらくなってきます(すなわち老眼)。また、血管の病気(心筋梗塞や脳溢血など)で倒れたり、肝臓病やガンが見つかったりするのも、40代以降にだんだん目立ってくる現象です。このように一定の年齢に達し、体の機能が衰え始めたころから起こる病気を従来「成人病」と呼んでいました。

しかし、以前はある年齢以降にしか見られなかった病気が、だんだんより若い年齢層にも目立つようになり、「子どもの成人病」という矛盾した言い方さえされたこともあります。また、食生活の偏り(高タンパク・高脂肪・高カロリー)を大きな原因とする病気が非常に多くなってきました。

このような病気の性格をより適切に表すため、「生活習慣病」という言葉が提唱されるようになったのです。
犬も人間も食生活が健康の源
前述したことは、もちろん人間に関することです。しかし、最近は、犬の生活スタイルも人間の生活スタイルに大分近づいてきました。

「生活習慣病」は簡単に言えば、味覚が「おいしい」と感じるもの(肉や魚など、動物性タンパク食品が多い)を好きなだけ食べるという食生活の習慣(食べ過ぎと偏った栄養バランス)を主要な原因としています。

犬の食生活はどうでしょうか。欲しがるだけ食事を与えたり、ねだられるままに人間の食べる味付けの濃い食べ物を犬に食べさせている人はいませんか。そういうことが習慣になると、犬は肥満したり、いろいろな病気にかかりやすくなります。人間と同じように、犬の場合も、食べ過ぎと偏った栄養バランスが健康に大いに悪影響を与えます。食事が「健康の源」であることを、飼い主のみなさんは改めて確認する必要があります。
カロリーも栄養も過剰はいけない
食事で大切なのは、量と質の両方の面です。量に関しては、昨今、不足する心配はまずありません。何と言っても、過剰、すなわち食べ過ぎの心配のほうがはるかに大きいのです。

市販のフードには、与える量を体重当たりで表示してありますから、それをひとつの「目安」にすることができます。もちろん、個体差(運動量・年齢・飼育目的・病気の有無など)がありますから、表示されている量にとらわれすぎてはいけません。

また、犬が健康であるかどうかは、食事の食べっぷりも参考になります。与えた量をペロッと食べ、もう少し欲しそうにしているくらいが適量で、健康の証です。しかし、異常に食べたがる病気もありますので、注意しましょう。
大切なのは栄養のバランス
質の面で大切なのは、栄養バランスのよい食事を与えることです。市販のフードは通常、犬に必要なビタミンやミネラルなどがバランスよく含まれています。ですから、愛犬に合ったフードを選び、適量を与えていれば、まず問題はありません。

むしろ、フードのほかにカロリーの高いものを与えることのほうが問題です。犬が欲しがると、つい人間の食べ物を与えたくなるかもしれませんが、ちょっと待ってください。そのようなことをすれば、犬は食べ過ぎ(カロリーオーバー)になり、また栄養バランスもくずれる恐れがあります。おやつとして何かを与えたいときは、味付けを薄いものにし、しかもその分フードの量を減らすことが必要でしょう。
一般的な選び方の基準を知っておこう
市販のフードの種類は非常に豊富です。どのフードを選んだらよいか、迷いますね。以下に、選び方の一般的な基準についてお話しします。一言で言って、飼い主にいろいろな情報を提供しているフードが信頼できるフードでしょう。

まず、栄養成分をきちんと表示しているフードを選びましょう。この場合、たとえば「タンパク質○%」というだけではなく、「どんな動物のどの部分のタンパク質」かという情報まで提供しているのがベストと言えます。また、製造年月日・品質保証期限・問い合わせ先・飼い主からの質問を受け付ける「お客様相談室」などの電話番号・ホームページのアドレスなどが書かれているものがよいでしょう。
ネギ類は有害食品と覚えておこう
犬に与えてはいけない食品としては、タマネギ・ナガネギ・ニンニクなどのネギ類がよく知られています。これらの食品を食べると溶血性貧血(タマネギ中毒)を起こすことがあります。これは赤血球が溶けてしまう特殊な貧血です。これらのネギ類の毒性は、煮ても焼いても失われないと言われています。

人間の食べ物には、ハンバーグや鶏の唐揚げなどネギ類を調理して使ったものがたくさんあります。与えるつもりはなくても、調理中にうっかり落としたりすると、犬が食べてしまうことがありありますので、注意しましょう。どの程度で貧血が起こるかには個体差がありますが、とにかくネギ類はたとえ少量でも与えてはいけない食品として覚えておきましょう。
鶏や魚の骨は愛犬には危険
鶏や魚の骨にも注意してください。鶏の骨は噛むと斜めに裂け、胃に突き刺さる危険があります。また、歯が折れる場合もあります。鯛のように骨が固い魚は、必ず骨を取り除いて与えましょう。

また、サケ・ベニマス・ニシン・コイなどは、ビタミンを破壊する酵素を持っています。魚の寄生虫が媒介されることもあります。魚は必ず火を通してから与える必要があります。

心臓病の進行を抑えるには食事療法が大切
犬が8歳以上になると、心臓病が非常に多くなります。心臓病は完治することがなく、治療は進行を少しでも遅らせることが目的となります。

心臓病の治療で大切なことは、「安静を保つこと」「食事療法を守ること」「適切な薬を与えること」で、これらは心臓病の治療の3本柱となります。軽度の場合は、安静と食事療法のみで、症状を抑える高い効果をあげることができます。

心臓病の特別食は、動物病院で入手できます。ホームメイド食を与える場合、塩分の少ない食事にしなければなりません。健康な犬でも、人間用に味付けした食事を与えると、必要量の2-3倍もの塩分をとってしまうことになります。心臓病の犬の食事は、特に塩分を少なくしなければなりませんので、絶対に人間用に味付けした食べ物を与えてはいけません。塩分の量や味付けの仕方については、主治医に相談してください。
腎臓病の食事は栄養バランスに配慮を
高齢になると腎臓病も多くなります。腎臓の組織の4分の3が破壊されると「腎不全」となり、破壊された組織は元に戻りません。この場合も、進行を遅らせることが治療の目的となります。

食事の栄養バランスには特に気を付けなければなりませんが、必要な栄養素の配合された特別食が、動物病院で入手できます。一般的な注意として、腎臓病の場合は、タンパク質を控えなければなりませんが、塩分も少なくします。また、新鮮な水を用意し、いつでも飲めるようにしておいてください。尿を我慢させるのは、非常によくありません。行きたいときに、トイレに行ける状態にしておくことが大切です。
消化器病には消化の良い特別食を
消化器の病気のため、食べ物の消化や吸収能力が落ちているときは、一般に消化の良い食事を与えます。消化器病用の特別食がありますが、これを与えると、通常のフードは15%程度しか消化できない場合でも、80%まで消化できることもあるようです。

これらの特別食は、腸内の炎症を抑えるようにつくられています。腸内の炎症が原因で、消化器の働きが落ちることがあります。また、腸内でアレルギー反応が起きることもあります。この場合、動物は下痢を起こしたり、腸から栄養が吸収されないため、やせてくることがあります。一般に消化や吸収がよく、炎症やアレルギー反応が起こりにくい食事を与えれば、腸の働きが回復し、吸収が良くなります。

下痢の原因としては、主として大腸と小腸の異常が考えられます。どちらであるかは、獣医師に判定してもらいましょう。
尿石症の治療は石の種類に注意
腎臓・尿管・膀胱・尿道の器官をひっくるめて泌尿器と呼びます。泌尿器の主な役割は、尿をつくって、それを体の外に出すことです。尿をつくるのは腎臓の役割で、その尿は尿管を通って膀胱にためられ、膀胱が一杯になると、尿道を通って外に出されます。このとき、尿が通る道を「尿路」と呼びます。

人間でも起こりますが、その尿路に石ができることがあり、それを「尿石症」と言います。尿石症の治療用の特別食があります。その食事を食べることによって、石が溶けたり、できにくくなる効果があるのです。

しかし、治療する側として重要なのは、あらかじめ石の成分を正しく調べなければならないことです。その成分によっては、特別食にまったく反応しない場合もあるからです。尿石症の犬の食事については、獣医師とよく相談してください。また、新鮮な水を十分に与えることも重要です。
食事アレルギーの利用は根気よく
食べ物が原因となって起こる食事アレルギーという病気もあります。アレルギーの原因となるのは、食べ物に含まれるタンパク質で、牛肉・牛乳・大豆・小麦・小麦・卵・馬肉・鶏肉・トウモロコシなどがアレルギーを起こしやすい食べ物として知られています。

アレルギーの診断は容易ではありません。原因となる物質(アレルゲン)がひとつとは限らず、突きとめるのがむずかしいからです。食事アレルギーの診断では、まず犬がこれまでに食べたことのない食べ物を与えます。一定期間その食事を与え、アレルギーの症状が消えたら、元の食事に戻します。再びアレルギー症状が現れれば、食事アレルギーであることがわかります。

治療するには、犬が過去に食べたことのない食べ物を与えます。よく利用されるものに、ご飯とラム肉があります。ジャガイモ・豆腐・カッティングチーズなども良いとされます。家庭で食事アレルギーの治療食をつくるのは、非常に大変です。動物病院で入手できるので、利用すると良いでしょう。ホームメイド食を与える場合は、獣医師の指示に従ってください。

食事は犬にとって、最大の楽しみのひとつです。同時に、健康を左右する大きなカギを握っているのも食事です。欲しがるものを欲しがるだけ与えれば、一時的には満足するかもしれませんが、長い目で見れば犬の健康を損ね、犬を苦しめることになります。犬が喜んで食べる質の良い食事を選んであげてください。